2001年10月号

 


近すぎて母のサインが読みとれぬ
子の腕にすがれば立てる介護四
急流の大河に耐える古時計
貧しさが内から照らし出す墨絵
炎天下どこまで続く冬木立
雲に乗る戦い終えた破れ傘
一灯の終わりを揺する蝉時雨
血縁のしがらみに立つ道標
冗談を鼻に掛けてるデスマスク
骨壺へみんなで詰める青い空