「アレー!便が黒いね。」と妻のマリちゃんが驚いた。

ストマから出した便を見せてもらうと本当に真っ黒。

マリちゃんが、「これ出血しているんじゃないの?。」と言った。

急に不安になった。

その日から徐々に貧血が酷くなっていった。

主治医の先生に来てもらい便の検査と血液検査をしてもらった。

翌朝、主治医の先生から電話があり、出血しているから直ぐに病院へ行くように勧められた。

緊急事態!

先生が直接病院に連絡してくれたお陰で、スムーズに救急車で運んでもらうことができた。

以前に救急車を呼んだ時、受け入れてくれる病院を探すのに手間とったことがあった。

なにせ私は全介助が必要だから・・・。

 病院に着くと透明なビニールに囲われた部屋に連れて行かれた。

マスクにフェイスガード、防護服を着た看護師が来て鼻に脱脂綿の棒を突っ込まれPCR検査。

鼻が痛いというもんじゃなかった。

CT検査と輸血。その間、貧血なのか寒くて震えが止まらなかった。

内視鏡検査に行く途中にPCR検査が陰性だと分かり、十二指腸に潰瘍が五ヶ所もあることがわかった。

その一ヶ所から出血していて、そこを内視鏡で止血してもらった。

久しぶりの内視鏡は辛かった。

翌日も止血していることを確認した。

その後、ICUで2日間、それから一般病棟で10日間の入院生活となった。

4日目から重湯の食事が始まった。

重湯だったがうまくて嬉しかった。

一般病棟では家族も面会禁止で、毎日暇でしかたなかった。

マリちゃんが褥創予防のマットやストマの医療品などを届けに、何度も病院へ来てくれたが会えなかったのが寂しかった。

コロナが早く収束して欲しいと思った。

 そんなある日、病棟の看護師さんがマリちゃんの教え子だというのが分かった。

そんな偶然もあるのかと思った。

わがままを言わなくて良かった。

退院の日にマリちゃんと教え子の対面となった。

なにせコロナ禍の面会は一度もできずキツイものがあった。

それでも無事退院できたのだから良かった。

医師と看護師さんの皆さんに感謝。

皆さん、特に今は病気にならないようにご注意ください。


                                              2020年10月