2002年2月号

 

男坂

谷底で読む山頂の訃報欄
言い訳は無用あげくの果ての業
なだめると地団太を踏む不整脈
傘低くして晩秋の男坂
うますぎた話が痛む腹の底
みないふりした残像に顔がない
くしゃみして背中が妙にむず痒い
夜の部でくすぐって買う鬼の面
男でも女でもない夫婦松
四コマ目描き足すものは何もない