仕事のやり方にヒントを与えてくれるおすすめ本その2

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  • NO.6 自分をいかして生きる  西村佳哲  ちくま文庫   
    私は長い間、会社員をやっています。仕事のプラスにしたいと、ビジネス啓発本も色々と読んできました。
    その本の中から、厳選したおすすめ本を紹介していきます。
    仕事のやり方にヒントを与えてくれるおすすめ本その2です。


    「自分をいかして生きる  西村佳哲  ちくま文庫」

    西村さんは、プランニングディレクターです。
    デザインの仕事をしながら、自称「働き方研究家」として、本も出しています。
    この本と、「自分の仕事をつくる」という本も良い本です。

    まえがきで、西村さんは、言っています。
    どんなに成功しているように見える人でも、人生に「上がり」はない。
    死ぬ瞬間まで、「自分をどういかして生きてゆくか」という課題から、
    誰も降りることはできない。
    こうしてみると、人間の仕事とは、「死ぬまで自分をいかして生きる」ことのように思える。


    本の構成は、1.いる・いない   2.自分の仕事   3.自由とか誇りとか という構成です。

    この本は、仕事について、深く考えさせてくれる本です。
    特に、学生の方や、仕事を始めたばかりの若い方に読んでほしいです。

    1.いる・いない
    海に浮かぶ島をイメージしてほしい。
    他の誰かの仕事を目にした時に、この島のような見える部分だけに注目する人と、
    その下の裾野の広がりに思いを馳せる人がいる。
    水面の下の山で、成果を直下で支えるのは、「技術や知識」だろう。
    一篇の詩も、映画も、道具や素材の使い方、経験等、きわめて多様な
    ノウハウの組み合わせを通じて形になる。

    しかし、「技術や知識」だけでは何もつくれない。
    仮に形になっても、人の心に響く確率は低いだろう。

    「技術や知識」をその直下で支えているのは、「考え方や価値観」だろう。
    なにを美しいと思うか、なにを大事にしているか、なにをもって善しとするかといった
    尺度があって、はじめて技術も知識もいかされる。
    どの方向にむけて、なんのために力を発揮するかという道筋を得ることができる。

    そして、「考え方や価値観」のさらに下には、「あり方や存在」とでもいう階層があると思う。 どんなふうに働いているか、どんなふうに生きているか。
    毎日の暮らしの中でどのような呼吸をして、食べ、眠り、なにを信じ、恐れ、
    話したり、聴いたり。ほかの人々や自分自身と、どんな関わりを持って生きているかということ。
    「あり方」とは生に対する態度や姿勢で、そこに自分の「存在」が
    姿をあらわす。



    西村さんのこの言葉を読んだ時に、私は、いたく感動しました。
    それからは、私は、仕事中に、気持ちの上で、自分のたたずまい(あり方や存在)に注意しています。(かっこつけてるわけではありません)
    本当に感銘を受けました。(H.P作者の言葉でした)


    イタリアのアキッレ・カスティリオーニというデザイナーの言葉が紹介されています。
    「いいプロジェクトというのは、自分の存在を後世に残そうという野心から生まれるものではありません。
    あなた達がデザインしたものを使うことになる、誰も知らない見ず知らずの小さな人々と、ある交換をしようと思う。
    その気持ちから、いいプロジェクトは生まれるのです。

    2.自分の仕事

    なにがイケてるか、これからなにが来るか、どう動くのが得か。
    運と頭のいい人は、その思考方法で結果を出せるだろう。
    でもそれは現状追認の先取りだ。
    どんな結果を得るにしても、優れたフォロワーであるより、つまり他の誰かみたいになるより、
    自分自身を社会に差し出してみる方が、少なくとも後味はいいんじゃないかと思う。
    こと「自分の仕事」については、誰もが世界代表であり、最前線にたつパイオニアだ。
    取り組んでいる人が他にいないので。
    仕事の内容はあらかじめ決まっていても、それを
    「どうやるか」は自分で考えることができるし、やることができる。
    たとえば総務部で働く事務職の女性や、バスの運転手といった仕事は、いわゆる
    クリェイテブな仕事ではないと思われがちだ。
    が、それらに携わっている人々の中にも、明らかに他の人と違う輝きを放ちながら働いている人はいる。

    奈良にある雑貨とカフェの店「くるみの木」の紹介がされています。

    ソニーの人気デザイナーとして仕事をしていて、会社を辞めて、蕎麦屋をしている加藤晴之さんの紹介がされてます。

    加藤さんの言葉が紹介されてます。
    やりたいことが見つからないとか、何をやってもうまくいかないとか、面白くないということがあっても、
    どの瞬間でも、その中で一番やりたいことは多分ある。
    僕はそうやってきました、
    いつだって自分の思うようにはなっていない。
    でもその瞬間しゅんかん、いちばん自分ができること、やれることをやってゆくと、次のドアが待っていたり、開いてきたりした。

