SF小説おすすめ本


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  • 私の読んだSF小説で、傑作で面白いと思った小説を紹介します。
    1.アンドロイドは電気羊の夢を見るか フィリップ・K・ディック   早川書房    

    主人公は男のリック・デッガードです。
    警視庁勤務のバウンティ・ハンターです。
    バウンティ・ハンターとは、他の惑星から
    地球に違法に入国するアンドロイドを退治する
    係りです。
    アンドロイドを1体、退治すると、1000ドルのボーナスを
    もらえます。

    最新型のアンドロイドのネクサス6型は、人間と見分けが
    つきません。
    フォークト・カンプフ検査のみが、アンドロイドを識別できる
    検査法だと思われています。本当に有効なのでしょうか?

    地球は、世界大戦により、放射能で汚染されてしまい、
    多くの動物は絶滅してしまいました。
    火星を始めとして、多くの地球以外の惑星に
    人間は移住しました。
    地球に残っている人間は、少ない人数です。

    アンドロイド6体が、火星から地球に不法入国してきました。
    リックはブライアント警視から、6体の退治を
    命じられます。
    6体のアンドロイドは強敵です。
    リックは退治できるのでしょうか?
    また、フォークト・カンプフ検査は、本当に
    有効な検査法なのでしょうか?

    リックは羊を屋上で飼っていましたが、死んでしまったので、
    今は電気羊を飼っています。電気羊に対して、本物の
    羊はとても高価なのです。
    本物の山羊や馬も、とても高価です。
    リックはアンドロイドを処理して、その賞金で
    本物の羊か山羊を買いたいと思っています。

    リックは、女性アンドロイドのレイチェル・ローゼンと
    男女の仲になってから、アンドロイドに感情移入するように
    なってしまいます。すなわち、共感や同情の気持ちを
    持つようになってしまいます。
    そんなリックに、アンドロイドをレーザ銃で、
    始末することはできるのでしょうか?

    リックは3体のアンドロイドと対決することになります。
    この3体は強敵です。
    勝のはどちらでしょうか?

    このSF小説は、多くのSF小説にあるような、学問上の
    難しい解説などは出てきません。
    エンターテーメントのSF小説になってると思います。
    不法入国のアンドロイドを退治するバウンティー・ハンターと
    アンドロイドの対決という構図が面白いです。
    また、女性アンドロイドのレイチェル・ローゼンと
    男女の仲になってしまい、アンドロイドに感情移入するようになり、
    非情にアンドロイドを処理できなくなって、苦悩するリックの
    姿がよく表現されています。
    オペラ歌手をしている女性アンドロイドにも
    リックは感情移入してしまい、殺すのにためらいを感じます。
    フォークト・カンプフ検査も、面白い検査です。
    物語のアイデアや構成が優れていて、
    優れたエンターテイメントSF小説になっていると思います。
    グレッグ・イーガンのSF小説は、専門用語などが出てきて
    読んでて肩がこるので、あまり好きでないです。
    フィリップ・K・デイックの小説は読みやすく
    面白いので、私は好きです。(H.P作者)


    2.星を継ぐもの ジェイムズ・P・ホーガン   創元SF文庫

    主人公は物理学者のハントです。
    ハントは一匹オオカミの科学者ですが、IDCCという会社に
    スカウトされます。

    月で、5万年前に死亡したと推定される、知的生物が
    発見されます。人間と非常によく似た骨格を持っています。
    人類以上の文明を持つその生物は、ルナリアンと名付けられます。

    ハントは、ルナリアン調査の統括責任者になります。

    ルナリアンの残した文書から、ルナリアン文字の解明が
    進みます。ルナリアンは、ミネルバという、太陽系の
    惑星に住んでいたことがわかります。
    ミネルバは、ルナリアンの種族の対立によって、
    核爆弾等の爆発によって消滅したと推察されます。

    木星の衛星のガニメデで、高度の知能を持つ異星人の
    乗った巨大宇宙船と、複数の巨大な異星人が発見されます。
    その異星人は、ガニメアンと名付けられます。
    ガニメアンは、高度の文明を持っていたようです。
    その宇宙船のガニメアンは、2500万年前に死亡したと推定されます。

