高い所が苦手なので、飛行機に乗るのは怖い。世界の障害者が集まる「第6回DPI世界会議札幌大会」に参加するため、とうとう飛行機に乗ることになってしまった。当日、一緒に行く友人の宮腰さんと合流し、JALのカウンターでチェックインを済ませた。搭乗口で電動車イスから機内用の車イスに乗り換えなければならない事は、ハワイに行った時に経験ずみだ。一般の客が飛行機に乗り込む30分前に、ボディーチェックを受けて搭乗口に行った。そこに、JALが新しく導入した“リクライニング式の車イス”が用意されていた。それは、JALのプライオリティーゲストセンター(Tel:0120−747707)に事前にお願いしていたからである。プライオリティーゲストセンターとは、高齢者、子供、身体の不自由な方、病気や怪我をしている方をプライオリティーゲストと呼び、早目の手配や万全の準備を受け入れてくれるところである。ゴリラは飛行機の普通の座席に座れないため、スーパーシートの航空券を購入した後、プライオリティーゲストセンターに電話を入れておいた。身体が大きいため、移動がしやすいように座席を一番前にして欲しいことや新しい機内用の車イスを用意してもらうこともお願いしておいた。しかし、楽しみにしていたリクライニング式の機内用車イスは、座位面が低すぎて背もたれを起こすと足が床に着き、座位姿勢にできないのである。(ゴリラの身長184cm)結局、寝たままの状態で荷物のように運ばれることになってしまった。JALはDPIのために、外国人や日本人の大きな方でも対応できるリクライニング式の車イスを導入したのではなかったのか!事前に、何度も安全性や乗りごこちなどテストしたのではないかと思うのだが…。それとも、業者任せにしていたのか!?当事者の意見を取り入れ、利用客が安心して快適に利用できる車イスに、早急に改善してもらいたいものである。
羽田発10:40、JAL509に乗り込んだ。座席は、機内の一番前。さすがスーパーシート座席が広い。しかし、褥創予防のため、座席の上に車イス用マットを敷くと、皆より頭2つぐらい飛び出してしまった。離陸のため、滑走路に移動し始めたときに、突然、目の前にあるテレビ画面が飛行機前方の景色に変わった。高所恐怖症のため、外の景色を見ずにすむと思っていたが、目の前の映像に釘付けになってしまい、ひとり変な声を出していたらしい。
 無事、新千歳空港に着陸すると肩の力が抜け、段々と元気が出てきた。乗客が降りた後、リクライニング式の車イスが運ばれてきた。やはり、羽田と同じ座面の低い車イスだった。JALの職員の方4名で、座席から車イスに移動してもらった。昨日、大勢の方を移動したらしく、とても上手かった。しかし、また、寝たまま運ばれ、貨物から電動車イスが運ばれてくるのを待った。なかなか、電動車イスが運ばれてこず、変な予感が…。やっと、運ばれてきた私の愛車が、文句を言っているように見えた。それは、電動車イスのフットレストがズレ、ヘッドレストが曲がっていたからである。ゴリラの身体が壊されていたのだ。あれほど、電動車イスを丁寧に扱うことを言ってあったのに…ムカー!!帰りは、何度も固定をしっかりするように伝えたので大丈夫であった。フットレストは簡単に直ったが、ヘッドレストが直らず、結局そのまま乗って空港を出た。
DPIとは、Disabled Peoples' Internationalの略であり、「障害者インターナショナル」という。1981年シンガポールで行われた第1回世界会議で、国際障害者年を機に、身体、知的、精神など、障害の種別を超えて自らの声をもって活動する障害当事者による世界最大のNGOである。活動目的は、すべての障害を持つ人があらゆる生活の場における完全参加を実現させること。オリンピックやワールドカップと同様、4年に1度の開催である。日程は、2002年10月15日から18日までの4日間。こんな時ぐらいしか北海道に行くことはないと思い、観光も兼ねて10月15日から20日までの5泊6日で行くことにした。
今回、DPIの開催のお陰で、国内の航空会社が障害者の搭乗人数制限の見直しがされた。緊急脱出が必要になった場合、歩行や視力に障害を持つ人の介助に手間取るからと、一定の人数以上は乗せない決まりになっていた。そのため、車いすの人たちはグループでは飛行機に乗れない、付添い人の同行を条件にされたり、新婚カップルなのに隣同士の席に座れないなどの機内での制限があった。これらの「決まりごと」は各航空会社がそれぞれの内部規定によって決めており、根拠や基準もまちまちであった。しかし、札幌で世界会議が開催され、国内外合わせて2000人の障害をもつ人たちが札幌へ集まる見込みのため、その多くが航空機を利用するので改善されることになったのだ。
(つづく)