“さぁ、電車に乗るぞ!”改札口を通って、相模鉄道希望ケ丘駅の真新しいスロープを上がりホームに出る。横浜行きの電車がやって来た。電車の乗降口とホームの段差が15pあったが、親切な駅員が来て乗車を手伝ってくれたので、なんとかクリアできた。
  15年前に利用していた電車の記憶が横揺れの中で、よみがえってくるようであった。健康な頃には意識せずに乗車し、遊びに飲みに、パチンコにとよく利用したものだ。懐かしい!電車は混んでいたが、チンコントロール(アゴで操作する)の電動車イスだと座っていけるので最高である。私の身体が大きいので、電動車イスも特別注文。『まるでゴリラの王様が電車に乗っているみたいね』と妻が笑った。
 横浜駅に着くと、駅員が待っていて下車を手伝ってくれた。親切は嬉しいのだが、私としては電車の乗車口とホームの間の段差と隙間を無くせば(カリフォルニアバークレの地下鉄のように)、ひとりで自由に利用できるのになァ…と思った。あるいは、段差や隙間にアルミ制の板を置くようにすれば、車イスも安全だし駅員さんも楽になるのに…。車イスを運ぶのは意外と無理な姿勢から力を出すので、腰を痛める人が多いそうだ。
  ホームから改札口を出て、人の多さに驚いてしまった。歩く人の足をタイヤで踏みそうな気がしたり、子供とぶつかりそうになったり…。神経を使いながらの電動車イスの操縦は、初めてなだけにスリル満点。
 西口から県総合センターに行き、福祉プラザを見学し昼食。ホッと一息。そこから東口のそごうへ。車イス専用の昇降機を利用し、妻と一緒に乗る。『ワァーおもしろい!なかなか乗り心地がいいネー』と一人で喜んでいるマリちゃん。こちらは、神経使って疲れているのに…。電動車イスでそごうまで行くには、けっこう遠回りしてエレベーターを利用しないと行けない。迷子になりそうになる。なんとかならないかな〜。
 いよいよ画材のショッピング、15年ぶりに自分で選んで買う。昔はあたり前だったけれど、人間いつどうなるかわからないものである。皆さんもご用心!。
  帰りの電車では、年老いたご婦人が話しかけてくれたりして、5時間の外出はけっこう楽しいものであった。以前、希望ケ丘駅駅長さんから『改札口を広くして、階段をスロープにしますから』と電話を頂き、やっと実現して利用できた相鉄電車。けつこう疲れ、問題もあったが、デッカイ電動車イスに乗った“ゴリラの王様”は、また、利用したいと考えている。
 相模鉄道の職員の皆様、ありがとうございました。全部の駅で車イスの利用が可能になる日を楽しみにしています。