もう、限界。帰ろう!「皆さん、先に失礼します。後は、皆で盛り上がって下さい。」とイタリアンレストランを跡にした。「はがき通信」の懇親会の集まりで、京都に行ったときのことである。2泊3日の参加で、この日は2日目であった。午後から清水寺に行った後、京都駅で友人達とボランティアさんの総勢10名で夕食にいった時である。お昼からオシッコの出が悪く、首と肩に汗が出ていた。汗をかくなんて珍しい。清水寺に向かう途中から、全くオシッコ出なくなり、汗が噴出していた。暖かい日だったのに、汗で身体が冷えきった。レストランに入るとクーラーがより一層体温を奪い震えがおきた。私の横を通る人の風でも冷たく感じ、とうとう我慢できず宿泊施設へ戻ったのだ。宿は、西本願寺内の聞法会館で、直ぐにボランティアさんにベッドに移してもらった。仰向けに寝たとたん、オシッコが一気に1300ccも出た。人間1回の量は、普通300cc〜500ccなので、その量にビックリ。もう少しで、膀胱がパンクするところだった。2時間位、ひと寝入りすると体調も回復していた。ゴリラが倒れたと皆が心配してくれて、私の部屋に次々と友人が顔を出してくれて嬉しかった。オシッコのせいだけでなく、ガスも出ないのが原因だった。オナラもバカにできないのだ。夜中、腹が減って皆でお好み焼きを食べた。夜中3時まで、営業している店があって大喜びした。
翌日は、完全復活!!会議に出席。今回の懇親会は、西本願寺の聞法会館で行われた。研修施設や宿泊施設、レストランまで完備され、とても綺麗な建物だ。しかし、2日目の朝、突然5:30に館内放送があり、本堂の開門の時間と共に起こされたのには驚いた。3日間、講演会や当事者の発表が行われ、多くの方とゆっくり話ができ、充実した日々であった。最後に、ボランティアさんの紹介。ひとり一人自己紹介がされ、最後に女性の方が…、「今まで障害を持った方との壁がありましたが、皆さんと接してその壁が無くなりました。」と声を詰まらせながら話してくれた。ゴリラは目頭が熱くなってホロリ。ボラは、西本願寺の学生さん達で、明るく優しい方ばかりだった。
 もうひとつ感動したのは、清水寺の舞台から見た景色である。西本願寺聞法会館から、3台の外国製電動車イスと3名の介助者で清水寺に向かった。私のアゴで操作する電動車イスの後ろにスケボーをつなぎ、一緒に参加してくれた石井(旧、野中)さんを乗せて走った。東京の麩沢さんもアゴで操作する電動車イスで、パッセンジャーボード取り付けている。パッセンジャーボードとは、電動車イスの後ろの板に2個のタイヤを取り付け、その板の上に人を乗せるようにしている。使わないときは、簡単に折り畳めるので便利である。介助者は、後ろに乗っていればいいので楽なのだ。マリちゃんを乗せたときも、はじめは「コワイ!」と連発してたのに、いざ乗ったら大喜びしたものだ。宝塚の坂上さんは、手で操作する電動車イスで、介助者が乗せられない。その坂上さんが、先頭にたって道案内をしてくれた。五条付近から、なだらかな坂になり、段々と急坂になっていった。茶碗坂で、修学旅行の生徒達とすれ違うと電動車イスが珍しいのか、皆ふり返っていた。まさか、アゴで操作しているとは思っていないだろうナー。けっこうな急坂を2人乗りでも、楽に上がっていく外国製の電動車イスのパワーに驚いた。仁王門から道が別れ、階段がない道へ行った。そこからは、坂の角度や道が石畳となってきた。その時は、さすがにスケボーから降りてもらわないと上れなかった。進んでいくと、今までに経験したことのない坂に出くわした。電動車イスが後ろにひっくり返りそうなぐらいの急坂である。こんな坂、上がっていくのかと不安に思っていると、前を走る2台の電動車イスがどんどん上がっていく。ゆっくりついて行くと上がった。あと3mで上がりきろうとしたとき、突然、坂の上からオバちゃんが姿を現し、大きな声で話かけてきた。びっくりして電動車イスを停めると、オバちゃんが「ここは、車で上まで上がれるよ。」と親切に教えてくれた。しかし、「私達は、車で来たんじゃないんです。西本願寺から電動車イスで来たんです。」と話すと「エー!ホントウ」と言って驚いていた。再発進しようとすると電動車イスが動かない。石井さんに後ろから押してもらって、何とか上りきった。この急坂を上りきったとたんに、電動車イスのバッテリーがガクンと下がった。坂上さんの介助者は、歩き続けたので汗ビッショリ。砂利道を走り、3つのスロープを上がると、とうとう清水寺の舞台に。皆は、舞台の端ギリギリまで行って景色を眺めていたが、高いところが苦手な私はなかなか舞台の端に近づけない。少しずつ、ゆっくりと端にいった。そこからの眺めは素晴らしく、正面には子安の塔が見え、右に京都市内が見えた。西本願寺を出発してから、電動車イスで走り続けて55分間、それだけの時間がかかったこともあり、よくここまで来たなーと感動してしまった。人間、なんでも頑張った後に残る感情には、大きな感動があるものだとつくづく感じた。そして、また人と人のつながりや優しさに感謝する旅であった。