『コロン!コロン!』我家の愛犬の名前である。コロンは我が家にとって3代目の犬に当たる1才の雄犬だ。コロンを含め、18年前からヨークシャテリア犬を飼っている。犬を飼うきっかけは、義姉が飼っていたルイス(2才雄)が飼えなくなり、我家に連れてきたのが始まりである。母だけは、『家の中で犬を飼ったりすると、ペロペロとなめたり噛んだり吠たり、散歩やエサの世話など大変だから』と反対気味だったが、マリちゃん(妻)の説得と父が面倒見る事で渋々納得した。ルイスは、チャピオン犬の子供で血統書付きだった。(血統書なんて競馬だけかと思っていた)はじめは、ルイスもショーに出す予定で育てていたので、毛を床につくほど長く伸ばし、身体中の毛を和紙で包んでカールしてあった。ショーに出すためには『抱いてはいけない、歩き方も品良く頭を上げさせる、食べさせ過ぎはダメでいつもダイエット』なのである。最初は、過保護に育てられてと思っていたが、ルイスにしてみればたまったものではなかったはず。しかし、我家ではこのような育て方はしなかった。毛をばっさり短く切ると子犬のようになり、可愛さ倍増。私とマリちゃんで取り合いになった。ルイスもすぐに慣れて言葉を聞き分けた。『サ・ン・ポ』と言うと喜んで飛びついて来る。散歩は、毎日のように父が運動を兼ねて連れて行っていた。父が殆どルイスの面倒をみていたので、いつも父のそばにいるが、エサの時間が近付いて来ると母の後をついて回っていた。ルイスは、寂しがり屋で留守番をさせるとしばらく吠え続け、物音や足音がよく聞こえる2階へ駆け上がり待ち続ける。家族の足音がすると、玄関までワンワン吠えながらかけ降り出迎えてくれる。『なんてカワイイ犬だ』と思う反面、機嫌が悪いときの態度には驚かされる。台所の流し台に飛び上がり、生ごみを散らすこともあった。オシッコやウンチは風呂場のガラスを前足でたたいて知らせるが、構ってくれないと、決まった所にしかしないはずのオシッコを柱にかけたりして人の気を引こうとしたりする。父が見付けてルイスを呼ぶと、反省しているのかうなだれて現れる。父が、首を押さえ付けて怒っている横で、きまって母が『ゴメンナサイは?』と呼び掛ける。すると、父の鼻をなめて機嫌をとって逃れてしまうのだ。なんて賢いヤツ!私が、怪我をして寝たきりになった時、ベットに上がって来て肩の所で寝てくれたり、話し相手になってくれた。そんなルイスも年を取り、だんだん歩けなくなって食べることさえできなくなったが、私が口移ししであげると食べてくれた。16歳で父に抱かれながら亡くなったが、14年間も我家を明るくしてくれたルイスに感謝。余りにもルイスの死がショックで家族の元気がなくなり、父の散歩の回数も減ってしまった。また、犬を飼うことにした。どことなくルイスの面影のある2代目。その名もルイスとつけたが、残念な事に生後2カ月で死んでしまった。かわいそうなことをした。家族みんな大ショック!めげずに、3代目ヨークシャテリア“コロン”を購入。我が家にやってきて、今は1年5カ月になる。とても元気であまり吠えない。不二屋のペコちゃんのように舌が左横から出てる。愛嬌が良く、知らない人が来ても喜んで飛びついて行く。
 犬を嫌がっていた母もとうとう犬好きになってしまったほとだ。先日、寒い夕暮れに父がコロンを連れて散歩に出掛けたのだが、なかなか帰って来なかった。その時、皆が心配してのは76才の父のことでなく、コロンが風邪をひくのでは、ということだった。今では、母の方がコロンを我が子のように世話をしている。私は、触れる事ができないが、私の身体の状態が分かるのか、鼻先をなめたりしてくれる。それに、どんな事をしても絶対に噛まないコロンといると楽しい。かわいいコロンが家族の一員としていると、なんだかみんなが温かい。私は、この愛犬・ヨークシャーテリアのコロンとジャレあう一時が、唯一の楽しみである。