画文集 山の声

画文集 山の声

辻まことをご存じですか。
画家であり、登山家でした。
彼は有名にならなかったし、お金もちにもなりませんでした。
死後の方が、多くの本が出版されました。
彼の死を惜しむ多くの人がいたからです。
彼の本を開くと、彼の自由な精神が語りかけてきます。 

「鳥居尾根」という画文で彼は語っています。
小鳥たちの声を聴くと、よくあんなちっぽけなノドから
大きな声がでるもんだと感心してしまう。

専門家に言わせると、小鳥は歌っているのではなく叫んでいるので、
領有空間の宣言だそうだと、その方のことに詳しそうな人はすぐ教えてくれる。

一定の目的がなければ行為はあり得ないと考えるのは、いかにもガリ勉人生の優等生の意識だ。
行為があったためになんとなく目的が生じることだってある。
なんだか楽しくてじっとしていられないから唱歌する小鳥がいたってちっとも不思議ではない。
彼らのテリトリーがどうであろうが私にはどうでもいい。
とにかく彼らの声はいま美しい。

辻まことは、奥鬼怒の山で、ムササビ打ちをしました。
その時の青い夜を愛していました。
辻まことの冷徹な言葉は、多くの事を教えてくれます。
おすすめ本です。


私は20代後半の時に、辻まことの愛したルートで奥鬼怒湿原に行きました。
金精峠から念仏平を通って根名草山を越えて奥鬼怒湿原に行くルートです。
ガレてるし、草が茂りすぎていて、尾根道がわからなくなるし、アブナイので
このコースはおすすめしません。
途中で道に迷って、やっとの思いで、命からがら奥鬼怒湿原にたどり着きました。
辻まことの愛したルートで奥鬼怒湿原に行けて、嬉しかったです。
 


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