    アップルコンピュータの元CEOのスティーブ・ジョブズの言葉も紹介されています。
    私は毎朝鏡を見て、自分にこう問いかけるのを日課としてきました。
    「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか」
    それに対する答えがNOの日が幾日も続くと、そろそろ何かを変える必要があるなと、そう悟るわけです。

    3.自由とか誇りとか

    お客さんでいられないこと、それだけではおさまらないようなことの足元に、
    一人ひとりの「自分の仕事」の鉱脈があるんじゃないかと思う。
    他の人には任せたくないこと。思わず手がのびて、つかみにゆくような衝動が生じること。
    それは思考というより、存在から湧き上がってくる動きだ。
    そしてそれが、成果に至るひとつながりの働きとして他者や社会に差し出される時、
    その人ならではの、かけがえのない「自分の仕事」になるんじゃないかと思っている。

    本に書かれていることの、ほんの一部だけを紹介しました。
    仕事について、深く考えさせてくれるおすすめ本で、好きな本です。

    NO.7 10年後を後悔しない君へ  藤巻幸大 ディスカバーブッククラブ   
    伊勢丹で「解放区」「リ・スタイル」などの数々の売り場をプロデゥースし、株式会社福助を1年半で
    経営再建しました。現在は、(株)シカタの代表取締役と、(株)テトラスターの代表取締役をしています。

    その藤巻さんが、仕事や人生について語っている本です。
    「仕事」、「コミュニケーション」、「時間」、「お金」、「生活」、「人生」の章に分かれています。
    一部を少し紹介すると、「仕事」:かわいがられてなんぼ、嫌いな上司でも3年は我慢しろ、運動会は絶対参加、浮気性になれ
               「コミュニケーション」:嫌われていると思ったら、「相手を怒らせ自分は怒らない」が勝ち、物申す時はカーブで攻めろ
               「時間」:無駄なことに時間を使え、どこに割くかは「義」でジャッジ
               「お金」:負け組の人間はお金を使わない、いいものを知るためにお金を使え
               「生活」:履歴書に載せる資格はいらない、守るべき存在を持て
               「人生」:人に興味のない人間にいい仕事はできない、仕事は手段、腐らない、上機嫌でいよう

    仕事と人生のヒントにあふれた本です。
    特に、若い人に読む事をすすめます。

    2つだけ、内容を紹介します。

    「相手を怒らせ自分は怒らない」が勝ち:嫌なことを言われたり、あなたを挑発しようとして、わざとカチンとくるような言葉を言われたり・・・
                       でもあなたが怒ってしまったら負け。こんな時こそ空気の読めないふりをして、あっけらかんと振る舞おう。
                       キレることはコミュニケーションの断絶を意味する愚かな行為だ。
                       カチンときたら、まずは大きく深呼吸。瞬間の感情に流されてはいけない。
                       席をはずしてクールダウンしたり、複数でいる場合は、他の人と話をするなど、場と間を変えてみるといいだろう。
                       ときには鈍感なふり、空気のよめないふりをすることも、有効なのだ。
                       若いころよくカットなった私は、挑発されても怒らない人がいかに「できる人」かが、見にしみてわかっている。

    「無駄なことに時間を使え」:僕が50年以上生きてきて痛感しているのは、効率を求めるだけでは時間の使い方が上手いとは絶対に言えないということだ。
                  オリジナリティは、無駄な時間、無駄な経験からしか作られない。
                  オリジナリティは「無駄な時間」と「無駄な経験」の積算によって生まれる。
                  ちなみここで言う無駄な時間とは、一見遊んでいるようであるものの、後々さまざまな人や出来事とむすびつき、未来に
                  生かされる時間のことだ。
                  無駄を無駄と思わず、そのときそのときをいかに楽しみながら生かしていけるか。
                  言ってみたら、無駄な時間の正しい使い方を知ることだ。
                  こうした時間から生まれる仕事は、義務ではなく、純粋な自分の興味や欲求から生まれた仕事だ。
                  人間は結局のところ、好きなこと、自分に合うことで、最も力を発揮できるし、続けることもできる。

    美術館に行って、いい絵を見てください。映画館に行って、面白そうな映画を観てください。
    面白そうだと思う本を読んでください。
               人と酒を飲んで語り合ってください。軟派もいいでしょう、コミュニケーションの勉強になります。
    藤巻さんは、気に入った服があれば、すごく高い服を一着買って着ることを進めています。
               それが、いい物とはどういうものかを教えてくれるそうです。
               無駄のような、遊びのような事をいろいろすることで、経験を積み、物の見方がひろがり、いい物を知り、
               色々考え、感性が鍛えられ、オリジナリティを高めていく事になるのです。
               あなたが、若い人なら、心の貧しい倹約家にはならないでくださいね。(H.P作者)

