5年前の夜、お腹がパンパンに張り息苦しさと吐き気がしたので救急で病院に行くことになった。もう少しで、腸が破裂

するところだったらしい。そこでストーマを作ることになった。ストーマとは、人工肛門のことである。ストーマになるとパウ

チを使用することになる。そうなると臭いのことが心配になった。だが使ってみると全く臭わない。しかし、(排泄物を受け

とめる袋)パウチからたまに漏れて臭うこともがあるが応急処置もある。

 ストーマにしてから、週2回2時間の憂鬱な排便がなくなった。また、旅行も2泊3日で帰って来て排便をしなければなら

なかった。頸髄損傷者排泄で多くの時間をとられたりして皆苦労している。ストーマになったら長期旅行ができるようにも

なったので排便が楽になったのである。頸髄損傷者にとってはありがいものである。

 私のストーマは双孔式といって便の排泄口が2つある。1つがお腹から、もう1つが肛門側へ。特に、私は肛門側に便が流

れやすく、2か月に1度は摘便をしなればならなくなった。せっかく楽になったのに。摘便後は血圧が下がり貧血が酷くなり

起れないほど辛い。それで肛門側の排泄口を閉じる手術をすることに決めた。国際親善病院ではできないと断られて落ち

込んでしまった。
横浜労災病院に相談に行くとなんと受け入れてくれることになった。その外科医のO先生

は、とても優しく辛さを理解してくださったのである。入院日もマリちゃんの都合のつく日を

聞き入れてもらえた。こんな優しい先生に出会えて本当に嬉しかった。本当に凄い先生だと

思う。手術は1時間程度で終わりストーマの大きさ形も変わらず上手にできていた。

手術前日、麻酔医のU先生から全身麻酔の予定だと聞いていたが、翌朝U先生が来て腰椎     〈双孔式〉

麻酔に変更することになったという。理由は、肺活量が少ない私が全身麻酔だと自立呼吸ができなくなる可能性がある

と説明してくれた。麻酔医の先生が一晩考えてくださったのだ。医療はチームで行われているんだなぁと思った。患者の

状態を安全を一番に考えていることがわかった。

入院中は看護師さん達にも大変お世話になった。全介助が必要な私の入院は看護師さん達に

とっても大きな負担になったことだろうと思う。忙しい時にハンディーテレビの固定に必要な

箱を探してくれた担当の看護師さん、優しく接してくれた看護師さん達にも深く感謝。

今では辛さもなくなり安定した日々を送ることができている。
    〈単孔式〉
 私の担当医だったO先生はじめ麻酔医のU先生、看護師の皆様本当にありがとうございました。