結婚式と言えば、人生で一番輝いている時期なのか?不思議な男女の結びつき。ゴリラの私も20年前に式を挙げ、何も食べられなかったマリちゃんの料理まで全部たいらげたのを思い出した。
 最近は、新しいいろいろな形式で結婚式を挙げるらしい。式をしないカップルも多いとか。先日、2つのカップルの披露宴に出席。両日とも正装して、緊張しながら参加した。
 1つ目のカップルは、老人ホームで働いていた菅井さんの結婚式。彼女には、大変お世話になった。職員達で焼き肉を食べる時に一緒に誘ってくれたり、ハワイ旅行に2度も同行してくれた。私が外出するきっかけを作ってくれた人でもある。
 無事にコンチネンタルホテルに到着。デカイ車イスなので、段差やエレベーターに入れるか心配したが、やはりホテルは大丈夫であった。時間までコーヒーを飲む。スーツを着て、琥珀色のコーヒーを飲むのもなかなかカッコ良くうまい。だが、心は落ち着かない。皆さんより先に会場に入る。新郎の好きなアニメの『あしたのジョー』の曲で新郎新婦入場。大拍手。新郎新婦の紹介から始まり、次々に祝辞が述べられる。緊張が高まる。ついに来たー。『渡辺さん真由美さんご結婚おめでとうございます。エーご良家の皆様、本日は…』なかなかの滑り出しで祝辞をした。ところが、途中、言葉の始めに『エー』と付け加えるので、横でマイクを持ってくれていたマリちゃんが、『エー、エーばっかり』とツッコまれ、とたんに私の頭の中は途中から真っ白、祝辞の言葉が吹っ飛んでしまった。しかし、何とか思い出しながら、やっと祝辞が終わった。いやー緊張した。やっと食事が喉を通る。私がしゃべる前からマリちゃんに『「エー」とか「アノー」とか話の間にアイウエオを入れると聞きづらいから気をつけなヨ』と何度も注意をうけていた。気をつけなければと思っていたのだが、緊張すると癖が出てしまう。今回もダメだった。マリちゃんには、笑われるし(全くタチが悪い)…。でも何とか無事に終了。新婦の真由美さんの笑顔が、とても輝いていた。ステキな結婚式に参加させて貰い、楽しかった。
 その次に行った結婚式は、私の教え子、石井君の式に出席させて頂いた。教え子と言っても、たった2カ月間だけなのだが…。突然の電話、20年ぶり。話しをしながら、確かあいつだと顔を思い出す。石井君を直ぐに思い出せたのは、彼がマリちゃんが勤務していた中学校の出身だったので、よく覚えていた。マリちゃんは、直接教えていないが、彼の弟の担任をしていた。『結婚式に出席して戴けませんか?』『エッ!俺なんか出席していいの?』話をしながら昔を思い出す。新しい初めてのクラスを持って、私はウキウキしてた!皆元気で、悪そうがいっぱい。入学式からガンの飛ばし合い。茶髪にピアス、ソリこみの入った頭。喧嘩がそのうち始まった。『いいかげんにせいヨ!ケンカすんなら他の学校の生徒とせいや!』九州弁丸出しで指導してた。今では、茶髪はあまり珍しくないが、当時は目立ったものだ。カッコつけている生徒を見ながら、昔の自分を見ているようだった。みんなの気持ちが手に取るように分かった。とにかく、悪そうがいっぱいのクラスだったのだが、私は大好きだった。ツッパった生徒は、本当は純情で心の優しい子が多いのだ。毎日、悪そうをどう料理するかが楽しみだった。そんな中に、石井君がいた。私は、クラスに何かあると『また、石井か』と大きな声で名前を呼んだり、保健の教材や弁当まで教室に運んで貰ったりして、かわいがっていた!?本当は、こき使っていたかも…。20年ぶりに会った彼は、高校生の時の面影が残り、逞しく成長していた。残念なことに、数年前に父を亡くしていた。10人兄弟の長男として、彼は立派にやり、母を助けている。たった2カ月間の担任、何も教えていない私なんかを思い出し、わざわざ式に呼んでくれた。実に優しい人物であり、そんな彼を育てたお母さんの力も素晴らしい。昔が思い出された、心暖まる結婚式であった。
 ♪♪縁ある人、万里の道を越えて引き合うもの。縁なき人、顔を合わせすべもなく、すれ違う。♪♪という中島みゆきの歌詞(だいぶ昔だが)の通りだと思う。私が出席した2つのカップルは、良縁だ。だって、私とマリちゃんが祝福し祈ったのだから…。良いことがこれから一杯あるぞ!