毎年、お正月は、TVを見ながらのんびり寝正月である。楽しく賑やかな番組が多いなか、『なかなかやるなー』と思った事があった。それは、『欽ちゃんの全日本仮装大賞』で、発射台からロケットを打ち上げる仮装だった。そのメンバーの中に電動車イスの人が出場されていた。電動車イス2台は、ロケットから左右にモクモクと出る煙りの役で、作品は合格した。仲間と一緒に作品を作り上げ、テレビに出ている姿に感激したのだ。障害者が普通の番組に出ていても違和感はなく、当然の事のように思えた。
 最近、テレビドラマで主人公に障害があり、手話を使う番組などが人気となっている。障害者とふれあう機会がない人には、とても良い事である。障害者の生活や気持ちが多少理解できるのではないかと思う。テレビの影響力は、凄い。本屋での手話の本が10倍の売れ行きとなり、手話教室で学ぶ人が増えているらしい。それが、きっかけでボランティア活動をはじめたり、多くの障害者の方とふれあいがはじまる。TVからの影響は、早くその宣伝力を利用するのも悪くない。以前から思っていたのだが、障害者を主役にする番組は時々見かけ、一般の方にも勉強になるだろうが、そういつまでも主役でなくてもよいのではないかと思う。私は、一度"お笑い番組"に出場してみたいとひそかに願っているのだ!結構賑やかで楽しいのが大好きだから、出場が無理なら見学席のほうで見たいと思う。電動車イスに乗ったゴリラの王様が行くと、驚いてギャグが連発しにくいのかもしれないが…。障害者は、福祉番組だけでなく、トレンディードラマやバラエティー番組など、一般の番組にも障害者をさりげなく出してはどうだろう。通行シーンやら友人として少し出る事や車イスのお笑いタレントやアナンサー、俳優などがいても良いと思う。障害者がテレビに出る事で、見ている障害者も励まされるし、とにかく障害が特別でなくなってくるだろうと思うのだ。障害者が働く事で自信にもなる。働くと言えば、私のような重度障害者でも就労されている方がいる。私は、重度障害者が就労するなんて考えてもいなかったが、福岡県の障害者仲間、清家さんから会報『WORKIMG QUADS』を読んで初めて知った。このワーキング・クォーズとは、重度四肢まひ者の就労の可能性を調査研究したもの。日本、アメリカ、カナダの実態調査や社会的背景の日本、アメリカ、カナダの比較、そして、ハイテクの活用可能性等の検討である。簡単に言うと、重度障害者に何か仕事が出来ないものかという事である。私もNO9で執筆させて戴いたが、この会報を読む前までは、重度障害者が仕事をする事すら考えてなかった。重度障害者は、社会生活はもとより自宅で家族と生活する事さえ困難で、病院に長期滞留する人や施設生活者が少なくない。在宅での生活も極めて厳しく、公的介助者制度は未整備で家族依存がほとんどである。そんな中、実際に仕事をしている人が現れてきた。現在では、自営者26名、雇用11名にも増えた。通勤負担がない自営業が多いようである。自営業は、資質や資産に依存しながらも考え、工夫し、努力して生活を改善しながら就労されている。頸損者の中にも、恵まれた人間関係、あるいは社会環境の中で立派に就労されている人達も少なくない。重度頸損者にはいわゆる一般就労は至難の業である。就労といえば一般的通念として収入を得て労働する事を意味し、その事により経済的な自立を手に入れる事であろう。しかし、中には、就労をより広く解して社会参加あるいは自己実現の手段として、考えても良いのではないかと思う。
 『障害者』というと、暗くて何もできない哀れな存在というイメージを浮かべる事が多いようだ。しかし、障害者でも障害がすべてでなく、障害以外にその人なりに持っているものがある。障害があっても自分の考えや意見を持ち、それをまわりの人に伝え、お互いに理解できるようになる必要がある。障害を持っていても普通の社会で生きるのがよい。健常者と共に生きるには、障害を持つ人、持たない人の相互理解と協力が必要。障害者は、特徴の違うただの人間として見て欲しい。それには、健常者の理解も必要だし、障害者の努力も不可欠だと思う。