「私は甘えているのでしょうか(27歳、OL)」 村上龍 幻冬舎文庫
村上龍のこの、人生相談への回答は、なかなか面白いので、時々、読み返しています。
「私は、たいしてやりたくもない仕事を一生懸命やっています。だから、やりたい仕事についた
友達を見ると、悲しくなってしまうのです。(26歳、事務職)」
そう思うのはふつうのことです。これは自分に向いている仕事だと思っている人は
全体の数%じゃないですか。真っ当な悩みだと思います。でも友達が本当にやりたい仕事について
イキイキと働いているかどうかはわからない。だからまず、あまり他人と比べないほうがいい。
こういう悩みを持つ人が増えたことの背景には、大前提として就職難があります。
「27歳。激務の会社を辞めました。待遇や人間関係の問題で、好きなお菓子作りの会社を辞めました。
仕事は好きだったのですが。新しい営業の仕事に不満はないけど、結局どちらがよかったのか。(27歳、営業職)」
ホンワカした職業に見えるけど、お菓子作りの現場というのは大変らしいですね。朝早くから小麦粉とかを
こねたりしなきゃいけないので、睡眠時間は短いし、若いころはこき使われたりするんだろうと思います。
大工さんなんかも、見習いのころは使われるだけ使われて、あまり給料ももらえないと言います。
ある仕事が好きだというとき、「好き」という言葉が曖昧だから厳密に定義することができないのだけれども、僕はそこに、
「その仕事が続けられる」とうことが含まれる気がするんです。
たとえば好きなこと、向いていることをやっていると、夢中になるから、嫌いなことや向いてないことをやるよりストレスが
少ないはずです。
辞めたことに何か少し未練があったりすると、実際以上によく見えるものです。
未練のあるものは、良く見えます。いまの仕事が苦痛でなかったら、それでいいのでは?
村上龍の回答は、なかなか含蓄が有り、考えさせられます。