詩作の情熱が蘇ってきたので、詩を作って、随時、UPしていきます。
著作権は、私にあります。
昔は同人詩の主催者のために詩を書いていたので、言葉を研いだ、凝った詩を作っていましたが、
これからは、自分のために書くので、平易な言葉の、わかりやすい詩を作るつもりです。
でも、もともとは、言葉を研いだ凝った詩が好きなので、そのような詩になるかもしれません。
同人詩主催者の制約だった400字原稿用紙2枚以内は守るつもりです。
2016年4月8日 UP
NO.8 ユールック グッド ツゥー ミー
やせっぽっちのあなた 少食だものね
仕事でミスってしかられたのね
ポケットに両手を入れて うつむいて歩く
出てくるのは ため息ばかりね
気分を変えようと行ったパチンコ
すべてスッて スッカラカンね
自分に対して怒っているのね
ポケットに両手を入れて うつむいて歩く
出てくるのは ため息ばかりね
お金を無くした日曜の昼食
公園のベンチで
メロンパン1個とジュースのランチね
パンくずをまいて スズメにあげるのね
スズメの姿を あきもせずに見るのね
カロリー不足で またやせるわね
日曜の夜はオンボロアパートの部屋で
資格取得のための 勉強をするのね
勉強を始めても すぐ眠くなって
ウツラウツラとしてしまうのね
だめな自分に怒りが湧くのね
頭が悪いと 呪いの言葉を自分に言うのね
今日も仕事で苦労したのね
終電近くに帰ってきたのね
努力が報われなくて
肩をすぼめて 帰ってきたのね
深夜に一人で カップラーメンのディナーね
グラビアの女性のヌード写真をじっと見るのね
ユールック グッド ツゥー ミー
やせっぽっちで 不細工なあなた
私はあなたを いつも見てるの
なぜかしら あなたはいつも私のヒーロー
あなたは素敵よ
あなた以上に素敵な人は
この世界の どこにもいないと私は思う
2014年2月16日 UP
NO.7 あの雲に誓って
2月の冬の日曜日の昼間、私は散歩する
真っ青な空に 小さく丸い雲が一つ浮かんでいる
シジュウカラが鋭く鳴いた
「あの雲に誓って 今日一日を生き抜きます
これからエサを探します 」
近くの公園のベンチにすわる
日があたって暖かい
近所の人が乳児を公園に連れてきた
飼い犬の柴犬も一緒だ
柴犬が鋭く吠えた
「あの雲に誓って
不審者の侵入は許しません
番犬として役に立つ犬になります
居眠りばかりしないようにします」
赤ん坊がバブバブと言った
「あの雲に誓って
すくすく成長してみせます
生きる喜び つかんでみせます
親孝行もしてやります」
赤ん坊と柴犬が私を見ている
私も誓えと催促している
「あの雲に誓って・・・」
「あの雲に誓って・・・」
定年の近い、くたびれた私は言い淀む
男性ホルモン低下で元気が出ない
「あの雲に誓って
柴犬に出会った時には頭をなでるよ
赤ん坊よ、君の今後の幸せを祈るよ
コンビニで買い物した時
余った小銭は募金しよう」
私の誓いはそれだけだった
2013年11月9日 UP
NO.6 私の愛は最近少しくたびれている
最近、私の愛は少しくたびれている
君の愛はどうですか
人のために良かれと思い
かけた言葉が通じない
かえって逆ギレされたりする
人のために行動しても
まだ足りないという顔をされる
愛は無尽蔵なんて、それは嘘だ
出してくばかりでは愛は枯渇する
私は生身の人間だ 君も生身の人間だ
たまには人の頼みに出来ないと言おう
笑顔ばかりしていずに
たまにはムスッとしていよう
林の中で大声で怒鳴ろう
お礼の言葉はどうしたと叫ぼう
無償の愛を目指してはいるんだ
あの人の幸福を祈ってはいるんだ
しかし私も生身の人間だ
体調不調の時もある
仕事でストレスもたまっている
成果が出ずに非難もされる
今日一日を何とか必死で耐えている
愛する道は険しい道 人のために耐える道
たまには好きな映画を観よう
たまには酒で発散しよう
たまには好きな音楽を聴こう
たまにはさっさと寝てしまおう
愛するために大切なのは
自分も愛してあげること
自分もいたわってあげること
道端の花を見つめよう
空の星を見上げよう
一人で静かに過ごす時間を確保しよう
あの人に注いであげる
私の愛を少し元気にするために
2012年12月14日 UP
NO.5流れる
今日は ふたご座流星群
夜空に多くの星が流れていく
音をたてずに 星々が流れていく
私は生後 気がつくと 一そうの小舟に乗り
川を流れて漂っていた
櫓をこいで舟を進めようとするが
思うようには前進しない
やがて舟は大海に出た
舟の中には両親や妹達がいた時期もあり
妻子がいた時期もあるが、今は一人で
漂っている
熱い太陽に焼かれた日もあれば
北風に凍えた日もあった
凪いでいる日もあるが
波が荒れ狂っている日もあった
何のために流されているのかと問うが
答えは今だに見つからない
暴風雨で私の小舟が転覆しそうになった時
私は舟の中で眼を閉じ静かに息をする
昔の記憶がよみがえってくる
旅を始めたころ この舟は小川を漂っていた
早春の日で 川辺に梅の木があり
花が咲いていて、ウグイスが止まっている
ウグイスが「ホケキョー」と鳴いた
