ぬけるような青い空、真っ白い波しぶきと輝くエメラルドグリーンの海、首筋を駆け抜ける風の心地良さ、ハワイに来たゾー!
昨年、「はがき通信」という障がい者グループで、ハワイに行く予定だったが、SAAS問題で延期した経過があった。2004年になって、やっとハワイへの出発日が6月29日(火)と決まった。再度、参加者を募集した所、車イス14台総勢39名の申し込みがあった。旅行会社に格安航空券をお願いし、コンドミニアムを「はがき通信」で予約する事にした。コンドミニアムは、インターネットで予約すると宿泊費が安いのだ。でも、英語に自信がないので、向坊さんに予約してもらった。会長のお陰で、全員が同じコンドミニアムの“ワイキキバニアン”の予約が取れた。参加者の中に、旅行社に航空券を予約する人もいた。樋口さんもノースウエストの航空券を依頼したが、航空会社からは、ぜんぜん連絡が来なかった。それは、彼女が人工呼吸器を使用しているからである。家族は、アメリカの航空会社なら大丈夫だと思っていたのだ。私も腹が立った。出発日が近づき、日本の航空会社を調べたところ、全日空から許可がおりた。全日空が人工呼吸者には一番優しいらしい。それにしても、ハワイへ行こうとする樋口さんの行動力とパワーには、本当に驚かされる。ハワイでも、夜遅くまで遊び回ってパワー全開だったのだ。
 今回、初めての海外旅行者が多いので、パスポートの申請や電動車イスのバッテリー、充電器の変圧器の必要性を参加者に連絡した。飛行機に電動車イスを乗せる場合、必ずバッテリーの種類を聞かれる。“ドライ”だと大丈夫なのだが、“ウエット”だと液漏れのおそれがあり、危険なため配線を全部抜かれてしまうのだ。それを知らないとホノルル空港で大変な事になってしまう。私も一度、ホノルル空港でパニくった事がある。荷物を受取る場所で、バラバラになった電動車イスを見たのだ。電動車イスのステップが外され、壊されていた。大ショック!自分の足が無くなっていたのだー。そんな事が無いように、旅行会社や空港でチェックインする時に電動車イスの取り扱いをしっかり伝えることが大切。また、ホノルルでの入国審査や待ち合わせ場所なども説明しながら準備を進めてきた。出発日4〜5日前に、やっと航空券が取れた人もいて、何かと心配の多い旅行だった。何だか出発前から、いやな予感がしていた。
 出発当日、いつもお世話になっている堀澤さんが運転するハンディキャブで成田に向かった。私の同行者は、友人の石井さんにお願いした。マリちゃんは、仕事で留守番。「私をおいて行くといい事ないかもヨ〜ン」だって。予感が当たるからオソロシイ!途中、瀬出井さんと五十嵐さんがハンディキャブに乗り込んで来て合流。初めての海外旅行の瀬出井さんは、もうハイテンション!成田第1ターミナルのノースウエストのカウンターでチェックイン。その時に、「ホノルル到着後、飛行機の扉まで電動車イスを持ってくるよう手配できていますか?」と確認したら、何と「できません」と言う。「旅行会社から話がいっていませんか」と尋ねても「来ていません」と言われ愕然とした。「航空会社からOKの返事がきた」と旅行会社から報告があったに…。責任者と押し問答になったが、普通の車イスに乗れない事や貧血を起こす事などを説明。ホノルル到着後は、シャトルバスでメインターミナルまで移動しなければならないのだ。前回、ハワイに行った時も車イスが小さくて、マリちゃんと友人に両足を持ってもらい、まるで荷車のような姿で運ばれたのだ。しかし、今ハワイ時間は夜中なので連絡が取れるか分からないと言う。何とか、連絡してもらうようお願いした。待合室に案内され、無料のビールで怒りを静め過ぎて酔っ払ってしまった。搭乗前に、瀬出井さん手作りのシールを電動車イスに貼ってもらった。そのシールには、“Don't touch”と大きく書いてあった。電動車イスや車イスを飛行機に乗せると必ずと言っていいほど壊される事が多い。瀬出井さんの準備の良さに感心した。とうとう搭乗時間になり、飛行機のドア前で電動車イスから機内用の車イスに乗り換える。今回の車イスは、背もたれが高く、楽に乗り移れた。機内に入り、座席に移動してもらう。さすがビジネスクラス、広くてリクライニングもほぼフラット。
ただ、座席に褥創予防のロホクッションを敷いたため、背もたれから頭1個分出ていた。石井さんにお尻を前にずらしてもらい、リクライニングしたままで離陸。シャンパンを1口飲ましてもらったら緊張感から開放された。やはり、離陸と着陸は緊張する。すぐ食事が運ばれ、私が洋食で石井さんが和食。洋食のお肉、パン、ケーキの大きさにビックリ!さすがに全部は食べられなかった。機内では、酔いが醒めてあまり眠れないまま、無事ホノルルに着陸。さぉ、どうなることかお楽しみ。
つづく