金城一紀のGOです。青春小説ですが、ハードボイルド小説でも有ります。
青春小説の主人公っていうと、庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」の薫くんみたいに、
頭はいいが、腕力は無いという主人公が多いですが、GOの主人公の杉原は、頭は良くはないですが、
腕っぷしが強く、闘う男です。
杉原は、体を鍛えていて、腹筋は六つに割れています。(うらやましい。私はガリガリに痩せていて、アバラ骨が出ています)
杉原は、在日朝鮮人です。中学校までは民族学校に行っていましたが、高校は、朝鮮学校に
行かない事に決め、私立の男子校に行くことにしました。
杉原が朝鮮籍だという事がばれて、杉原をぶちのめそうと、高校の生徒が次から次へと挑戦してきます。
灰皿を、クソガキの左眉の出っ張りの部分、正確に言えば、眼窩上隆起の部分に、こするようにして
叩きつけた。ガスッという音がした。スイートスポットに当たった音だった。
体重を乗せた前蹴りを、クソガキの右膝の関節部分に叩き込んだ。
足下に倒れているクソガキの腹に連続して蹴りを入れた。
これで僕の戦績は、二十四勝無敗だ。
友達の加藤や正一や元秀との青春の日々が書かれています。
杉原は、オヤジが最大のライバルです。オヤジは以前、ランカーのプロボクサーでした。
杉原は、オヤジにボクシングを教えてもらいました。
杉原は、悪さをするたびに、オヤジにボコボコにされてきました。「オヤジを絶対倒してやる」
杉原は、オヤジと対決する時がきました。二十四勝無敗の杉原はオヤジを倒せるのか?
高3の杉原は、高3の女の子、桜井と知り合い、つきあうようになります。
僕はいつも桜井の首筋にキスをしながら、背中を優しく撫でた。桜井は胸にキスをされるより、首筋に
キスをされるのを好んだ。曲線を描くように背中に指を這わせると、桜井はいつも深くて濃い吐息を漏らした。
そして、僕の耳に口を寄せ、何度も「好きよ」と言った。
杉原は、桜井に、自分が在日朝鮮人だという事を打ち明けていません。
打ち明ける日が来ました。桜井の反応は?
とにかく心躍る、青春小説です。
闘う男、杉原のハードボイルド小説でも有ります。
私のハードボイルド小説の定義は、自己のプライドを守るために戦う、孤独な男の物語です。
桜井が、とってもキュートです。
「赤頭巾ちゃん気をつけて」の薫君のガールフレンドの由美みたいに、すぐに「舌かんで死にたい」なんて言いません。
おすすめ本です。