    ガニメアンは、ミネルバで発見された魚と同じ進化の系統にある
    ことがわかります。
    すなわち、ガニメアンは、ミネルバに住んでいたことがわかります。
    また宇宙船の中には、有史以前の地球の生物が複数、発見されました。
    宇宙船から発見された猿人は、ルナリアンの祖先だという事が
    わかりました。

    これらの事から、ガニメアンは地球の生物を捕獲して
    ミネルバに運んだことがわかります。
    何らかの理由で、ガニメアンがミネルバからいなくなった後は、
    地球から運ばれた生物が、ミネルバで、独自に進化したようです。

    ミネルバの猿人も、独自に進化をとげて、ルナリアンになったようです。

    これらの事を、ハントは、生物学者のダンチェッカーや他の科学者と
    共に、明らかにしていきます。

    ルナリアンと人間が、骨格や内臓の構成が似すぎている
    という事が、大きな問題として、ハントとダンチェッカーの前に
    立ちふさがります。
    違った惑星で進化したものどうしが、それほど一致するという
    ことは、有りえないからです。
    しかし、ルナリアンが地球で進化したとは考えられません。
    ルナリアンが地球で進化した証拠となる遺跡は
    どこにも発見されていません。
    この一致は、どう説明すれば良いのでしょうか?

    そして、驚くべきことがわかります、何でしょうか?

    ミネルバでは、どのような種族の対立があり、どのような
    戦争が有ったのでしょうか?

    ルナリアンの強い生命力も書かれています。
    本を読んでください。

    あまり難しい専門用語は出てきません。
    読みやすいSF小説だと思います。
    地球、月、木星、ミネルバを巡る、スケールの大きな
    SF小説です。
    ルナリアン、ガニメアンの事が解明されていくのを読むのは、
    楽しいです。
    ルナリアンの文字を解明していったり、カレンダーを
    推理したりとか。

    何故、ガニメアンがミネルバから脱出する必要が生じたかを
    推理するところも面白いです。

    「星を継ぐもの」は、SF小説の面白さがたくさんつまっている
    小説だと思います。SF小説を読むことの喜びを与えてくれる
    小説だと思います。
    ハントやダンチェッカーの推理を読むの、面白いですよ。
    最初は烈しく反発しあったハントとダンチェッカーが、だんだんと
    協力するようになっていくのも面白いです。(H.P作者)
    3.伝道の書に捧げる薔薇 ロジャー・セラズニー  ハヤカワ文庫

    短編と中編が入っています。
    「伝道の書に捧げる薔薇」と「その顔はあまたの扉、その口はあまたの灯」を紹介します。


    「伝道の書に捧げる薔薇」
    主人公は、詩人で言語学者の男のガリンジャーです。
    地球を代表するぐらいのすぐれた詩人です。

    火星人の言語と歴史を研究するために、ガリンジャーは
    火星にやってきます。

    ガリンジャーは、火星人の女性の長老のマックワイから火星の言語や
    歴史を教えてもらいます。

    ガリンジャーは、火星人の女性の踊り子のブラクサと愛し合うようになります。

    火星人達は、タマーが書き残している神話に従って、生きる
    ことになっています。
    タマーには、火星人が、ある出来事のために、死にいたらざる病に
    侵されたと書かれています。
    死にいたらざる病とは何でしょうか?

    ブラクサが失踪してしまいます。どこに行ったのでしょうか?

    火星人達は、タマーの神話に従って、集団自決しようとします。
    その儀式の日がやってきます。
    ガリンジャーは、集団自決を辞めさせようとします。
    彼が頼るところの物は、地球の伝道の書です。
    うまく辞めさせることができるのでしょうか?
    伝道の書に捧げる薔薇とは、どのような薔薇なのでしょうか?

