石川著作集より                   目次に戻る
相模原の石仏 多摩石仏の会七月例会

 平成二年七月八日(日曜日)は、多摩石仏の会七月例会である。林国蔵さんの案内で神奈川県相模原市の田名地区を廻る。JR相模線橋本駅改札口に午前九時二〇分集合。集まったのは、鈴木俊夫・山村弥五郎・明石延男・犬飼康祐・福島茂・遠藤塩子の各氏、林さんから「神奈川県相模原市田名の石仏探訪」のパンフレットが配られる。九時三五分発の茅ヶ崎行きのディゼル・カーに乗り、上溝駅で下車する。

上溝下からバスで終点の望地キャンプ入口に向かう。望地のバス停裏には、
  1 文化2 柱状型 「庚申塔」三猿               81×34×31
  2 安永2 柱状型 「庚申供養」三猿              65×26×18があり、文久二年の自然石「二十六夜塔」もみられる。2には、「北ほしのや道」「南たしま道の道標銘が刻まれている。
田名八五九九番地の路傍には、
  3 宝永6 笠付型 青面金剛・三猿               99×34×33がたっている。猿は三面に配されている。
田名五七八八番地の路傍には、
  4 文政5 柱状型 日月「庚申供養塔」三猿           65×28×25が地蔵の念仏塔と並んでいる。

南光寺の参道には、いろいろな石仏がみられる。安永九年・文政九年・安政二年の二十三夜塔があり、七夜待供養の石仏と思われる聖観音・千手観音・如意輪観音・馬頭観音・十一面観音・勢至菩薩の六体の立像が揃っている。十一面観音には「七月吉祥」とあり、他の観音の台石に「辛丑七月吉祥日」の年銘が刻まれている。

寺の近く、田名五六八〇番地の保育園前のバス停には、
  5 正徳1 笠付型 日月・青面金剛・三猿            89×35×31があり、横に慶応三年の自然石「地神塔」がある。

田名五五四六番地のT字路路傍には、年不明の自然石「道祖神」がたっている。

 田名五〇五五番地の半在家山王神社の境内には、珍しい石仏がみられる。左手にに宝珠、右手に剣を執る坐像で、林さんの持参された『仏像図彙』弁天十六童子のコピーにある生命童子と同じ持物である。嘉永四年の造立。ここには、
  6 元禄8 笠付型 定印弥陀・三猿               63×27×22がある。神社の裏にも石仏がみられ、
  7 大正7 柱状型 「庚申塔」                 41×19
  8 元禄8 笠付型 定印弥陀・三猿               70×30×27
  9 享保17 笠付型 「奉造立庚申供養」三猿           67×28×26が並んでいる。ここには陽物の石棒や陰石などもみられる。

田名五一二一番地の路傍の高台には、正面に「二十三夜塔」、左側面に「二十六夜塔」の主銘を刻む文化十年の柱状型塔がある。
同五〇八三番地のでえの坂の路傍には、昭和九年の「道祖神」と並んで
  10 宝永3 笠付型 青面金剛・三猿               96×39×36がみられる。猿は、三面に配している。

同五〇七二番地の宮崎藤次さんの墓地で弥陀一尊種子の板碑を拝見した後で、堀の内自治会館(田名四九九〇番地)を訪ねる。会館の近くに相模三大陽物の一つといわれる石棒をみる。檻の中に置かれている。長文の銘が刻まれている。陽石の前に
  11 享保1 笠付型 日月・青面金剛・三猿            56×22×22がある。この辺りの特色である三猿が三面に配されている。左手にある堂内には、蚕影山の金色姫の木像が祀られている。こうした像は珍しい。

旧大山街道の路傍(田名三二八番地)には、石仏が並んでいる。その中に
  12 宝暦3 柱状型 三猿                    73×25×20
  13 年不明 柱状型 三猿                    77×31×24の二基がある。共に三面の下部に猿を配置する。

水郷田名自治会館(田名九六四番地)の前には、
  14 文化2 柱状型 「庚申塔」三猿               65×29×25などの石仏が並んでいる。この庚申塔の台石に浮彫りされた三猿の姿態が珍しい。横には文政五年の柱状型「一帆勢至菩薩」塔がみられる。

滝集会所(田名一一八四番地)には
  15 元文5 笠付型 日月・青面金剛・三猿            75×28×29
  16 年不明 断 碑 三猿                    28×22×19の二基がある。16は、猿が三面に陽刻されている。

田名一二五六番地には、
  17 明和5 笠付型 日月・青面金剛・一鬼・三猿         53×25×22があり、
同一二六三番地には、
  18 安永2 柱状型 「庚申供養塔」               68×29×24がみられる。

四ツ家石神社(田名四三二一番地)の境内には、文久三年の自然石「地神塔」や寛政六年の柱状型「二十三夜供養」塔があり、
  19 宝永6 笠付型 青面金剛                  82×31×26
  20 正徳4 柱状型 「(奉造立)庚申供養」三猿         55×27×18の二基もある。
バスで上溝駅に向かう。

 解散後、林さんの案内で鈴木さんと犬飼さんと共に上溝の石仏を廻る。
まず上溝七丁目一六番にある山王神社を訪ね、境内にある
  21 寛保2 笠付型 「奉請青面金剛童子」           71×27×20をみる。次いで二六番にある
  22 天保3 柱状型 日月「庚申塔」               62×28×22を写す。左側面に刻まれた年銘の「雁来月吉旦」が変わっている。横には、文化十四年の柱状型「堅牢地神塔」がある。
同丁三一番の路傍にある
  23 安永5 柱状型 「ウーン 庚申塔」             86×36×30をみてから、
上溝二五七八番地にある
  24 元文2 笠付型 日月・青面金剛・三猿            86×31×29を訪ねる。

これを最後に上溝駅へ向かう。
             〔初出〕『私の石仏巡り 平成編』(ともしび会 平成七年刊)所収
マイプレイス地図を参照  http://goo.gl/maps/BqZoH
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☆「水郷田名」は最近団地化されて出来た新しい地名らしい。この一画だけ番地取得が出来なかった。

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