「イヤー久しぶり!」「元気そうやね。子供も連れて来たと。」「娘?エー5才?可愛いかね。シゲオ太ったね〜。オレの学生の頃よりもデカイよ。」と、28年ぶりに幼なじみと会った。「はがき通信」の懇親会で、福岡県の小倉に行った時の出来事である。彼とは、幼稚園、小学校、中学校まで同じクラスで、中学生で塾までも一緒だった。彼は昔、痩せてカッコ良かったが、今は面影がなく、相撲取りのようにお腹が太鼓腹になり体重が130kgもあった。人は、こんなに変わるのかと驚いてしまった。おまけに、3人の子供がいて下の子が5才とは…。会話していると、いつの間にか九州弁で話している自分にビックリした。思い出す事と言えば、昔、悪い事ばかり2人でしていて、とても懐かしかった。話したい事が山ほどあったが、実際会ってみると話せなく、顔を見ているだけで十分だった。
 懇親会は、いつもお世話になっているボランティアの佐々木君と2泊3日で参加した。当日は3連休の初日とあって人が多く、新横浜駅で電動車イスの人を3人も見た。1階のエレベーター前で友人の瀬出井さんと会った。彼女も懇親会へ参加。新幹線が、偶然にも同じのぞみだったので嬉しかった。エレベーターで2階のホームに上がり、出発時間を待っていると目の前で怖い場面を見てしまった。岡山行き、のぞみがホームに入って来てドアが閉まろうとした時、先程見た3台の電動車イスの人と駅員がやって来た。乗り込めるのかなぁ?と心配していたら、ドアの入口で電動車イスが立ち往生。よく見てみるとスロープがなく、ホームと新幹線の段差15cmの所に足がぶつかっていた。痛そう!焦っているのは分かるが、足をぶっつけられたらたまったもんじゃない。麻痺していると痛みが分からないので、アザが褥瘡(じょくそう)となり、傷が治りにくくなるのだ。結局、前輪を持ち上げて何とか乗車できた。のぞみが発車した後、すかさず駅員にスロープを持って来るように伝えた。ホームに早めに行っていないから悪いと言う人がいるが、3台も車イスが一緒になると時間がかかってしまうのだ。エレベーターも1台しか乗れない事にも問題がある。今まで、新幹線沿線の主要な駅に降りた事があるが、新横浜駅のような小さなエレベーターは他にない。今、新横浜駅ビルを建て直し、駅も改装される予定だが「エレベーターの大きさは変わらない」というのを後日、駅長から聞いてガッカリした。何を考えているのか腹が立った。大都会のエレベーターが小さすぎる。みなとみらいに行った時も思ったが、ベビーカーが10台は入れる位あって当然だと思う。車イスだけが利用するのではなく、ベビーカーや高齢者、誰でも利用できるエレベーターにして欲しい。それがサービスだ!
 小倉には、5年前にマリちゃんと帰省した時に立ち寄ったが、街全体が変わってしまい迷った事があった。今回は、西小倉で宿泊した。目の前に小倉城があったので街全体の位置が把握できた。小倉城には、高校生の時、毎年城祭りで相撲大会に参加していたのだ。今は、城の周りにリバーウォークや松本清張記念館などができて、オシャレな街になっていた。特に、歩道が広く整備されていたので電動車イスで走りやすかった。という事は、誰にも優しい街になったという事で嬉しい。
 2日目の午後からフリーになったので、皆ではがき通信の創設者である向坊さん宅に行った。向坊さんは、40年以上も1人生活をしている私達の大先輩なのだ。移動できるハンディキャブが少なく、地元の人の車を借りたり、2往復してもらいながら、何とか電動車イス8人が行く事ができた。家は、海の傍の高台にある。ここに来るのは2回目で懐かしい。バルコニーが広くて、そこから見える千畳敷の岩と広大な海の景色が最高。当日は、30℃を越えるカンカン照りだったが海風が強くて心地よかった。バルコニーでは、バーベQの準備をしてくれて皆を歓迎してくれた。感謝。バーベQを食べていると、横で、「ここに来るのは懐かしいなぁ〜」と話している2人の友人の会話を聞いた。彼らは、8年前に向坊さん宅に来たらしく、向坊さんの1人生活の実態を見て、自分も1人生活する勇気をもらったと話してくれた。今2人は東京で夢を実現しているのだ。そんな話を聞くと感動する。食後、向坊さんからの勧めで九州最北端という遠見ヶ鼻にある「妙見崎灯台」に行った。電動車イスで約30分。灯台の傍まで来ると、舗装されていない松林をぬけ、崖から離れた所に灯台があった。電動車イスでは近づけない。皆は、平気で崖の傍まで電動車イスで行くが、私は離れた所にいた。高所が苦手な事を知っている五十嵐さんに、「灯台が見える所まで行きましょうよ」と誘われ、イヤイヤながら行ってみた。足元は、草だらけで道が見えなくてビビッた。そこで、記念撮影が終わり、あわてて引き返そうとしたら、タイヤが穴にはまってしまい倒れそうになった。五十嵐さんが支えてくれて大事に至らなかった。本当に高い所は苦手だ!オソロシカッタ〜。
 3日間に渡って、懇親会が無事に終わり、皆と交流できて楽しかった。また、ベッドから電動車イスに移動を手伝ってくれたボランティアや向坊さん宅までハンディキャブで往復してくれた北九州自立生活センターの藤下さん、そして佐々木君ありがとうございました。そして、ホテルまで訪ねて来てくれた高校時代の恩師、高校・大学の先輩、同級生、親戚、母親に会えて、とても嬉しかった。