盛り上がったワールドカップが、とうとう終了してしまった。この大会で、また多くのことが勉強になった。海外から来るフリーガンを恐れていた日本だったが、それよりも“和製フリーガン”の方が問題になるのだろうと思っていた。案の定、渋谷や六本木などでの夜中の行動をTVでやっているのを見たとき、「やっぱりネ」とマリちゃん。駐車している車の上に乗り、ジャンプしながら日本の応援。お陰で、車はボコボコ。その車の持ち主は、たまったものではない。サッカーファンであっても、その日からサッカー嫌いになったのではないだろうか…。そして花火、打ち上げ花火をビルの横で打ち上げ、火事になってしまうのではないかと思うほど酷い。呆れてしまう。興奮すると、何をやってもよいという行動に驚く。集団心理と言えども恐ろしい。やっぱり、日本人のマナーは悪くなっているのではないだろうか。甘やかして、きちんとしたしつけを大人がしてこなかったせいだろうか。子供と大人の境がなく、何でも大人と同じようにOKになりすぎている。大人もしっかりせヨ!若者も甘えるナ!
 汚れてしまった渋谷の街をサッカーファンがゴミを集めて片付けをしていた。これが本当のサポーターである。マナーが守れるしっかりした若者達がいることも分かり、なにかホッとした。汚した人が片付けるのが当たり前なのに、愛するサッカーを守るために片付けているのだろう。スポーツマンシップとよく言うが、本当にスポーツを愛し、応援する者もマナーをしっかり守ってもらいたいものだ。ワールドカップで、にわかサッカーファンが増え、スポーツに興味がわいたことは素晴らしい。しかし、暴動はやめて欲しいものである。
 予選トップで、決勝トーナメント進出を決めた日、スタジアムの歓声やスタジアムで観戦できないサポーターたちが日本各地で絶叫していた。大阪の戎橋では数千人のサポーターであふれ、約1000人が道頓堀川に飛び込んだという。私も元気でいたら、川に飛び込んでいたかも!?
 韓国は初戦で、初出場から48年間果たせなかった“初勝利”を手にした。その勢いのまま“Be The Reds!”(レッズ〈韓国代表〉であれ)のもと、赤で埋め尽くされたスタンドが異様なムードを作り出し、相手にはプレッシャーを韓国チームにはパワーを与えて、強豪のイタリアとスペインを破った。韓国の躍進ぶりは凄かった。準決勝まで進み、4位と大健闘をした。サポーターの応援は偉大である。
 韓国とトルコの3位決定戦の日、このエッセイを出しているインフォメーション紙の“三和プランニングセンタ−”を訪問した。ハンディキャブで出掛けたので、道が分からず会社に電話してみるとベテランの“網代さん”が小雨のふる中、全力疾走で迎えに来てくれた。会社まで誘導してくれたが、「ハァーハァー」言って会話ができないほど息を切らしていた。一生懸命な気持ちが、とても嬉しかった。会社訪問は、何と5年ぶりである。それから、社長に美味しいお鮨をご馳走になった。私がお鮨屋さんに入るため、何とご主人が入口の引き戸を外してくれたのだ。店の雰囲気はよく、食べ物は美味しいし、店員の方もとても親切であった。夕食会がお開きになったころ、韓国がトルコに破れていた。
 今回のW杯は、イングランドとアルゼンチンの因縁の試合で、イングランドがアルゼンチンに36年ぶりに勝利した。ベッカムの人気が増し、“ベッカムヘアー”まで、真似る若者が増えた。そして、優勝候補の最右翼と言われたフランスとアルゼンチンが予選落ちをするという波乱の幕開けでもあった。
 W杯の開幕前は、“カメルーン”の受け入れをめぐって“大分県の中津江村(人口1300人)”が日本中に知名度を上げた。今回ほど、W杯を真剣に見たことがなかった。勝利への執念と磨きぬかれた究極のプレーに酔った。また、スタジアムから溢れ出す興奮と熱気は、日本中を夢中にさせ、一体感を感じさせた。マリちゃんは、シュートされそうになるたびにでかい声で、「アブナイ!」を連呼していた。