多くの学校を訪問すると、いろいろな生徒達と出会うことができて楽しいものだ。小学校、中学校、高校を中心に講演活動をしているが、小学校では給食をご馳走になることもあった。教室へ行き、班の中に入ると子供達ひとり一人が順番に食べさせてくれた。緊張しながら食べさせてくれるのがよく分かる。スプーンを持っている手が震えて、ご飯がうまくすくえず、また、ある時は電動車イスの周りに子供達が集まり、電動車イスにぶらさげているいろいろなものに興味を持って質問をしてくる。中には、「電動車イスに乗りたい」とか、「スケートボードに乗せて!」と言う子がいたり、素直な反応に嬉しくなったりした。
 中学校の場合は、けっこう悪そうに見える子供の方が優しかったり、面白かったりもする。休憩している時に校長室に来て、私の接待をしてくれる男の子や女の子にお茶やお菓子を食べさせてもらったりもした。尿集器に溜まったオシッコを流してくれる子もいた。介助をしてもらいながら、いろいろな話もした。楽しいひと時で思い出に残るものだ。きっと彼らにも、いい勉強になったはずだ。普段当たり前のようにトイレが自分で出来る事、それだけでも有難いことが介助をして分かったと思う。毎回、多くの子供達から手紙が届くが、なかなかお礼の返事が書けず申し訳ないと思う。ここで、お礼を申し上げます。「全員に返事が書けず申し訳ない。多くの暖かい言葉に感謝です。ありがとう!」

ここからは、小学生の感想文の中から、一部紹介します。
【1年生】
『髪の毛が、すごくかっこよかったです。』
『もっともっと、人を助けたくなりました。人を助けて生きていきたいです。』
『私は、ピアノを習っています。この前のピアノで間違いが一杯ありました。「あーあー、もうこんなピアノやめようかな」と思っていたけど、伊藤さんの話を聞い て「よし!私も頑張ろう!」と思いました。』
『僕は、電動車イスがあって良かったなと思いました。』

【2年生】
『ひとりの力は小さいけれど、皆の力が集まればできるということが分かりました。』
『人は、人にいい事をしたり、してもらうととても嬉しくなります。生きることは、大切な恵みなのです。伊藤さんのお話は、とても生きる勇気をもたらすのです。 首の骨を折ってしまったけど、生きようする力で生きれました。枯れた花や草が力で育つのとほとんど同じです。みんなそれぞれの命があります。』

【3年生】
『話を聞いているうちに、「出会い」という文字が頭に浮かんできました。怪我をしたけれで神様が「出会い」という字を伊藤さんにかけてくれたのかも。』
『私は、小さい頃にいじめられて、今もいじめられ、少し死にたいと思ったのです。でも、元気づけられました。ありがとうございました。』
『伊藤さんに、やってあげたいなぁと思ったことが1つあります。手と足を動かしてあげたいです。』
『1年生の時に、頭に怪我をしたことがあります。一番いやだったのは、消毒をするときでした。とってもしみていやだったけど、いつかは治ると思っていたら治 りました。そういう思いを沢山するほど、伊藤さんみたいにいい事が沢山見つかるんだと思います。』
『手や足、目、耳が不自由でも、周りの人の優しさで、生きる希望を持てるんですね。優しさって大切なんですね。』

【4年生】
『私も生まれつき、障害というと大げさかもしれませんが、暑い日や緊張している時に手に汗をかいてしまいます。そのため、字を書いたりする時にタオルをひ いて字を書きます。汗の量がひどい時は、タオル1枚ビチョビチョになってしまいます。その時、見ていた人が「きもちわりぃ」と言ったり、「お前なんでタオルひ いてんだよ。へんだよ。」と言われた事もあります。そんな事を言われた日はすごくショックで、1日中ボーッとしていました。でも、今日の話を聞いて、「あっな んだ。私よりもっと大きな障害を持っている人は沢山いるんだ。手に汗をかくくらいでくじけてるんだったら、そういう人達の役にたった方がいいな。」と思いま した。』
『僕は、人に悪口を言われることがあります。けど、親にもっと強くしなさいと言われました。そしたら、1月ぐらいいじめられませんでした。僕も頑張ります。』
『伊藤さんみたいに僕は、脳性まひの人と話したことがあります。分かったふりをしていた方が優しい気持ちだと思っていたけど、逆に人がいやがるなんて思っ た事もなかったけど、僕も脳性まひだったら何回も聞いて欲しいと思いました。人の気持ちを考えることは、すごく大事なことだと思いました。』
『お話を聞かせてもらう前から、「命」について興味を持っていました。伊藤さんのお話を聞いて、最初からあった疑問を解くヒントはこれだと思いました。その  答えは、「誰かを幸せにするため」ではないかと思いました。』『障害者は、私達と同じことは、できないことが多いけど、私達のできないことを障害者ができて 私達ができないこともあるんだなと思いました。』
 つづく