「今日、FM横浜で聞いちゃいました!嬉しかったですよ、とっても。」と友人からEメールが来た。何かと思ったら、な・なんと!1月24日の朝、FM横浜の「ザ・ブリーズ」の放送中に、私の作品展の事が紹介されたらしい。私は、放送される事も知らず、その日は訪問看護婦さんに身体の間接を動かしてもらっていた。
 今年の1月24日〜2月3日まで、港北区にある「障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール」で、水彩画の作品展をやったのだ。横浜ラポールは、障害者がスポーツ・レクリエーション・文化活動を通じて、健康づくりや社会参加、障害者が主体的に参加する市民交流の場として、障害者の自立に向けた環境づくりを促進しているところ。その横浜ラポール企画課の岡さんに、作品展の依頼があり、初めて作品展が実現することになったのだ。絵を描き始めてから、約16〜17年間に書き溜めた22点中の16点を展示した。どの絵にも思い出があるが、ただひとつ思い出せないのは、いつから絵を描き始めたのかが分からないのである。ラポールの岡さんに尋ねられて、思い出してみたが返事ができなかった、マリちゃんにも聞いてみたがまったく覚えていないのだ。結局、いつから描き始めたのか分からぬまま作品展が始まった。
 当初、1月24日〜29日までが展示予定であったが、大雪のためラポールに行くことができず、1度も作品展に顔を出せなかった。急遽ラポールのほうで、私が絵の搬出に行く2月3日まで延長してくれていた。展示期間中、多くの友人や知人が絵を見に来てくれたらしい。いつも散髪でお世話になっている理容「いこい」店の奥さんから「作品展に行って来ました。」と電話があった。毎年、障害者仲間の絵画展にも必ず足を運んでくれる優しい方である。当日、お姉さまと2人で作品展に向かった時、新横浜駅からラポール行きのバスが発車したばかりで困っていたら、耳の聴こえない女性がラポールまで歩いて案内してくれたそうである。ふと、どのようにして会話しながら行ったのだろうかと思った。聞いてみると、奥さんは昨年から手話を習い始めており、何とか通じ合えたと楽しそうに話してくれた。その日は、小雨の降るとても寒い日だったのにラポールに着くまでの間、まったく寒く感じなかったと不思議そうに話されていた。人と人の出会いは温かいものだと感じた。横浜ラポールの「ラポール」は、フランス語で「心の通い合い」という意味を持っているそうだ。正しくその通りの出来事だったのだ。
 作品展のお陰で、22年ぶりに教え子にも会う事もできた。神奈川新聞で私の作品展の紹介を見た教え子が、静岡にいる友人に連絡して、わざわざラポールの作品展にふたりで来てくれたのである。そのあと、私に会いに自宅まで訪ねて来たのだ。私が高校でサッカー部の顧問をしていた時の生徒だった。当時の練習や夏季合宿、試合などの昔話に盛り上がった。教え子いわく「先生に殴られると吹っ飛んだけど、痛くはなかった。先生は、遊ぶ時と真剣になる時のけじめがしっかりしていたから。」と話してくれた。昔の私は暴力教師ではなかったのだが、生徒にしてみればやはり恐ろしい存在だったらしい。ふたりは、今立派な社会人となって家庭を持つ、38歳の父親になっていた。翌日、ふたりからEメールが届いた。それには、「22年間、頭の中のモヤモヤがようやく解消しました。」「家に帰り早速、家族(娘二人)に、先生の話をさせてもらいました。普段は、ろくに話も聞かない二人がこの時ばかりは、最後まで話を聞き何かを感じとってくれたようです。」と書かれて嬉しく思った。
大雪のためラポールに行けなかった日で、友人が作品展のお祝いの花を自宅に届けてくれて、教え子たちと一緒に大いに盛り上がっていた。その頃、ラポールでは友人達の再会の場となり、友人の和が広がって同窓会のようになっていたらしい。
最終日にラポールに行くと、展示してある絵の周りに多くの方が真剣に絵を見ている姿に感激した。車イスの友人にも会えて、楽しい一時を過ごすことができた。
今回、初めての作品展でお世話になった横浜ラポール企画課の岡さん、戸村さんをはじめ職員の皆様に、この場を借りて、心より深く感謝申し上げます。ありがとうございました。