長谷川皮革工房 横浜ハーバーライト 皮革工房髭親父コメント



 長谷川皮革工房横浜ハーバーライト


              『2度、役に立てる喜び』

「使わない、使えない、使い難い、人にも譲れない、けれど処分も出来ないまま…」

工房にお越し戴いた御客様から「捨てなければ良かった!」「しまい込んだまま何処かに…」と言う言葉をお聞きする機会が少なくありません。

リメイク、修理、リフォームを施すことは、そのままでは処分されるであろう製品や素材をリサイクル活用する事に依り「新たな命をふきこんで輝きを取り戻し」その持ち主にとっても譲り受ける人にとっても「再び人々の役に立てる様に蘇るのです。」

材料が良いものだから、ブランド品で高価だったからと言う理由よりも『直せるなら直して使いたい。使えないなら作り変えてでもそばに置いておきたい』と言った製品への愛着が当工房へのご依頼に繋がっています。

「素材となった動植物の命」や加工業者、材料問屋、企画開発、生産、物流、販売などの流通に携わってきた多くの人たちの労力と、それを愛用してくれた持ち主の思い出や思い入れのこもった製品にもう一度「再生の喜び」を与えて挙げてください。



フィレンツェのグッチ本店で購入されたボストンバッグ。

お客様にとっては思い出深い製品故、元通りに修復して長く愛用したい一点で在るとのこと。高価に至る大手術が見込まれましたが(新品を購入出来る価格であるにも拘わらず)ご依頼を戴きました。

外装の黒の部分と内装は全て合成皮革で作られ経年変化に依るべたつきと剥離がかなり進行していました。

製品を全解体したのち、ブラウンの皮革部分と金具類は再利用。
外装の合皮部分は同様の型押しの牛革に、又内装は合皮からコットンの布地に交換、皮革部分にも染色リフォームを施して再生しました。

納品から2ヶ月後使用されたご感想と礼状を頂戴しました。


        『オーダーメイド、修理は高価!? とお考えのお客様へ』

『その通りです!』

間違いなく安価なのは量産された既製品です。日本人技術指導のもと、アジア各地で安価な資材が作られ しかもその国内に於いてやはり低工賃で製造された物ならば尚更ですね。物は使い捨て、消耗品と割り切って安物買いを続けるのもこれはひとつのポリシーですから否定は出来ません。

ブランド、ノーブランドに拘わらず、その時は気に入って購入した商品でも、いざ使い出してみるとどこかに不平不満を抱きながらも我慢して使い続けたり…或いは妥協できず新しい物に買い換える事で傷んでもいない製品をしまい込んだしまったり…もしくはオークションやフリーマーケットで不本意な価格で処分してしまった経験は有りませんか?


既製品を買い続けたら結局は其の繰り返しなのですね。自分が使い易いものはあなた自身が最もご存知のはず。

収納目的別専用のケースやポケットを必要とされている方。左利きの方に使い易いデザイン。身の丈に合ったサイズ。欧米の仕立てと日本人向きの仕立てに疑問を感じている方。障害をもたれている方等々、人それぞれに使い易い物は異なります。


手に入らないと諦めていた物を思い通りに作ったり、直したり、作り変えたりして、長く使えて愛着の持てる、しかも世界でたったひとつのあなただけのオリジナルを手に入れることはあなたにとって「高い買い物」ですか?


【医療関連オーダーメイド実例】







ショルダー兼用ウエストバッグ。
実は人工透析を受けておられる義父様の「携帯トイレ」としての使用目的に、義娘様からオーダーを戴きお作りしました。
ご主人様のお薬や注射器、診察券等のパーソナル医療備品収納目的に奥様よりオーダーを戴いた携帯ポーチ。
おみ足がご不自由なお嬢様のためにお母様からご依頼を受け室内履きをお作りした当時の試作品。


                    『高価にならざるを得ないわけ』

世の中、製造や小売りに拘わる業者は数あるものの、修理、リフォームを請け負ってくれるところが少ないのは何故?と疑問に思われたことはありませんか?
それはね、「採算」が合わないからです。手間暇がかかる割に儲からないと言うことです。ユーザーが考えるほど簡単ではなく、豊富な経験や技術がない者が請け負えば苦労して時間を掛けた分、更に割高にならざるを得ないのです。元より「買った方が安いのでは?」と腰が引けているお客様には価格が最優先するのであれば「量販店に行けば安いものが手に入りますよ」とお答えするしか有りません。

まず、修理、リフォームが高価と感じられる理由の一つに修理、リフォームにかかる費用は商品の購入代金とは一切無関係と言うところにあります。商品は全パーツを含めた「丸ごとセット売り」ですが修理、リフォームはパーツの「切り売り」で有ることをご理解いただかねば成りません。しかも修理、リフォームのスタートは「交換用新材裁断」からではなく「解体作業」がスタートです。既成の商品は作りやすい手順で組み立てられていますが出来上がった製品に手を加えると言うことは生産と異なる手間暇と技術が要求されます。一本だけのために型紙を起こしたり、全てハンドメイドで「外す、直す、作る、取り付ける」を行わねばならず、ブランド品であろうがバーゲンや中古で購入したものであろうが、要する時間も使う素材量にも全く差が無く、解体作業という避けては通れないプロセスと等価が加算されるのです。

