これまでの石仏地図                総目次に戻る
石仏調査資料や石仏案内には、石仏マップが必ず必要であるが、これまで推奨出来るような石仏マップの手法がなかった。

研究者それぞれが工夫し苦労してマップを作っているが、利用する側から見るとお粗末であまり役に立たないことが多い。
最初からマップをあきらめている資料も多い。マップが必要なはずの記事の1/2以上にマップが付いていないため記事の利用価値が著しく下がっている。

お粗末な地図を頼りに石仏を探し出すのは「宝探しゲーム」としては確かに面白いが、それが「石仏研究」の主体を占めるようになると問題である。
すでに所在の分かっている石仏を、地図がお粗末なために一人一人がまた時間をかけて探索し再発見して喜ぶというのは、考えてみると馬鹿馬鹿しい話であり、石仏研究全体として大きな時間浪費である。

これまでの石仏地図は @手書きの部分地図 A直線で道や鉄道を表現したパソコン地図 B既存地図の上に石仏位置を記入した地図などがあった。
@Aは、そのまま現地に持参しても役に立たず、あらかじめ既存地図と付き合わせて詳細に検討し、コースや石仏位置を書き込んだものを作っておかないと役に立たない。
Bは本来市販地図の情報が目いっぱい書き込まれているため、非常に読みにくいし、面積が広過ぎるため、雑誌や出版物に収まらない−−だからといって縮小コピーするとさらにごちゃごちゃして見にくくなる。
  
手書き地図  これだけでは何だか分からず、市販地図と詳細に比較しないと使えない。
 
市販の地形図などに石仏位置をマークしたもの。
地図が大きすぎて製本できない。縮小印刷するとさらに分かりにくくなる。
   市販地図にはすでに目いっぱい情報が書き込まれており、ごちゃごちゃして分かりにくい。
  
左は道路や鉄道を直線で表した略式地図(簡易地図描きソフト)。 右のような複雑な住宅街では、路傍の石仏にたどり着くのは困難である。
筆者は20年前から地図作成ソフト「まっぷっぷ」で石仏マップを作成し、「横浜周辺の石仏地図」として約100枚をホームページに掲載している。
まあまあの出来ではあるが、ソフトを入手しただけで描けるというものではなく、ソフトの習得に1〜2年がかかるし、さらに1枚の地図作成に2−3日かかるなど他人に推奨できなかった。   その後インターネット地図が普及して、自分で地図を作成する需要がなくなり、「まっぷっぷ」ソフトも廃版になってしまった。
 
そんな中で、最近Google社から提供された「マイプレイスによる石仏地図」は、(1)作るのが簡単 (2)使い勝手がいい という理想的な手法であり、あたかも石仏地図のために作られたような技法である。これ以上のものは今後も出てこないだろうし、その必要もないと思われる。
個人レベルでも便利に使えるが、石仏仲間共有の手法として普及すれば、活用範囲が大幅に広がる。ぜひ普及/定着させたい。

全体分布図 縮小すれば自動的に全体図が出来上がる。
 
部分詳細図 拡大すれば自動的に詳細図が出来上がる。細かい道筋まで読める。
Google地図は、マイマップ→マイプレイス→新マイマップと変遷。 新旧が併用された時期もあったが、現在は新マイマップに一本化。  
 上図はマイプレイス時代の作品。 青マークで表示されているが、使い方や機能は新マイマップと同じ。

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