毎年、神奈川頸髄損傷者連絡会で、行事を計画しながら、いろいろな人との交流を深めている。ところが、最近はその行事の実施が難しくなり、いろいろやることができなくなっている。今年の計画を立てる時、キャンプがやりたいと言う声が上がったのだが、星野会長は「今の会の状態では難しい」という。なぜ、そのようになってしまったのか詳しくは分からないが、きっと私も含めて会員の協力性のなさのせいだろうと思った。会長はじめ幹部に「任せきり」にしてしまうような所に問題があったのだろうと反省してしまった。そんな事を考えていた時、「バーベQならやらせて下さい。」と、ボランティアの豊田君が発言したのである。突然の事に驚いたと同時に、こんな勇気のあるボランティアさんに感激してしまった。大学生の豊田君のお陰で、バーベQができることになって皆盛り上がることになった。私は、初めて頸損会の全国総会に参加した当時を思い出した。葉山のホテルに1泊し、ひとりで参加したので、とても不安で緊張していた事や宝塚市から来た人と、夜中語り合い友人ができた事などを思い出していた。行事で外出する楽しさを味わった事は、生きる喜びを知る事になり、大きな意味ができた。5年前までは、体育祭、新年会(1泊で)など楽しい行事があった。当時の会長、幹部、ボランティアの人は、今はいない。考えてみると日程調整、ボランティアの確保、バリアフリーの施設、予算面など等、ひとつの行事を成功させるためには多くの苦労が幹部にかかってしまう。会を盛り上げながら続ける事は、難しいものだ。何とか続けるため、今回はキャンプ場を探してみる事にした。早速、パソコンのインターネットでバーベQ場やキュンプ場を探した。なかなか、車イスで利用できるところがない。一つひとつ検索していくと、どこも最寄りの駅から電動車イスで移動するには遠すぎる所ばかり。その中に、“相鉄相模大塚駅から徒歩15分”という文字に目が止まった。それは、大和市にある“泉の森ふれあいキャンブ場”だった。早速、キャンプ場に電話をして、バーベQ場が車イスでも利用できるか確認したところOKだった。しかし、予約に問題があった。大和市民だと3ヵ月前に予約ができるが、それ以外だと2ヶ月前だと言う。バーベQの日が3連休の中日だったので、私が予約する頃には取れない可能性があった。すぐに会長に連絡を取り、大和市民のボランティアさんに予約を取ってもらった。
 バーベQの1ヵ月前、“泉の森ふれあいキャンプ場”に下見に行った。バーベQの時、ボランティアとして手伝ってくれるYMCAの学生さん2人と友人の4人で、相模鉄道の“希望が丘駅”から“相模大塚駅”に向かった。相模大塚駅にはエレベーターがないので、車イス対応のエスカレーターで改札のある2階に上がった。改札を出たところで、会長と付き添いの方が先に待っていた。そこから、またエスカレーターで下りるのだが、エスカレーターは下りが怖いのだ。上から下を覗いて“ゾッー”とした。エスカレーターの傾斜が急すぎてビビった。ゴリラは、高所恐怖症なのだ!先に、会長に下りてもらい心の準備をしていた。車イス対応のエスカレーターは、ステップ3枚がフラットになり、そこに車イスが入るのだが、私の電動車イスだとギリギリなのだ。ゆっくり、少しずつ前進。足元が全く見えないので、何度も駅員さんに確認しながら前へ。前にある車止めが5cmしかないので、乗り越えないように集中した。以前、車イス対応のエスカレーターで電動車イス方が車止めを乗り越えて転落した事故があった。その事が頭にちらつく。何とか電動車イスがセッティングでき、いよいよ下るのだが、最初はゆっくり動き始め3〜4秒で急に速くなった。まるでジェットコースターのようだった。その瞬間、「ア゛―」と声が出てしまった。皆は、頼りのないヤツだと思ったに違いない。友人がデジカメで 下る前と下った後の写真を撮っていたが、その写真を見て大笑いした。下る前の情けない顔。最近,エレベーターが取り付けられないからと言って、車イス対応のエスカレーターが増えているが、せめてステップ4枚がフラットなり、車止めも10cm位ないと安心して乗れない。
 駅からキャンプ場までは、電動車イスで約20分。バーベQ場は、森林に包まれた自然豊かで車イス用トイレが完備され、素晴らしい施設。また、炊事場に16基、野外に16基のかまどがあり、鍋、包丁、まな板などが無料。嬉しいことである。あとは、当日晴れを祈るのみ。
 当日は、カンカン天気で車イスとボランティアの方が40名も集まった。ボランティアさんが材料を切り分けたり、火を熾したりして積極的に働いてくれた。ただ、男子学生達は火熾しが下手で炭になかなか火がつかない。私がつきっきりで火の熾し方を教えた。小学生の頃、毎日練炭に火を熾していたから自信があるのだ。食料は、食べきれないほどの量があり、皆満足してくれたと思う。初めて会ったボランティアさん達も時間が経つにつれ車イスの方と溶け込み会話をしていのを見て嬉しく思った。無事にバーベQが終わり、皆が笑顔だったので、来年もバーベQをやりたいと思った。「バーベQをやらせて下さい。」と手を上げてくれた豊田君に深く感謝したい。今の若い人も最高だ!