中村うさぎのおすすめ本

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  • 中村うさぎのおすすめ本を紹介します。 中村うさぎさんをご存じですか。
    色々な体験をして、それを本に書いてきました。
    最近は、佐藤優さんとコンビを組んで、「聖書を読む」なんて本を出版されてます。

    過去にショッピング中毒、ホスト中毒であって、恋愛探求者の
    中村うさぎさんの著作を紹介します。
    「私という病」と「セックス放浪記」を紹介します。 私は中村うさぎさんの著作が好きです。
    体を張って、行動した事を本に書いていて、文章が正直で
    誠実だからです。
    文章を読んでいて、波長が合うというか、
    共感を感じる部分も多いです。
    NO.1私という病 中村うさぎ 新潮文庫  



    この本の構成は下記のようになってます。
    第一章:セレブ妻・叶恭子(源氏名)のデリヘル日記
    第二章:女は女であることを確認してこそ女となる
    第三章:男の自己正当化病と女の引き裂かれ症候群
    第四章:東電OLという病

    第一章は、中村うさぎが、叶恭子(源氏名)という名前で
    デリヘルで働いた体験記です。3日間で11人の客をとった
    体験記です。面白いです。最初に、店長から、フェラチオの実技を
    教えてもらいます。

    なぜ47才の中村うさぎが
    デリヘル嬢体験をするようになったかの原因は
    第二章に書いています。
    ある若いホストから好きになったと言われ、そのホストと
    付き合うようになります。
    そのホストをNO.1にするために、お金をつぎ込みます。
    (2000万円ぐらいつかったそうです)
    そのホストとホテルに行きSEXします。
    ホストが部屋の電気を暗くして、SEXし、行為の最中に
    中村うさぎの顔を見ないSEXに、うさぎは変だと思いました。
    見つめあうことの一切ないSEXを、うさぎはおかしいと感じます。

    後に、違うホストから話を聞きます。
    「ババアとSEXするのは、つらいよ。明かりを消して真っ暗に
    しても、ババアの顔が薄ボンヤリと見えると、萎えてしまう。
    必死で目を瞑って、アイドルの顔とか思い浮かべてさ」
    中村うさぎは、それで若いホストが明かりを暗くして、
    顔を見なかった理由がわかりました。
    うさぎは、若いホストと別れました。

    心に傷を受けました。自分の女としての能力を確かめたくて、
    デリヘル嬢を体験することにしたのでした。

    中村うさぎが男に不信感を感じるようになった原因は、
    若い頃に、電車の中で痴漢されたり、仕事でセクハラを受けたり
    したことが原因です。

    中村うさぎは言います。
    男から身体を触られるのが嫌いだし、自分から触ることもしない。
    私は男が自分に許可なく性的関心を寄せること(セクハラとか)に
    対して、激烈な怒りと憎悪を抑えきれない。
    しつこいようだが、私が許可した相手なら、いいの。
    たとえば、私が恋愛感情を抱いている相手であれば、
    むしろボディタッチも欲望の視線も勃起したチンコも大歓迎よ。

    うさぎと仲のいいオカマが言います。
    「ノリちゃんは、茨姫みたいだ。自分の周囲に、
    トゲトゲの蔓を張り巡らせてるイメージ」

    確かに、私は茨姫だ。ただし童話の茨姫は魔女の呪いによって
    眠らされ、城の周囲に茨を張り巡らせたのは魔女の仕業であるが、
    私の場合は、城に茨を張り巡らせたのも自分なら、城の奥で
    「もう一人の私」を強制的に眠らせているのも自分自身なのだ。
    ベッドの中で眠っているのは「お姫様な私」である。
    自分を救ってくれる男を夢想し、王子様に愛されることが
    自分の存在価値だと、疑いもなく信じているファンシーな私。
    若い頃の私はそういう女であったのだ。

    そして今の私は、そんな私を憎み、封印してしまった魔女なのである。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    だが、彼女が眠りながら見続けている夢が、いまだに私を苦しめる。
    男に愛されたい、男とセックスしたい、男によってナルシズムを
    満たしたいと願う彼女のロマンチックな夢こそが、私にとっては
    、男に傷つけられ絶望させられる悪夢なのだ。

    中村うさぎの著作は、もう一人のうさぎが、他のうさぎを見ているようで、
    冷静で、分析的です。
    眠れる姫と魔女を仲直りさせたいというのが、切なる願いのようです。
    私の好きな本で、おすすめ本です。

    中村うさぎは、眠れる姫をすてきれず、愛する男を求める旅を続けます。
    ホストに絶望しても、愛する男をあきらめられないのです。
    ウリセン(お金を払えば、女とつきあってくれる若い男)との
    色々なつきあいは、「セックス放浪記」に書かれています。
    この本も面白いです。

    女の人って、本当に、下記のように思っているのですか?
    しつこいようだが、私が許可した相手なら、いいの。
    たとえば、私が恋愛感情を抱いている相手であれば、
    むしろボディタッチも欲望の視線も勃起したチンコも大歓迎よ。(H.P作者)


