山本文緒のおすすめ本

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  • NO.1恋愛中毒 山本文緒 角川文庫  


    山本文緒さんが書いた恋愛小説です。
    水無月美雨が主人公です。

    藤谷という男と結婚しましたが、数年で離婚しました。
    なぜ藤谷が冷たくなったのか、水無月には、わかりませんでした。
    結婚していた時は、幸せを感じたのに、一人になってしまった。


    ただひたすら歩きながら、いつしか私は祈っていた。
    これから先の人生、他人を愛しすぎないように。
    愛しすぎて、相手も自分もがんじがらめにしないように。
    私は好きな人の手を強く握りすぎる。
    相手が痛がっていることにすら気がつかない。

    水無月は、離婚した後、弁当屋で働きます。
    そこへ芸能人の創路攻二郎が弁当を買いにきます。
    水無月と創路は親しくなり、水無月は、創路の愛人になります。
    創路には、複数の愛人と正妻がいます。
    正妻の、のばらは、全くのお嬢様育ちです。
    水無月は、弁当屋をやめて、創路のアシスタントの仕事をするようになります。

    水無月は、創路を独占したいと思いますが、それはかないません。
    水無月、のばら、創路、複数の愛人達の激しく、緊張感のある物語が進行していきます。

    どうも水無月は、好きな男を独占したくなるようです。
    創路は、テレビ番組に出たり、エッセーを書いたりする、芸能人ですが、
    手当たり次第に女を軟派します。
    正妻より古いつきあいで、スナックをやっている美代子、創路のアシスタントを
    やっている陽子、タレントの卵の千花、皆、創路の愛人です。
    水無月は、愛人バトルを勝ち抜いていけるのでしょうか?

    それにしても創路はすごいです。
    私なんて、1人の女性への対応でアップアップしてるのに、
    創路は、5人の女性と同時につきあっているのですから。(H.P作者)

    水無月は、別れた夫に執着しています。
    なぜ別れることになったかが、わからなかったのです。

    けれど今、夫がどのくらい子供だったかが改めて分かった。
    それは創路功二郎が年齢的に二十あまりも上だということもある。
    けれどやはり、夫は子供っぽかった。
    ・・・・・・・
    ただ創路功二郎は自分の気持ちから決して目をそらしたり逃げたりしない。
    それに比べると、夫はいじけて背中を向けた子供だった。
    それでも。私はそれでも子供だった夫が好きだった。
    何の特徴もなく才能もない平凡な男に、どうして
    私はいまだに執着しているのだろう。
    いくら考えても分からなかった。

    藤谷とは復縁できず、創路を好きだが、ライバルは多く・・・
    水無月の心はじわじわと壊れていき・・・・・
    そして最大のライバルが現れ・・・・・

    女性でないと書けない小説ですね。
    読んでて、本当に、こちらも中毒になりそうでした。

    NO.2プラナリア 山本文緒 文春文庫     

    山本 文緒の連作短編小説集です。
    「プラナリア」「ネイキッド」「どこかでないここ」「囚われ人のジレンマ」「あいあるあした」が
    収められています。
    「プラナリア」と「あいあるあした」がおすすめです。
    「プラナリア」について紹介します。

    主人公は女性の春香です。
    次に生まれてくる時は、プラナリアになりたいというのが口癖です。
    きれいな水にすんでいるヒルみたいな生き物で、3つに切ると、再生して3匹になる
    生き物です。
    「何も考えなくともすむし、再生するのが良い」と、春香は言います。
    「プラナリアなら、乳の再建手術なんかしなくても、再生するし」と春香は言います。
    春香には、大学生のボーイフレンドの豹介がいます。
    春香は乳がんになって、手術を受け、乳の再建手術を受けました。
    月に1回受けるホルモン注射のせいで、めまいや吐き気がします。

    むしゃくしゃして、ボーイフレンドや両親とぶつかる春香。
    体調不調を理由にして、働かずに、プータローをしています。
    そんな春香が、病院に入院中に知り合った女性の永瀬さんの下で、アルバイトを始めますが・・・・・

    鬱屈し、すなおになれない春香に、とっても共感を覚えます。
    面白い小説です、おすすめ本です。

    永瀬さんが、ガン関係の本とプラナリアの拡大写真を送ってきたので、
    春香はぶちぎれます。
    「私、ああいう本、なるべく読まないようにしてたから。
    それとプラナリアのことも、調べようとは思ってないし。」
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    「でも春香ちゃん、アイディンティだって言ってたじゃない。
    それならどうして調べようとしないの?」
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    「だって、調べたところで乳首が生えてくるわけじゃないし、プラナリアに
    生まれ変れるわけじゃないから」
    「そんな問題じゃないでしょう?春香ちゃん?」

    乳房を切り取ったって、女性にとって悲しい事ですよね。
    他の女性から優しくされても、素直になれないですよね。

    この小説も、女性にしか書けない小説だと思いました。