私立探偵のスペンサーは、元ボクサーで、パンチも強い。
誇りを持って生きることを大事にしている。
女性の依頼人パティの息子の15才のポールは、両親から相手にされず、体も細く、
自分が何をしたいかもわからず、自分に誇りも自信も持てない。
スペンサーは、ポールを、自分に誇りを持てる男にしたいと思います。
ポールと一緒にジョギングし、ボクシングを教え、ベンチプレスで鍛えます。
二人で、森の中に家を建てることにして、毎日大工仕事をします。
スーザンが片肘立てて体を起こした。
「働くことによる解除療法ね」
「あの子供は行動の仕方を一度も教えられていない。
なにもしらない。誇りがない。得意なことは何一つない。
テレビ以外、関心事はなにもないのだ」
「それであなたが教えてやる」
「自分が知っていることを教えてやる。おれは大工仕事を知っている。
料理の仕方を知っている。殴り方を知っている。行動の仕方を知っている」
「あなたの話を聞いていると、とても簡単なことのように思えるわ。
でも、相手に習う意志がなかったら、何も教えることはできない」
「どうだい、一役買わないか」
「相談にのる気はあるわ。成功の可能性はごく薄いわ」
「彼は短期間に大人になる必要があるんだ。独立できるようにならなければならない。
彼にとっては、それが唯一の途なんだ。
彼は15才で子供であることをやめなければならない。
両親はくそみたいな人間だ。彼はこれ以上親に頼ることはできない。自立しなければならないんだ」
「その方法をあなたが教えてやるの?」
「そうだ」
ポールの父親の弱みを探して、ポールの父親から養育費を出させようとしたことから、
スペンサーとポールは、ギャング達との事件にまきこまれていきます。
人間の誇りを持った生き方について考えさせられる、ハードボイルドのおすすめ本です。