昨年、7月にアメリカで夢のようなハイテクの電動車イスが発表された。その電動車イスは、回転型4輪駆動で、階段の上り下りができ、また、芝生や砂地、砂利道といった平坦でない地形や坂道も走行可能だと言う。そして、2輪でバランスをとって、立ち上がる事もでき、高い棚にあるものを取ったり、立っている人と同じ視線の高さで会話できるハイテク技術が装備されているらしい。奇跡の電動車イスである!その電動車イスを自分の眼で確かめたくて、昨年、国際福祉機器展に行ってきた。当日は、友人の藤城君が運転する市のハンディキャブで、岩村さんと渡辺さんの4人で出掛けた。皆、久し振りの再会で、話がはずみ、次回の食事会の約束まで決まるほど盛り上がった。皆、私に付き合わされているせいか、食べ過ぎ気味のため、少し体重が…心配!?
 毎年、国際福祉機器展は、お台場にあるビックサイトで、3日間にもおよぶ、新製品の発表や取り扱い機器の使用説明などが開催されている。今回、福祉機器は、介護保険制度によって、今後、大きな成長が見込まれるという期待もあって、過去最大規模の世界16カ国、542社(日本430社、海外15カ国112社)から出展。障害者や高齢者の自立と介護のためのベット用品や入浴用品、コミュニケーション機器など、世界最新機器25000点が展示されていた。その数の多さにびっくり!興味のあるブースだけ見て、通過しても一回りするのに4時間もかかってしまった。
 今年の国際福祉機器展には、12万人が訪れ、介護保険の影響か福祉機器への関心が高い。電動車イスを見る前に、リフターを見た。リフターは、介助者1人でも安全で、そして簡単に移動操作ができるものである。私も受傷当時からリフターを使用して21年。私の大きな身体でも、マリちゃんがひとりで、ベットから電動車イスに移動させる事ができる便利な機器である。夢の電動車イスを探し回ってみたが、今回は展示されていなかった。少しがっかり!そんな中、面白い電動車イスを見つけた。ドイツ製の前輪駆動の電動車イス。前輪が大きなタイヤで、後輪が小さい。私の乗っている電動車イスとは反対。ヨーロッパでは、石畳みが多く、段差が多いので、段差を乗り越えやすいように、前輪を大きくしているのである。
 車イスは、成人用関連の製品は豊富だが、子供用の製品が少ない中、デンマーク製の車イスが目に止まった。デザイン、機能、安全性は勿論の事だが、障害を持つ子供にとって、身体を正しい姿勢で、しっかり保持する事は、成長段階での二次的障害を防止できる大切なこと。これからの車イスは、モジュール化され、組み合わせ式の車イスが主体となりそうである。もうひとつ楽しみにしていたのは、私の電動車イスで乗れる車(ハンディキャブ)である。今回、初めてベンツやルノーの車を見たが、どれも大き過ぎて、金額も高く、個人では購入は難しい。大型車以外は、頭が天井に当たってしまい、かなり小柄の人でないと厳しい。日本の各メーカーは、最初から障害者用の車を作ろうという設計思想ではなく、既存の車をベースにして作っているから、もし、車に乗れても床が高いので、外の景色が見る事が出来ない。もっと、車イスや電動車イスで乗る人の立場になって、車を作って欲しいものである。
 今回は、4月から介護保険が始まるという事で、介護保険の訪問看護やホームヘルパーの指定事業者向けのソフトが多く、全国の主要企業の最新ケアプランソフトを一堂に紹介するプレゼンテーションも行われていた。介護保険が導入されると福祉機器は、レンタルが主体となる。使用された機器の消毒や管理の問題など、多くの事があるが、その人にあったニーズが補償されるようなシステムにして欲しい。現状を低下させない、狭い市場を作る方向には進まないようにして欲しいものである。要介護認定は、どの程度のサービスが受けられるのか、コンピューターで鑑定される。介護を受ける人の心身の状態について85項目の調査を行い、結果を入力するとどの程度の介護が必要かが自動的に決められる。この結果を元に医師の意見書などを参考にしながら審査会が開かれ、最終的な判断が下される。要支援から要介護5までの6段階に分けられる。どの程度のサービスを受けられるかは、主治医の書く意見書が認定の重要な材料となる。精神症状の記載については、わずか1項目。精神神経症状の有無。ある場合は、専門医の受診をしているかの有無。これでは、参考の程度で、どんな事が日常生活で、問題になっているのかとか、介護を在宅で続けていく場合に、本人の介護だけでなく、介護する家族側の問題も一緒にセットとして、考えないといけないのに、何が家族の負担になっているのかが分からない。介護する家族の状況は考慮されない。判定は、あくまで本人の症状が対称。先の見えない介護という世界に、介護保険は、どんな光をあてるのか。