    NO.2セックス放浪記 中村うさぎ 新潮文庫  


    「セックス放浪記」は、「私という病」の続編になっています。
    デリヘル嬢を体験して、自分の女としての価値が、
    捨てたものではないと感じたうさぎは、ウリセンを買います。
    ウリセンとは、ゲイの男性を相手にセックスを売っている
    男の子で、女性客の相手もしてくれます。

    初めてのウリセンの男は、うさぎに勃起せず、うさぎは
    がっかりします。

    「やっぱりさぁ、愛がなくっちゃ虚しいわよ。
     愛がなくっちゃ男のチンコも勃たないし、女だって濡れないでしょ?」
    「そう?私は、愛がなくても欲情すれば濡れるけど」
    「節操のないババアねえ」
    オカマの友人が、呆れたようにため息をついた。

    オカマの友人が、うさぎを逆デリヘルに連れていきます。
    男をお金で買うデリヘルです。
    客はゲイと女です。
    テツヤ君とのSEXに、うさぎはイキました。

    二回目にテツヤ君のところにうさぎがいくと、
    テツヤ君は、「AV観ていいっすか?」と聞いてきました。
    「うん、いいよ」
    仕方なくそう答えたものの、うさぎは、私はAV観て無理やりチンコ勃てなきゃ
    出来ない相手かと思い、ショックを受け、SEXも不完全燃焼となり、
    それ以後は、テツヤ君のところに行きませんでした。


    うさぎは、ハプニングバーに行って、若い男と、
    多くの男達の見ている前でSEXしようとしましたが、恥ずかしくて
    SEXできませんでした。

    うさぎは自分がMなのではないかと思い、六本木のSMクラブに行き、
    店のママに縛って、天井から吊るしてもらいます。
    しかし、痛いばかりで、快感は感じません。

    うさぎは言います。
    漫然と王子様の訪れを待っているうちに、マグロ姫はガラスの寝床の
    中で、干からびたババアになってしまった、
    自業自得である。
    で、むっくりと起き上がったババアは、「このままむざむざと諦められるか」
    とつぶやき、冒険の旅に出たのであった。

    ウリセンの男の一人を、うさぎは気にいります。
    SEXせずに朝まで飲み明かしたりして、関係を作った相手です。
    彼は「本気で好きだよ。それだけは信じて」とうさぎに言います。
    彼とのSEXは気持ちの良いものでした。
    しかし、すぐに地獄がやってきます。
    「愛されたい」という地獄です。
    相手の愛が信じられない。信じてバカを見たくない。
    だけど、愛されたくて仕方がないという地獄です。
    うさぎとウリセンの男との関係はどうなるのでしょうか?
    文庫版あとがきに、うさぎが書いてますので、読んでください。

    今回のウリセンが、はたして幾多の試練をクリアして
    真の愛を証明する英雄なのかどうか、私には皆目、見当が
    つかない。例のホストと同じ、魂まで汚れきった金目当ての
    嘘つき王子である可能性は限りなく高い。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    落城寸前の茨城は、もう既に、扉が半分ほど開いている。
    扉の陰から姫君が手だけを出して、王子を誘いこむべく、
    金品をばらまいている。


    巻末に収録されている、特別対談 「セックスと神」が面白いです。
    作家で、元外務省主任分析官の佐藤優さんと、中村うさぎの
    対談です。

    佐藤:やっぱり天国にはノートがある。
    中村:ノート? 何の?
    佐藤:救われる人のノート。多分、そのノートには名前がある。
        「中村うさぎ」という名前が。
    中村:私の名前なんて、ないっすよ。
    佐藤:ある。あるから、結果として全部、成功する。
    中村:ぜんぜん、成功してないじゃん。
    佐藤:いや、失敗していれば、もうこの世に存在していない。
    中村:死んでいるということですか。
    佐藤:死んでいるより、もっと怖いことがある。
    中村:どういうこと?
    佐藤:過剰にあふれる商品の中で忘れさられている。一冊も売れない。

    中村うさぎは言います。「ねえ、神様。佐藤氏が言ったように、私の名前が
    天国のノートに記されているのなら、私はいつかあなたに会えるよね?
    そしたら、褒めてくれなくていいし、ゴールド会員カードとかもくれなくていいから、
    ひとつだけ教えて。あなたは何のために、人間を、そして女という
    存在を、作ったのですか?
    それが聞ければ、もういいや。私は満足して、旅を終わらせることが
    できると思うから」

    中村うさぎは、次々と、テーマを変えて本を出し、出す本は
    結構、ヒットしています。
    やはり、天国の救われる人のノートに、
    中村うさぎの名前があるのでしょうか。
    幻燈社社長の見城徹なら、こう言うと思います。
    「すぐれていても売れない作品は有るが、ヒットした作品は
     全て正しい。よって、中村うさぎの名前は、
     天国の救われる人のノートに書いてある」と。

    でも、何故、ホストとか、ウリセンとか、金で買う男だけに相手を
    探すのでしょうか?
    趣味のサークルとか、スポーツクラブとかで、相手を探さないのでしょうか?
    女としての賞味期限切れが近いと感じて、
    あせっているのでしょうか?(H.P作者)