前立腺ガンとの格闘記

ドックから百日間の精密検査となり、六月に「前立腺ガン」の宣告を受けた。
が、名医の手術で根治した。句帳に次の川柳がある。
 「台風直撃 自分にすがりしゃがみ込む」
 いざ、手術となると麻酔、手術、輸血等について、予想される合併症、偶
発症について主治医等から詳しい説明があり、サインした。
 「説明を聞く度に増す胸騒ぎ」 これも私の句。
麻酔で意識が消え去る瞬間に亡き両親の顔が浮かんだ。五時間の手術を
終えて廊下に出て、子ども達に「勇」、「あかね」と呼びかけた。
近寄る妻を見て涙が流れた。それを、あかねが拭いてくれた。
川柳人の好奇心で個室と、無料の四人部屋とを使い分けた。句帳に
 「個室より治りが早い四人部屋」 がある。
「ガン告知」のショックから立ち上がり、精密検査のデータを抱えて、第二オ
ピニオンで名医に出会った。この半年で、一皮剥けた 感がある。見えない
ものが見えてきた。 その目で趣味の川柳を深めたい。       茂男