空港を出ると迎えのハンディキャブ(電動車イスが乗れる車)が待っていた。偶然、4年前お世話になった運転手さんだったのでびっくりしてしまった。彼も私の事は、大きな車イスなので覚えていてくれていた。ホテルの部屋は、15階で眼の前にダイヤモンドヘッドの全景が見え、眼下にはワイキキビーチが一望できる素晴らしい部屋であった。皆、一斉にウォーと歓喜の叫び!
 午後、マリちゃんと部屋で一休みしていると、ハワイアンの生演奏が聞こえてくる。その演奏を聞いているとふたりで気持ち良くぐっすりと寝てしまった。途中で眼が覚めたマリちゃんは、どこから聞こえるのかと、バルコニーから下を見た。なんと日本人が結婚式をやっていたのである。私達は、結婚式の曲を聞きながら気持ち良く寝ていたのである。何とも言えない寝心地だった。毎朝、ラジオから流れるハワイアンの曲を聞きながら、バルコニーから見る景色に酔っていた。心地よい風に包まれ、波の音を聞きながら、海を見ていると時が過ぎるのを忘れてしまう。日本にないゆったりと流れるハワイの時間がある。ハワイに来て人の優しさを教えられたように思う。それは、ゆっくりした生活のリズムの中からにじみ出すものだと思った。時は優しさなりかな。
 『ポリネシアン文化センター』の評判が良かったので、皆で行く事にした。遠回りになるが、ハレイワにあるマツモトストアーの店に寄って行く事に決定。車中、景色を眺めながら、皆で大騒ぎ。すると、突然高台がひらけ、パイナップル畑が一面に広がっていた。パイナップルは昼と夜の温度差があるほど甘いパイナップルになるらしい。ワイキキとは違う景色を楽しみながら、松本ストアーに向かう。有名な松本シェイブアイスを求める客が行列を作っていた。マツモトシェイブアイスは、12種類のシロップがかかったかき氷である。それがとても美味しいらしい。さっそく、皆で買って食べてみた。噂どおり、やけにうまい。暑いせいもあり、ただ、氷が溶けるのが早く、急いで食べなければ、手はドロドロとなってしまう。ビデオや写真を撮ろうとしていたのだが、溶けるのは早いし、手はベトベトだし、結局食べ終わってから店を撮る事になってしまった。そこからノースショアの海岸を通り、ポリネシアン文化センターに向かった。行くまでの景色は最高であった。海の色が蒼く美しく、昔の村をそのまま残したような、情緒のある街で、ワイキキの方とは全く違うハワイを発見した。
 ポリネシアン文化センターは、ハワイ、サモア、フィージー、トンガ、タヒチ、マルケサス、ニュージーランドなど、7つの村を再現している。南海の村々を訪れたような雰囲気。各エリアでは、民族衣装をまとった人々がさまざまなアトラクションを行っている。サモアの村では、サモア人が見事にやしの木からココナツを採り、その皮をむき、ココナツミルクを絞り、小さなココナツのお茶わんを作る過程を英語、日本語、中国語、サモア語を取り入れながら面白、おかしく説明する。余りの面白さに、電動車イスから笑い転げそうになってしまった。ディナーは、食べ放題のビュッフェ・スタイルでトロピカルムード満点。なかでも、土の中で蒸したブタ肉は美味かった。ディナーショーの途中で、突然歓声があがった。何事かと英会話のできる友人に聞くと、ある男性がプロポーズしたという。彼女もOKで、2人は、舞台に上がり拍手の嵐をあびて、熱列のキスで応えていた。日本人にはできない、粋なプロポーズである。イブニングショーは、総勢100人を超えるパフォーマーたちがポリネシアンの歌とダンスや火渡り、ファイヤーナイフの妙技には驚かされた。壮大なスケールと迫力に感動した。
 ポリネシア人は南太平洋の楽園に移り住み、文化を築きあげた。彼らは自分達の歴史を書き残さず、語り継ぎ、歌い継ぎ、踊りを伝えている。フラダンスも歴史伝承の大切な踊りなのである。昔から伝えられているフラの歌詞の中には、ハワイ固有の動物や植物の名前が多く登場する。レイに使われる花は、それぞれ深い意味が込められているのであった。ハワイの歴史や自然とのつながりを語るレイの花は、ハワイに昔からある花でなければならない。しかし、今は植物の世界でも、ハワイの固有種は絶滅への道をたどり、華やかだが新しい外来種ばかり増えている。フラは、自然と共に生きる人間の姿を描いていた。歌詞は、よく解らないがフラの歌は悲しくせつなく感じ、涙が出てきそうになる。ハワイは、昔から自然と深くつながりを持った文化である。それは、古くから踊り歌われてきたフラである。本当の伝統文化に触れたような気がした。ポリネシアの歴史と伝説がここには生きているのだ。
 今回の旅に参加してくれた、3人の美女に感謝。