    ブラクサが踊るシーンの記述は下記です。

    身体の揺れが大きくなり、拍子につれて激しくなった。
    いまや風は砂漠より吹ききたって、岸打つ波のように
    襲いかかる。
    彼女の指はくねった。その一本一本が突風だった。
    両腕はゆっくり振子のように動き、下へ降りてくると、
    また上に向かって昇り始めた。
    いまや嵐がやってきていた。
    彼女は回転を始め、回る胴体を追って手も回った。
    この時になってはじめて肩が数字の8を描くように
    よじられ始めた。
    おお風よ、風よ。おお荒れはてた謎の地よ。
    旋風が、その静かな中心である彼女の眼をめぐって
    渦巻いていた。


    [その顔はあまたの扉、その口はあまたの灯]
    主人公は男のカールです。
    以前に、金星の海にいる10メートルの体長の
    巨大な魚竜のイッキーを捕獲しようとして
    失敗しました。船をイッキーに壊されたのが
    原因で破産しました。
    イッキーを釣り上げたのですが、その無機質な
    両眼で見つめられると、体が恐怖で固まって、
    とどめをさせなかったのです。
    そして船を壊され、逃げられました。
    今は金星の海の餌つけ人をしています。

    カールと昔に関係が有った美人のジーン・ルハリックが
    イッキーの捕獲を宣言して、船を出発させます。
    カールはその船の餌つけ人に雇われます。

    イッキーはだれをも恐れぬように創られた生き物です。

    ジーン・ルハリックとカールは、イッキーの
    無機質な眼の呪縛を解くことができるのでしょうか?


    ロジャー・ゼラズニイのSF小説は、詩的で神話的な世界を
    描いた小説が多いです。
    難しいSF用語はでてきません。
    しかし、ゼラズニイの想像力に引っ張られて、読者は
    豊穣な世界に引き込まれていきます。
    神話と伝説の世界に引っ張りこまれます。
    とても面白い小説だと思います。
    おすすめのSF小説です。

    ゼラズニイの「わが名はコンラッド」も傑作だと思います。(H.P作者)
    4.ソラリスの灯のもとに スタニスワフ・レム  ハヤカワ文庫  

    思念を持つ海の物語です。

    主人公の男のケルビンは、惑星ソラリスに行きます。
    ギバリャンの後任として行きました。

    ソラリスは、二つの太陽を持つ惑星です。
    ギバリャンの姿は見当たりません。
    ギバリャンはどうなったのでしょうか?
    ソラリスには、二人の科学者、スタウトと
    サルトリウスがいます。

    ケルビンのところに女性のハリーが現れます。
    ハリーは、19才の女性です。恋人でしたが、ケルビンが別れ話を
    持ち出したので、10年前に薬物で自殺した女性です。

    ケルビンは驚きます。
    ソラリスの海は、人間の思考のうち、最も奥底に
    眠っている、大きな思念を実体化するようなのです。

    スタウトとサルトリウスにも訪問者が来ているようです。

    ケリビンは恐ろしくなって、ロケットでハリーを
    宇宙空間に放り出します。
    しかし、数日後にハリーは、何事もなかったかのように
    ケルビンの前に現れます。
    何回追放しても、また現れるようなのです。

    ソラリスの海が、何故、人間の思念を実体化するかについて、
    過去に多くの科学者がソラリスに問いかけますが、
    回答はありません。

    サルトリウスは、ケルビンの脳電図を記録して、
    それを乗せたX線をソラリスの海に照射しようと
    計画します。ケルビンの思念をソラリスの海に
    照射するのです。
    どうなるのでしょうか?


    ソラリスの海が実体化したハリーは、ケルビンの
    事を昔と変わらずに愛しているのですが、自分が
    何者かわからずに苦しむようになります。

    ケルビンも自分が何をしたいのかわからずに
    苦しむようになります。
    ソラリスの海が実体化した、ダミーのハリーに
    愛着を感じるようになってくるのです。


    ソラリスの海とは何者なのか?
    ケルビンとスナウトの会話は、
    神とは何者かというような話になっていきます。
    他者を愛するとはどういう事かということも、
    考えさせられる小説です。


    ソラリスの海が神のような存在だとしたら、
    どのような神なのか?

    非常に深く、哲学的な内容を含むSF小説です。
    ソラリスの海とは、どのような存在なのでしょうか?
    おすすめのSF小説です。