ウグイスの言葉の意味が 今やっと私にはわかった
ウグイスは言った 地球も木々もお前も私も
全てはともにつながり、共に生きていると
各々の運命のもとに 流されていくと
私のほほに暖かい涙が流れる
ウグイスは言った 最後は流星と共に
宇宙の中を漂い 全ての源へ帰っていくのだと
梅の花の赤とウグイスの体の緑が
あざやかに記憶によみがえった
そうか、今日は多くの命が源へ帰っていったのだ
私は手を組んで立ち上がりつぶやく
とりあえず今日を何とか生き延びようと
源とつながる日が来るまで
2012年10月1日 UP
NO.4秋の森の中で
秋の森の中で、タップダンスを踊る
「タッ タッ タッ」
足音だけが響く
リズムをとりながら 体を回転させる
体が回る 黄色の木々も回る
澄み切った空も回る
秋の森の中で タップダンスを踊る
足音だけが響く
心は解放されて はるか遠くにいる
仕事を忘れ声を忘れ 自分が誰かも忘れた
枯葉とともに 体が回る
体は風となって 森の中を動く
静けさの中で 昔に失くした多くの物を
思い出す 無垢なる心を思い出す
秋の森の中で タップダンスを踊る
「タッ タッ タッ」
足音だけが響く
悩みを忘れ 体を忘れ 心は空白になる
静けさの中で 幼い時の喜びを思い出す
吹いてくる風の中にささやく声が聞こえる
「心配するな 万物の根源は一つだ」
2012年7月25日 UP
NO.3銀河へ
はるかに見える銀河の星々が
青白く静かに光っている
満天の星空の下で
私は木の幹に「信じる心」と彫った
いじめ、戦争、自然破壊
絶滅、殺戮、異常気象
人間の心はバランスをくずし
地球の自然もバランスをくずしている
ピストル乱射、毒ガス散布、飢えと干ばつ
人身売買、無差別殺人、核実験
世界は全く狂ってきている
満天の星空の下で
私は木の幹に「愛する心」と彫った
銀河へ向かわねばならない
身体の中の銀河の法則に従うべきだ
身体は細胞という無数の星々を内包している
身体の中の銀河は正しい物を知っている
心を調和する世界へ向かわせる
銀河へ向かわねばならない
地球も従っている宇宙の法則に従うべきだ
無数の星々は静かに真理を示している
大いなる者が星々の運行をアレンジしているはずだ
銀河へ向かわねばならない
君の瞳に無数の星々がきらめいている
その瞳は愛する心、信じる心で光っている
その瞳の無数の星々は、私の心を沸騰させる
沸騰した私の心にも無数の星々が誕生する
私の心の中の星々は、私の心から溢れだし
あなたの心に、彼の心に、彼女の心に
入っていく
心の中の星々は手をつないで歓喜に打ち震える
銀河へ向かわねばならない
邪心を捨て 利己心を捨て 疑いを捨て
欲望を捨て 生まれたばかりの心で
生まれたばかりの銀河と向き合うべきだ
生まれたばかりの心は
生まれたばかりの銀河と結合して
約束の地へ 我々を導くだろう
2012年7月10日 UP
NO.2橋
引き裂かれた宇宙に 橋がかけられる
愛していると言っていた 彼女の愛は
虚妄だと昨日証明された
裏切りと断絶の方程式の解は
深い孤独だ
私にとって 死だけが予定調和されている
予定調和された世界に反抗し
人々に反逆する事を扇動した罪で
私の死刑が決定された
私の体は冷たい海の中に沈められた
沈下していく私は
ひそかに歌うべき 祝いの歌を
準備している
橋の誕生を祝う歌を
引き裂かれた宇宙と浮遊する人間の生命を
あの橋はつなぎ止める事ができるのか
今の私はその可能性に賭けるしかない
宇宙にかけられた橋は
すべての感傷を排して 青白く光っている
私の体はだんだん冷たくなってきている
私の祝いの歌は あの橋を
さらに青白く光らせるだろう
2012年6月27日
NO.1得た物失った物
私は長らく生きてきた
私が今まで得た物は
様々な知識か
大局観か
鈍感な心か
厚い面の皮か
無駄を排する力か
効率良く行う力か
結果のみ見て切り捨てる力か
人の欠点をすぐ見抜く力か
夢をふくらます若者に
「そんなのできるわけがない」と助言できる知恵か
理想に燃える若者に
「君もすぐに現実がわかるよ」とアドバイスできる力か
「君は良くやっているがまだまだだ」と部下をシビアに査定する力か
ちょっと待ってくれ そんな事をするために
私は生まれてきたのだったっけ
失ったのは 明るい心
失ったのは やわらかい心
失ったのは 信じる気持ち
失ったのは 待ってあげる力
失ったのは 一歩を踏み出す喜び
失ったのは 助けてあげる心
失ったのは あなたと見つめ合うトキメキ
失ったのは あきらめない心
失ったのは 努力をほめてあげる気持ち
失ったのは 何度でも挑戦する情熱
今日電車の中で 私に笑いかけてくる
2歳の女の子のうれしそうな顔を見て
私は、私の失くした物に気づいて愕然とした
失くした物を 取り戻すにはどうすれば良いのか
私の仏頂面で まわりを暗くしている事に気がついた
必要なのは 感謝の気持ち
必要なのは 明るい笑顔
必要なのは 努力をほめてあげる心
必要なのは ともに歩む覚悟
必要なのは お礼の言葉
そして何より大切なのは
自分とあなたを信じる心