最近、新聞や本を読むと字が二重に見えたり、目がショボショボする。“どうも眼が悪くなってきているようだ”とマリちゃんに言ったら『老眼だネ!』と一言。今まで視力は、良いほうだったのに、いつも本を読んだり、パソコンをする時の距離が一定だからだろう。遠くを見ることが少ないのだ。やっぱり、眼科の受診がそろそろ必要のようなので、どこの病院にしようか考えた。どこの病院も眼科や耳鼻科は、ほとんどが狭く、とてもゴリラの電動車イスでは入れそうにないのだ。それに、ものすごく混んでいる。国際親善病院のケースワーカーの方が神奈リハで勤務されていた人なので、その方に相談してみた。神奈リハのような病院で勤務された方でないと、なかなか頸髄損傷や脊髄損傷の患者のことを理解できる病院関係者は少ないのだ。全てのドクターやナースが、頸髄損傷のことを知っているとは限らないのだ。扱ってみないと分からないことも多いのである。早速、予約を取ってもらい、国際親善病院の眼科の先生に見てもらった。
 受診には、マリちゃんが仕事を休まないですむように、今回初めて“ガイドヘルパー制度”を利用してみることにした。ガイドヘルパーとは、外出時に付き添いの得られない方が社会生活に必要な外出をする時に、ガイドヘルパーを派遣するサービスのことである。横浜市福祉サービスに登録するのだが登録できるのは、横浜市在住の障害者(18歳以上)が対象で、身体障害者手帳1・2級を所持する視覚障害者及び脳性まひ者等全身性障害者(車いす常用者を含む)で、外出時に付添いの得られない方。また、IQ50以下と判定された者又は愛の手帳の所持者(A1,A2,B1,B2)で、外出時に付添いの得られない方である。ガイドの利用時間は、午前8:00〜午後8:00の4時間までで、ひと月に12回利用できる。また、登録ヘルパーと言って、いつも介助してくれる方を登録して、外出する時にガイドヘルパーとして利用もできる。このサービスは、横浜市からの委託事業である。
当日、ガイドヘルパー初利用と言うことで、女性の職員の方と男性ガイドヘルパーの方の2人で自宅に来てくれた。病院に向かうハンディキャブの中で、職員の方から詳しい利用説明を聞いた。最近は、ガイドヘルパーの利用者が増えて、その日の利用者数は300名を越えていると聞いて驚いた。障害を持っている方が、どんどん外に出ることによって、バリアフリーにも貢献できるのだ。
 検眼をすると、やはり、眼鏡を作ることになった。近視と強い乱視だったのだ。受診もスムーズに進み、とても助かった。病院の先生は、優しくて安心できたし、ガイドヘルパーさんも親切で、Good!また、何かのときに利用してみようと思った。
 早速、2日後には眼鏡を作るためにマリちゃんと横浜駅に出掛けた。どこの眼鏡店にしようかと迷ったが、フロアーが広く、種類が多そうな東口のスカイビル9階の店に決めた。その店は、そごうからスカイビルに行くときに、よく店の前を通っていたからだ。初めて作る眼鏡、どんなのにしようか考えていたが、“顔がでかい”ので、どうも似合わない。店員さんに、似合いそうな物を持ってきてもらい、結局軽くて目立たないものにした。眼鏡が出来上がるのに1時間はかかるというので、待っている間、そごうに行ってみた。偶然にも、尊敬するクリスラッセンの絵の展示会があり、ひとりで見ることにした。マリちゃんは、買物があると言って消えてしまったのだ。ひとりでじっくりと絵を見ていると、係員からラッセンのサイン会が今からあると言う。実物のラッセンが見られると興奮してしまい、サイン会場の一番前で1時間前から待った。ついに、女性の歓声と共にラッセンが登場。テレビや写真などで見たことがあったが、実物は男前で爽やか。本当にカッコイイ。ラッセンと何度も視線があったが、一番前にでかい電動車イスに乗った変なヤツがいるので、驚いたかもしれない。あとで、マリちゃんに話すと『危ないやつと思われたんじゃないのー。』だって。実は、初めてのハワイ旅行で、ラッセンの絵を見たときからファンになったのだ。そのときに買った赤いアロハシャツを着ていたとは、偶然だろうか?不思議な感じであった。ラッセンの絵は、色使いや波の感じがとてもきれいで勉強になる。イルカの絵は、本当に生きているように描かれ、絵で人の心が癒されることが実感できた。私もこんな絵が描けたらナァー。
 夕食に、焼肉を食べて帰宅した。帰宅すると母が、『どんな眼鏡にしたのー』と聞くので、早速眼鏡をかけてみた。母が『小さい眼鏡だね。』と言った横で、マリちゃんが『顔がデカイのよ。』とツッコまれ、何も言えなかった。これが、最近のできごとである。