私の書いた詩

私が昔に、詩の同人誌に投稿した詩です。
10年前から8年前まで、詩の同人誌に詩を投稿していました。
2か月に1作、400字原稿用紙に1枚半という長さの制約があるので、
苦しんで詩作を行っていました。
同人誌主催者が亡くなり、同人詩が廃刊になって、詩作の情熱を失くしました。
同人誌主催者のために詩作していたからです。
原稿も同人誌も散逸してしまい、当時書いた詩は、あまり残っていませんが、2編を紹介します。
著作権は、私にあります。
同人詩主催者が「いい詩だね」と言ってくれた詩です。
昔の詩を、久しぶりに見て、詩作の情熱が蘇りました。
これからは、自分のために詩作を行うつもりです。


1.灰色のウグイス
太陽からの巨大な引力で
私の体は吹き飛ばされそうだ
二日前の台風により砕け散った
私の心臓の中で
灰色のウグイスが鳴いている
月が黄金色のツララを投げるので
刺さった部分がヒリヒリ痛む
夜中の十二時に水を汲むことを
命じられた少女が
泣きながら
水を汲む
バクの夢を食うことを
命じられた男が
バクの寝るのをずっと待っている
虹の橋を渡ることを命じられた男が
今日も失敗して墜落する
禁断の愛に悩む女が
今日も橋から身を投げる
巨大な嘘を見抜いてから
私は追われる者となった
私の心に懸賞金がかけられた
私は心を透明にして
川の底にかくした
菩提樹の下ですわっていると
川のせせらぎが聞こえる
心臓の中から灰色のウグイスの
歌が聞こえる
苦しみに満ちた希望の歌が
汚辱にまみれても
まだ
無垢な心の歌が


2.照準
Aはピストルを持つと
何の迷いもなく照準を合わせ
引き金を引いた
弾は美しく一直線に飛び
大いなる者のところまで届いた
なぜならAは標的を心で見ていたから

Bは射撃の練習をつんできた
いつも射撃のことを考えていた
彼は慎重に照準を合わせ
引き金を引いたが弾は横にそれ
木の幹をつらぬいただけだった
「なぜそれる」Bは頭をかかえた
彼の技方は大いなる者とは無縁だった

Aは何の迷いもなく照準を合わせ
Cを撃った AのCを思う心の弾は
Cの心の中ではじけ Cの心の泉を
沸騰させた
死のうとしていたCは生きる力を得た

Bは慎重に照準を合わせDを撃った
Dの気を引き 取り入って
利を得ようとして
Bの邪念に満ちた弾は
Dの心の中で毒をまき散らした
Dは絶望に満ちた眼でBを見て
冷たい銃身をBに向けた


  • 入口に戻る