リメイクの場合に受ける質問の多くに「クライアントが材料を持ち込むのだから材料代分安くなるのでは?」と言うものがあります。
既製品でも材料費はよほど特殊なものでない限り高くても販売価格のせいぜい2〜3割程度です。上記同様「解体作業」から始まり必要面積に足りなければ何度も「はぎあわせ」の行程を繰り返さなければなりません。しかも劣化の進んだ素材を再利用する事は新品の材料を使用して普通に製作する製品以上に神経を使い「補強やボロ隠し」に要する行程が増えるから「材料費」よりも「技術費」の方がしめる割合は大きいのですね。

そしてフルオーダー。服飾やファッション雑貨では最初に各パーツ裁断のための精密な「型紙」を起こす作業から始まります。
この「型紙」を起こすと言う作業はその製品を一本作るのと同じかそれ以上の時間を要します。量産はその型紙を元にキャド入力に依る「機械裁断」や「抜き型」を製作して技術者が裁断機を用い生産効率を計ります。もうお解りだと思いますが一本作るのも量産するのも最初は同じプロセスを経るわけで、フルオーダーと言う一点物を仕立てるのにオールハンドメイドでクライアントの要求に応えるのですから高価格にならざるを得ないのです。あらゆる条件を備えた材料に向かい合い、それを料理出来るだけの技術が伴わなければ素材を活かした作品には仕上がらないし、何よりお客様に失望や後悔を与えるわけにはいきません。仕入れ販売ではなく技術を売る仕事ですから、自信があればこそ「技術の安売りはするべきでない」と言うのが技術者としての信条です。



            『怒らないで聞いてね!ユーザー分析』

前もってお断りしておきますが私は「ブランド否定論者」ではありません。
業界入籍以来、物作りの立場からあらゆるブランド、ノーブランドに触れ、賞賛すべき点、疑問に思う点は老舗ブランド(同シリーズ)であっても商品毎に様々です。当然の事ながら使う人に依って使い勝手が異なるのですから、何時の時代でも修理リフォームの注文が絶えないのは至極当然な現象です。


ブランド志向、加えて流行に敏感な方は最新のブランドを身に着け人に見てもらう事が最大の喜びです。
元よりファッションは「見られる」事を前提にシーズン毎に、もっとリアルに捉えれば日々リニューアルされているのですから経済的余裕があるのであれば「人より一歩先に入手し披露する事が喜び」ならばそれはそれでいいのです。私自身、得意とするジャンル以外は見る人が見れば解るであろう知名度の高いブランドで身を包みたいとう憧れは幾つになってもぬぐえません。ただそれのみを追う方々に添えられるファッション評価は「最新のブランドを身に着けられて羨ましい」ではあっても決して「センスが良い」はイコールではありません。


以前お付き合いのあった大手チェ-ン店店長を勤めたOBの方の談に「ヨーロッパの洗練された女性が持つからヴィトンは美しい」と言う言葉が時折脳裏を掠める瞬間があります。それは「今や中高生が学生服でブランドを所持出来る飽食のわが国に於いて年代の異なる人達が同じ商品を持ち、同じ評価を受けて満足出来るのかな、、、?」と言った客観的疑問を含んでいるのでしょう。 但し「持つ人の勝手ジャン!」も上記の通り決して否定出来るものではありません。結論は「人より一歩先に入手し披露する事が喜び」と感じる方にとってはデザイン、サイズ、使い易い機能、は2の次であり「自分だけのオリジナル」は必要とされないのですね。



当工房のリピーターの御客様のご要望も様々です。
「毎回ブランド、ノーブランドの袋物をお持ちになり修理リフォームを施し、復元して製品を長く大事に使用される御客様」もいらっしゃれば「元は既製品だけれどリメイク、リフォームを施してオンリーワンをお求めになる御客様」或いは「百貨店やデパートで手に入るブランドはもう欲しくない、もしくは最初からブランドに興味がない。だから流行に捉われない、自分が使い易く、自分だけのオリジナルを手に入れて長く愛用したい」と仰り、素材、カラー、デザイン、サイズからオーダーを頂戴する御客様もいらっしゃいます。だからこそカスタムオーダー制という、より多くの型紙、サンプルを揃えていく事で、作り手には手間隙がかからずに製作出来、御客様にとってはロウプライスで様々なご要望に対応出来るシステムが力を発揮する(リメイクを含め)ものと考え(実はそれだけではないのですが)当工房のメイン業務としたのです。

当工房の目指す所あらゆるご要望を満たし『高い顧客満足度を追求して行く』 これに尽きると考えています。
八方美人と思われますか?いえいえ!この時代、こだわり(職人気質)だけでは食っていけないのが現実。こだわりが通用するのはこだわりを理解戴ける御客様だけであって、理解して戴けない御客様にとっては作り手側の一方的な発信としか受け取ってもらえないのがやはり悲しい現実なのです。好きな素材、カラーは人それぞれ、使い易いサイズや機能も人それぞれ、ヒットした商品とはたまたまその商品コンセプトに共感出来るユーザーが多かった、と言うのがマーケットの結果なのです。だからこそ如何に多くの支持者を獲得する商品展開が出来るかどうかが発信元の力量(情報収集分析力、企画デザイン技術開発力、営業販売力)として問われるのですね。と言う訳で、流行を求められる事が希な、一点物がメインの当工房が出来る事は『出来ない』を言わずに『出来るようにする為にはどんな創意工夫が、、、?』と頭を捻り続ける!そう、それが私の日課です。




     
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