毎年、パシフィコ横浜で、「ロボット博覧会」が開催されている。今年は、鉄腕アトムの誕生年(2003年4月7日)ということもあり、前年にも増して規模が大きかった。世界最大級の「ROBODEX 2003」は、企業、大学など出展者は38、計90種類のロボットがエントリーしていた。
現在あるロボットの中で、1番魅力的な動きをするのが、2002年12月に発表されたホンダの“ASIMO”である。ASIMOは、身長120cm、体重52kgで歩くだけでなく、階段を上がったり下りたりもする。また、人の姿勢やしぐさの意味を理解して、自立的に行動できる知能化技術を搭載している。近づいてきた人に挨拶したり、人の後ろをついて歩いたり、顔を認識して名前を呼ぶなど応答機能も大きく進化している。また、自分の位置を確認し、人が指し示した場所にも移動でき、さらにニュースや天気などの情報をインターネットより入手して答えることもできる。こうした能力をいかして、実際に会社の受付で働くこともできる。人間型のロボットとして、柔軟な動きを見せるASIMOだが、その第一歩は歩くことから始まった。1986年に作られたロボットは、一歩を踏み出すのにおよそ20秒もかかった。姿勢を前に倒しながら、足を出すことはロボットにとってとても難しいこと。しかし、1992年自律歩行をついに実現。1996年には、世界初の人間型自律2足歩行ロボットが完成。そして、2000年にASIMOが誕生した。ASIMOの名前は、Advanced(新しい時代)Stap(ステップ)in Inncvative(革新)Mobility(モビリティー)の頭文字をとってASIMOと名づけられたのだ。
 メインステージで、ロボットたちのパフォーマンスショーを見ていたら、修了前に突然会場内から歓声が上がった。何が起きたのかと場内を見回すと、何とシルバー色のASIMOが歩いて登場してきたのだ。その歩く速度が速くてビックリした。アナウンサーの紹介では、時速6km/hの速さで、従来のASIMOより2倍の速さで歩いているという。私の電動車イスの最高時速と同じなので、速さが実感できた。テレビのCMで、ASIMOが電車に乗り遅れるシーンがあったが、これで電車に間に合うなと思った。
 ホンダは2002年より、アメリカ・アジア諸国でASIMOのデモンストレーションを行っている。そのたびに、プレスの人が「いつ、軍事利用するんですか」と聞かれるらしい。ホンダ研究者は、「軍事利用しません」ときっぱり答えている。日本では、考えられないことである。日本と外国では、ロボットに対する考え方が全く違うんだなーと思った。
 パフォーマンスショーの司会役をしていたのがソニーの“SDR−4X”。身長58cm、重量7kgである。二足歩行ロボットで、小さくてまんまるの目がかわいい。対話機能に優れていて、10曲以上の歌と200以上の対話ができる。ショーでは、ダンスを踊っていたが、動きがシャープで細かい動きにビックリした。
 その他にも、病院内でカルテやレントゲンフィルムの搬送を行う“病院内業務支援ロボットや“共同作業ロボット”といって、パートナーの力を感じ取って息を合わせて、ロボットと一緒に物を運んだりできるものがあった。また、世界初の転倒制御のできるロボットが凄かった。二足歩行ロボットでありながら、作業中に転倒しても自分で起き上がって作業が続けられという。ロボットを前から押し倒すと柔道の受身のように丸い姿勢で転び、倒れる圧力を減少させているのだ。高校生でも受身ができないヤツがいるのに、ロボットができるとはテクノロジーの進歩に感心した。
 今回のロボットの中に、個人や一般レベルでの導入が予定されている生活のパートナーとなるロボットもあった。“ワカマル”という名のロボットは、ひとり暮らしの高齢者や健康上の不安を抱えている人を想定して作られていた。介護や留守番、見守り、健康管理などの機能があり、相手に合わせて会話もできる。オーナーが不調時のときは、近親者に携帯のメールに通知したり、家の様子を携帯でも見られる。また、バッテリーが少なくなると自分で充電することができる優れものである。価格は、100万円。
 自分で組み立てたロボットで、対決するサッカーもあった。ロボットサッカーといって世界大会もあるらしい。光センサーが目の代わりになり、ボールをゴールにシュートする。ロボットが自分で動くためにかかせないのが、プログラミング。どのような状況のとき、どのような動きをさせるかが難しいようである。想像力をかきたてられるスポーツである。
 これから先、ロボットがどのように進化していくのか楽しみである。あと10年もすれば、街でロボットが歩いている光景が見られるかもしれない。ただし、今はロボットが街で歩くと、道路交通法にひっかかるらしい。鉄腕アトムのように、困っている人を助けたり、人間と全く同じように考え、意志を持ったり、判断能力を持つロボットが開発されるのもすぐになるのかもしれない。私をかかえて歩いてくれるロボットの登場が待ち遠しい!