"新郎、新婦御入場"ワァー!怪我をして以来、初めての結婚パーティーに出席。パーティー形式の披露宴。こんな大切な式にいつものジャージで参加しては失礼なので、事前に昔着ていたスーツを着てみた。着れなければ、新しいスーツを買わなければいけないと思っていたのだが、なんとか着れたのでひと安心。当日、スーツ、Yシャツを着るのにマリちゃんだけでは無理なので父母と3人がかり。私の両肩間接が硬くなっているので、スーツの片方の袖に腕を通してしまうと、もう片方の腕に袖が届かず入らない。どのように着せて貰うか考えていた時、良い考えが浮かんだ。いつものTシャツを着るように、Yシャツやスーツの上着も、両手を先に袖に通してかぶるようにすると良いと思った。18年ぶりにスーツを着た。身体が何故か引き締まる。このスーツは…。小雪が舞う寒い日、高校の教師として初出勤した日に着たのを思い出した。生徒達は、私の姿を見て刑事と勘違いしていた様子で面白かった。懐かしい!あの頃の私は、若く、本当に怖いもの知らずであった。そんなことを思い出しながら、父にネクタイを締めて貰った。 そういえば、七沢リハセンターに入院中に失敗があったことも思い出した。私のベットの隣に車イスの男性が再入院していた。彼の両足は、筋肉が退化して細く、右大腿骨を骨折していたのだ。私より歳下であったが、車イス歴は先輩であった。彼は、仕事もしながら車イスバスケットボールの選手でもあった。上半身は筋肉でガッチリして両腕が大腿部のように太いのに驚いた。当時、私に多くの経験や健康管理方法などを教えてくれたものである。彼は、3カ月間で退院したが、その間、手を動かせない私に変わり、本を書見台に立ててくれたり、買い物などもしてくれて大変お世話になった。退院後も月2回、リハセンター体育館でのバスケットボールの練習後に、わざわざ病棟まで私に会いにきてくれたりした。それから、私はバスケットの練習に顔をだすようになって、多くの友人が出来た。その彼が、PT(理学療法士)の先生とついに結婚する事になったのだ。その先生は、いつも元気で明るく、大きな声で挨拶をする体育会系の女性だった。以前から、ふたりの仲を知っていたので、心から喜んだ。そのふたりから、結婚パーティーに招待されたのである。私は、入院中とあって主治医に許可を貰い、ハンディキャブ(車)の手配までした。久し振りに外出できるのが嬉しくて、前日、病院の理髪店でパーマをかけ、完璧に仕上げた。当日、マリちゃんがスーツを抱えてやってきた。オシャレにうるさい私は、ビシッときめようとしていたのであるが、なんとその当日、私は朝から熱発して38℃の体温であった。とうとう、主治医の許可が下りず、パーティーに行くのを中止しなければならなかった。どうも原因は、パーマをかけた時にかぜをひいたらしい。私のカッコ良いヘアースタイルとスーツ姿で、パーティー行く事を楽しみにしていたのに情けない。それ以来パーマはやめて、2度と失敗をしないように、今回は特に気をつけたのである。ボランティアで運転して下さった方のお陰もあり、結婚パーティーに無事に出席できた。 今回は、以前入浴サービスで大変お世話になった女性の結婚パーティーである。友人の司会でスタート。食事もバイキング形式で堅苦しくない。私にはピッタリ!新郎、新婦に歓声とクラッカーの音で賑やか。それぞれの友人達もいろいろな人が集まり、ラップの曲でノリノリ。私のおなかにも音が響き渡った。パーティーにラップとは!?私も歳を取ったらしい。昔、新婦に初めて会った時に、"金太郎"とあだ名をつけた。それは、眼がクリクリと真ん丸るで大きく、少し顔も似ていたが、本当の理由は、私を軽々と抱える事ができるパワーの持ち主で逞しさがあった。若い女性に私は、"金太郎"と呼んでいたが、彼女は明るく笑顔で接してくれる心の大きな豊かな女性であったからである。新郎には、初めてお会いしたが、なかなか印象深い顔だった。真四角の顔に桃のぬいぐるみを頭にかぶった姿で会った。テレ隠しで笑っているが、優しさ一杯の彼だった。ふたりとも思いやりがあるので、きっと、いい家庭を築く事だろう。電動車イスと私が大きいので、御両親と挨拶しても、私の方が偉そうに見える。何故なら、上半身が前屈できないので、頭を下げても首だけ動かしているように見えるのだ。だから、知らない人が見ると偉そうに見えるのである。いつもそうなのだが…。 結婚パーティーに出席して、新郎、新婦、家族の方まで喜んで戴いて、本当に嬉しく思った。ふたりの晴れ姿を見て、これからいろんな事に出会うでしょうが、勇気と希望を持って明るく生きて欲しいと思った。夫婦は、お互いに遠慮しあい、我慢するのではなく、お互いに尊重し、補い、高めあいながら絆を深めていくもの。だから…。心の絆を大切に! 来年、私達も結婚20周年を迎えるが、マリちゃんや父母には苦労のかけっぱなしである。こんな私を支えてくれる家族に感謝。感謝。感謝。 |
||