    NO.8 不幸になる生き方  勝間和代 集英社新書    
    勝間和代さんが、幸福になる生き方と不幸になる生き方について分析を行い、
    幸福になるための生き方のアドバイスをしている本です。
    不幸になるリスクを避けることが、幸福になる道だそうです。
    強い人はミスが少ない人であり、決してウイニングショットが強い人では
    ないそうです。

    本の構成は、以下のようになっています。
    [全体理論編]
    第1章:不幸のル−プから抜けられない[他責の人]
    第2章:自責とはリスクの川を渡ること
    第3章:他責の人はなぜ失敗を嫌うのか
    [個別理論編]
    第1章:有責の法則
    第2章:双曲の法則
    第3章:分散の法則
    第4章:応報の法則
    第5章:稼働の法則
    第6章:内発の法則
    第7章:利他の法則

    勝間和代さんは、自責の人でなければ幸せになれないと言います。
    他責の人は、幸福になれないそうです。

    他責の人:他の人に責任を押し付ける。
           周囲を批判ばかりしている。
           トラブルが起きても対処できない。

    自責の人:自分の人生の責任を自分でとる。
           周囲と強調してものごとを遂行できる。
           トラブルが起きても対処能力がある。

    まずは、自分で責任を負い、リスクを取って、トラブル対処できる人間になる
    ことが大切だそうです。

    1.有責の法則
    幸福な人:自分の人生に自分の責任で取り組み、リスクをとらないとリターンがないと
    理解したうえで、失敗も成功も自分の責任と考えている。

    不幸な人:とにかくリスクを避けることばかりを考え、人にリスクを押し付けていく。

    2.双曲の法則
    幸福な人:大きくみえがちな、目先の短期的な快楽や欲にまどわされずに、
    長期的な目で人生の時間や資金を投資している。

    不幸な人:とりあえず、目の前の苦しみから逃れたり、欲望を満たすために
    行動してしまう。

    3.分散の法則
    幸福な人:幸せの源泉を単一のものに求めず、「稼ぐ」「使う」「愛する」
    「愛される」の循環が構築できるように時間を分散投資する。

    不幸な人:幸せの源泉を何か特定の一番身近なもの、たとえば、仕事とか、
    子供とか、恋人などに一極集中してしまう。その結果、環境変化が起きたり、
    状況が悪くなると一気に不幸になってしまう。

    4.応報の法則
    幸福な人:他人の悪口、非難などが、めぐりめぐって自分への足かせとなることを
    理解している。

    不幸な人:何か不満があると、まずは相手の欠点を見つけて、批判と非難を
    繰り返すことで、一時的な精神の安らぎを得る。

    5.稼働の法則
    幸福な人:とにかく、行動コストが小さく、マメに動いている。

    不幸な人:失敗を恐れて、行動しない、動かない。人が何かをしてくれることを
    期待してしまう。

    6.内発の法則
    幸福な人:幸せの基準は自分にあり、自分のなかで喜びを感じること、
    自分の持ち味・特性を生かせることを自覚的に選択し、集中してそこを
    伸ばしている。

    不幸な人:幸せの基準を外から見える自分に求めていて、年収や社会的立場
    などのランクにとらわれてしまう。

    7.利他の法則
    幸福な人:積極的に周りや社会への貢献をしている。

    不幸な人:どうやったら自分の得になるかを常に考え、自分で
    何もかも成果を上げられるような全能感にとらわれている。

    人生のリスク管理・3つのステップ
    1.リスクを洗い出す
    2.リスクをとって得られるリターンが、十分かどうか考え、さらに今の自分で
      とれるリスクかどうかを質と量の両方の観点から考える
    3.リスクの制御の方法を考え、実行中は、今起きている状況のモニターを
      怠らない

    内容の一部を紹介しただけです。
    是非、読んでください。仕事のやり方にヒントを与えてくれるおすすめ本です。
    人生を生きるヒントも与えてくれる本です。

    自責の人になるって、口で言うほど簡単じゃないですよね。
    仕事も現状維持の方が楽ですが、私は責任を持ってこれをやりますと
    口で言って実行する有言実行の人になっれてことですよね。
    責任が生じ、苦しい道になると思いますが、やりがいの有る人生は、その道を
    行かなければ、つかむことができないのでしょうね。
    人から与えてもらうのを待っているだけじゃ、人生の充実はないですね。(H.P作者)

