無事ホノルル到着。電動車イスが飛行機のドアの外に運ばれていた事にホッとした。さぁ〜電動車イスへ移動だ。現地の係員の男性2人が来たがデカイ!ひとりは元横綱の曙くらいの体格で、もうひとりの人もデカイのに小さく見えたから不思議。私の体を軽々と持ち上げ、機内用の車イスから電動車イスへ。2人の指示に従ってシャトルバスに乗ってメインターミナルへ行った。入国審査、荷物を受け取り、税関審査、出口まで案内してくれた。途中、日本語を交えて笑顔で話してくれた優しさが嬉しかった。こういう時に、英会話ができればと思うのだが…。出口には、福岡、関空、成田から参加の他のメンバーと合流。ムームー姿の美人に、「アロハ」とレイをかけてもらって皆ご満悦。私も「マハロ」と言いながら満面の笑顔に。キスを要求したら断られてガックリ。
 初日、ワイキキバニアンへのバスが遅れ、すぐにチェックインできないトラブルもあって、その日の集合はキャンセル。皆の荷物は、駐車場に運ばれていたが取りに来ない人がいて、会長と瀬出井さん、大竹さん、私とで約10個のスーツケースの番をした。さすがに皆バテテいたのか部屋からなかなか出て来ない。結局、午後4時過ぎまで荷物の見張り番。それにしても会長と瀬出井さんの元気さにはビックリ!夕方から、広島県から参加の大竹さんとワイキキビーチへ。彼もアゴで操作する電動車イスに乗り、ひとり生活をしているパワーのある人だ。カラカウア通りの歩道は広く、横断歩道を渡っても段差がないので楽に走れる。ワイキキビーチの真ん中あたりに、サーフボードを背にして立っている伝説のサーファー“デューク・カハナモク”の像がある。像の両手にレイを掛けて記念撮影。この像の前にカメラが設置され、ライブ映像がインターネットで見られる。(http://www.co.honolulu.hi.us/cameras/waikiki_beach/waikiki.htm)
 
ハワイへ行く前は、ライブ映像を見ながら天気や気温を確認して雰囲気を高めていた。ワイキキポリス付近から海を見ているとシェラトン・ワイキキホテルの横を陽が沈んでいく風景に、ふと10年前の同じ光景が蘇ってきた。初めてのハワイに友人とマリちゃんの8名で行った時、同じ場所から夕陽を見ていたのだ。私以外は皆女性で、毎晩、私は早めにベッドに移され、その後の飲み会が朝方まで続いていたのだ。この時、女性の本当の恐さを知ったのだ!
 2日目の朝、全員で顔合わせをし、皆でアラモアナショッピングセンターへ。皆の先頭を切って“The Bas”に乗り込んだ。実は初めてだ。リフトが大きくて、私の電動車イスでも楽に乗り込んだが内心はドキドキしていた。リフトには、前向きに乗り込み、中でUターンしようと思ったが乗客が多かったので、進行方向とは逆の後ろ向きに。楽に乗車できた事に安心していたら、次のバス停でバスが停車し、ドライバーのオバちゃんが立って来て、私に何か言っている。突然の事で、英語も分からないしパニック状態。全く意味が分からない。しかし、オバちゃんの身振り手振りでやっと分かった。「バスを降りて、後ろ向きで乗り込め」と言っているのだ。後ろ向きだと電動車イスが固定できないから危険だと後で知った。ここは、電動車イスの操作の見せ所と思って、再度、バックで簡単に乗り込んで見せた。そうするとドライバーのオバちゃんが、両手の親指を立てて「Good!」と言いながらニコッと笑った。その間2〜3分、乗客は静かに待っていて電動車イスの固定を手伝ってくれる人までいた。ハワイでは、それが当たり前の事のようで、またバスに乗りたいという気持ちになった。ホッとしながら、車内の中を見回していると横の窓の上に“COURTESY SEATING”と書いたプレートを発見。多分、この席がお年寄りや障がいを持った方の優先席な
のだろう。2〜3ヶ所のバス停を過ぎた所で、年配の夫婦がバスに乗り込んできた。その時、私の前に座っていた若者が急に立ち上がって、その夫婦に席を譲ったのである。若者の顔はゴツかったが、とてもカッコ良かった。日本では、席を譲ろうかどうかあれこれ悩み、結局できない人がほとんどだろう。何故か?海外では、優先行為をしない方が恥ずかしい事だと小さい頃から教育されているからである。最近、日本でもマナーの良い若者が増えてきている。以前、マリちゃんとエレベーターに乗ろうとした時、サッとボタンを押し「どうぞ、何階ですか!」と声をかけられた事があった。その後は、友人と何もなかったかのように普通の会話をしていた。さりげなく、自然な行為に嬉しかった事を思い出した。約20分程度で、アラモアナショッピングセンターに着いた。“The Bas”には、電動車イスが2台乗れ、運賃も2ドルと安い。帰路もバスを利用したが、この時のドライバーは運賃を受け取らず無料で乗せてくれた。さぁ〜買い物だー。
 つづく