最近、近場に温泉施設が沢山出来ている。やっぱり、日本人といえば“いい湯だな♪♪いい湯だな♪♪アハハン♪♪”である。何といっても、湯に入るのが一番の楽しみ。ゴリラもやっぱり湯につかりたい。怪我をしてからは、なかなかお風呂に入ることが難しくなった。退院後、自宅の浴室を改造。浴室が狭いので更衣場所まで浴室にして、木で大きな台を作り、その上に寝たままの姿勢でシャワーを浴びる。自宅の浴槽も大きな方なのだが、身体がデカ過ぎてとても入れない。ベッドから浴室までゴリラを運ぶのは無理なので、床走行のリフターで移動する。いくらマリちゃんが力持ちでも、私を持ち上げることはできないのだ。マリちゃんが休日のときに、母とふたりで2時間以上をかけて体を洗ってもらっていた。浴槽に入れないので冬はとても寒くて辛かったが、身体にバスタオルを掛けながら、少し熱めのシャワーをかけて工夫していた。そんな入浴が9年間も続いた。母とマリちゃんには、心から感謝である。浴槽に入れなくても、シャワー浴で十分満足だった。浴槽に入れないのは、仕方のないことだと諦めていたのだが、入浴サービスというのができてそれを利用してみる事にした。入浴サービスとは、自宅で入浴できない重度障害者や高齢者を対象とした横浜市福祉のサービスのことである。この頃から、やっと横浜市の福祉が動き始めたのだ。サービスには、訪問入浴と施設入浴の2種類があり、訪問は自宅にまで浴槽を持ってきて入浴する。ゴリラは、施設入浴でないと無理だ。当初、近くの老人ホーム“さくら苑”を利用した。車で送迎までしてくれるこのサービスは、私や家族にとって、本当に助かった。9年ぶりに湯につかったときは、水面に身体が浮き、肩の力で両手が動かせ、あまりの気持ち良さに感激したものだ。年々、関節も硬くなり、身体も大きいため、でかい風呂でないと入るのがますます難しくなってきている。マヒしているとなおさら大変な作業になるのだ。さくら苑には、約15年間もお世話になった。そこは、入浴担当者や多くのワーカーの人達との出会いの場でもあり、楽しい話を交わす場でもあった。そんなさくら苑を突然利用できなくなるという話が起きた。それも1カ月前に!あまりにも、突然の話にビックリ。「まさか…、これから入浴をどうしたらいいのか?」不安が募った。「障害者にとって、入浴とはどういう意味があるのか理解しているのか!」と疑問に思った。身体の血行をよくし、新陳代謝を良くするということだけではない。心の面でのつながりも大きなものなのだ。職員ともつながりが出来て、今でも付き合いが続いている人もいるのだ。さくら苑の入浴担当者の方達には、本当に良くしてもらった。髪を染めることも許してくれ、本当に楽しく満足であった。「ありがとうございました。」突然のお別れでとても残念であったが、また新しい場所での出会いが待っていると気持ちを切り替え諦めた。施設も経営上、仕方のない事だったのだろう。しかし、“利用者の声”は大切にすべきだと思うのだが…。さぁー、次はどこに行くことになるのか…?さくら苑の根本さんや海藤さんが、次の所に相談に行き、綿密な相談をした結果「あだちホーム」に決まった。
 あだちホームは、旭区上川井町にある特別養護老人ホーム“である。何とそこは、温泉の湯で入浴ができるのである。平成5年3月20日に温泉を掘り当て、泉温45℃の食塩型。利用してみると、スタッフも明るく元気一杯で愉快で楽しい人達ばかりだった。今では、すっかり溶け込んでいる。それに、温泉につかれるのが最高だ!皮膚にとても良い効果が出ているのには驚いた。身体の温まり方が速く、皮膚もカサカサしない。寝たまま、お風呂で温泉に入れるなんて夢のようだ!“ここは横浜♪♪あだちの湯♪♪”である。主任の“山田さん”も優しく親切。洗髪のスペシャリストでゴールドフィンガーの持ち主“白石さん”とも出会え、また楽しい入浴タイムが始まった。これから、長〜く付き合うであろう“あだちホーム”の発展を強く願っている。横浜市福祉局の皆さん、施設入浴しか利用できない人もいることを忘れずにずっと利用できるように強くお願いしておきたい。
 ホームの隣に、“横浜温泉チャレンジャー”という施設で一般向けにも開放をしている。アトピー性皮膚炎によく効くとのことで、お礼の手紙や電話も寄せられているそうだ。男・女湯(2時間500円)、個別浴室4箇所(予約制1時間500円Tel:922−5590)。