    NO.9 起業家 藤田晋 幻冬社    

    サイバーエージェント社長の藤田晋さんが、自分の起業家人生に
    ついて、書いてます。

    サイバーエージェントは、もともとは、ネットでの広告代理店事業が中心でした。
    藤田さんは、サイバーエージェントを21世紀を代表する会社にしたいと思い、
    それにはメディア事業をやるしかないと思ったそうです。
    ライブドアブログで「渋谷で働く社長の日記」をやったところ、1日で5000PVに
    達したので、ブログを始めとするメディア事業に大きな鉱脈があると、藤田さんは思います。
    しかし、メディア事業は、なかなか利益を出すことができず、毎年大きな赤字を出して、
    株主からは文句を言われ、メディア事業部の社員の士気も上がらず、藤田さんは、孤独を
    感じ、無力感にさいなまれます。

    サイバーエージェントに危機がおとずれ、村上ファンドに買収される一歩手前まで行きますが、
    楽天の三木谷社長に助けてもらい、なんとか、買収を免れました。

    藤田さんは、社員の定着率が悪いと、結局、業績も上がらないと思い、IT企業としては珍しく、
    終身雇用を打ち出し、社員の福利厚生を良くしようと努力して、新卒社員を数多く募集します。
    すると、「会社を大切にする」という社員が増えてきて、社内の雰囲気も明るくなっていったそうです。
    メディア事業の設計を外注していたのですが、システムがダウンした時のメンテナンスもできず、
    これではだめだということで、社内の設計に変えていきました。
    技術系社員も徐々に増えていきました。

    藤田さんは、サイバーエージェントを21世紀を代表する会社にするべく、拡大戦略をとりますが、
    思うように利益はでません。
    「厳しい環境になったからといって縮小均衡を目指し、ただの中小企業になるぐらいなら、
    いっそのこと自分が辞任したほうがましだ。」藤田さんは、そう言います。

    目指しているのは、かつての松下電器やソニーのような、日本を代表するような会社です。
    藤田さんに残されたカードは1枚だけでした。
    その時すでに、会社はアメーバと心中モードだったのです。

    アメーバオークション、アメーバミュージック、スクラップブック、アメーバで立ち上げる新規の事業は、
    ものの見事にみんなこけていきました。
    メディア事業部の赤字が増えていきます。

    それまでは、事業部長にまかせて、あまり口出ししなかった藤田さんですが、アメーバの事業部長を
    更迭して、自分が事業部長になります。
    「アメーバの事業部長はおれがやる。あと2年でダメだったらおれは責任をとって
    会社をやめる」藤田さんはそう宣言します。
    背水の陣を引いたのです。

    藤田さんは、なるべく社内でイライラした姿を見せないようにしていたので、そのストレスからか、
    夜は浴びるように酒を飲み、葉巻を吸わないと、寝付けない毎日でした。
    仕事の事を考えると、焦りや怒りで頭がさえてしまい、酒や葉巻で頭をもうろうとさせないと
    眠れないのでした。

    「もっと使いやすく、ユーザーに支持されるサービスを作らないとダメだ。」
    藤田さんは、そう考えました。
    部下に、売上は見なくていいから、ページビュー数を多くする事を目標に掲げました。
    良いサービスを作って流行させれば、アクセス数が増えて、売上は後から自ずとついてくるという
    考えでした。
    すべての業務を藤田さんは、自分でチェックするようにしました。
    トップダウン方式にしたのです。

    月間30億ページビューを目標にしていましたが、芸能人ブログ等の成功で
    2か月も前倒しで目標を達成して、それからは利益がグングンと増していきました。
    なんとか苦境を脱して、大きく飛躍することに成功したのです。

    この本を読むと、起業家の孤独と苦労が良くわかります。
    藤田さんは言います。「孤独、憂鬱、怒り、それを3つたしてもはるかに上回る希望」が有るから
    起業家として前に進もうとしている。
    希望を抱き、みんなを勇気づけ、不可能を可能にしていくのが起業家です。

    藤田さんは、幻冬社の見城さんと親交が有り、見城さんの言葉を座右の銘にしています。
    「全ての創造はたった一人の「熱狂」から始まる」
    「新しいことを生み出すのは、一人の孤独な「熱狂」である」
    赤字続きのアメ−バが今日のような姿になることを信じていたのは、世界で
    藤田さんただ一人でした。
    誰も相手にしない、たった一人の孤独な熱狂でした。
    藤田さんは言います。「不可能を可能にするのが起業家です。熱狂は、それを成し遂げる
    ためであれば、さまざまな困難、孤独や憂鬱や怒りを乗り越える力を内包したものだと
    私は思います。」

    見城さんは言います。「絶望しきって死ぬために、今を熱狂していきろ」
    ただ1回のこの人生で、あなた一人の孤独な熱狂は有りますか?(H.P作者)
    仕事のやり方にヒントを与えてくれるおすすめ本です。