「アッー!伊藤さん、じゃがいもと玉ねぎを買っていってよー」と本田さんに声をかけられた。これは、横浜らいずと花みずきで行われた“共生祭り”に遊びに行ったときのことである。共生祭りには初めて行ったが、障害者団体のバザーや北海道物産展示即売、模擬店などが多く出店され、見て回るだけでも大変だった。焼き鳥とおでんがうまいと聞いていたので、早速行ってみるとお昼には売り切れ。ガックリ。来年は、絶対に食うぞ!沢山いい買い物ができたが、調子に乗ってしまい、いらない物まで買ってしまった。また、ミニコンサートや和太鼓のイベントもあり、とても楽しい。車イスや地域の人が多く来ていて大盛況。ショートステイで知り合った双子の姉妹にも会った。人込みの中、電動車イスの移動が大変なのに皆上手に避けてくれる。皆「車イスに慣れているなー」と思った。そして、目と目が合ったときニッコと笑顔で会釈してくれて、私まで笑顔になった。優しさが感じられ、見る眼差しが温かい。施設と聞くといろいろな偏見もあると思うが、施設と地域の人達との交流が理解につながり、良い関係が生まれるのだと思った。
 全国には身体障害者療護施設が沢山ある。施設によってその様子はいろいろだが、いい施設ばかりだとは限らない。中には、施設は「プライバシーがない。」とか「規則でしばられた生活。」、そして、「自由がない。」などの声が聞かれるところもある。今の時代信じられない話だが、“バカにされ屈辱的な扱いを受ける施設がある”ことに驚かされる。施設の経営上仕方のない面もあるのだろうが、利用者の切実な声には皆で問題にしていくことも大切だろうと思う。そんな施設がある中、“横浜らいず”は自由でとても快適に過ごせる。らいずは6居住舎に分かれ、各10名程度で生活をしている。その内1軒が一時入居利用専門である。各居住舎には、玄関は自動ドア、リビングダイニングキッチン、浴室、トイレ、部屋(個室)があり、普通のバリアフリー住宅のようだ。浴室、部屋には、天井走行のリフトが設置されていて、でかいゴリラとしてとても助かる。起床・就寝、外出(外出簿や面会簿無)、お酒、喫煙(場所の規制有)も自由。食事も美味しい!施設で食事が美味しいことは、とても大事なことなのである。ただ、施設が高台にあるので外出が大変。近くの地下鉄仲町台駅やコンビニまで行くのに、電動車イスで20分位はかかるのだ。ショートステイ中は、自宅と同じように生活ができるので、生活のリズムが崩れない。また、日中活動サービスがあり、リラクゼーション(リハビリ)や絵画、機織り、陶芸、喫茶、パソコン室も利用できる。らいずは、選択肢があり、自由であるがゆえに自己責任も発生するのだ。これは、自立するにはとても大切なことである。何度も行くうちに入所中の方と仲良くなり、職員の方とも久しくなってショートステイを楽しんでいる。職員の方も親切で、今は利用者の方や職員から、「ボス」と呼ばれる関係になっているが、「態度がデカイのかなぁ〜?顔がデカイ??」年間2〜3回、マリちゃんの仕事の関係でショートステイを利用させてもらっている。お陰で、家族と私も大変助かっている。しかし、一時入所と長期入所している人達との生活が違うこともあるだろう。今度、調べてみよう。長期入所の方が問題が多いかもしれない。
 今年の8月にも、らいずに9日間お世話になった。ショートステイ中に、東京都と神奈川県頸髄損傷者連絡会の懇親会が行われた。看護学生の三井さんは、今回もゴリラのボラとして参加してくれた。この日は、朝から30℃を超える猛暑で、関内駅前の日陰には車イスや電動車イスの方が暑さに耐えていた。頸髄損傷者は、体温調整ができないので暑さに弱い。少しずつグループになり、中華街会場の“重慶飯店・新館”へ移動したが、“JR関内駅”にはエレベーターがないので大変なことになっていた。一度に4〜5人の車イスの方が駅に着くとエスカレーターしかないので、降りてくるのにとても時間がかかるのだ。横浜市役所前の駅では、車イスの利用が多いので、早くエレベーターの設置をお願いしたいものだ。また、横浜市役所のエレベーターが小さいのには驚いた。私の電動車イスがギリギリに乗れる程度の大きさである。中田市長さん、なんとかして下さい。これでは、ストレッチャー型の電動車イスに乗っている方は、市役所にも行けないのだ。エレベーターの大きさは、どこに行っても問題になるのだから…。
 会場の“重慶飯店・新館”(ローズホテル2階)はバリアフリーで、とても利用しやすかった。重慶飯店は四川料理なので辛さを心配していたが、丁度いい辛味でとても美味しかった。それは、役員が下見のときに試食して辛味を少し押さえてもらったらしいのだ。約50名の方が参加者していて、東京の方とも交流ができて楽しかった。情報交換と名刺交換に忙しかった。ほとんどの方がパソコンをやっていて、今はメールで交流を深めている。懇親会後、皆で山下公園に行き、皆で記念写真を撮ったのだが猛暑にバテたー。
こうやって入所中も、施設からひとりで自由に外出できる楽しさも実感できるのだ。