発売後暫くして、出火事故を起こしたKV−1310の残骸が送られてきました。設計リーダーであった大西さんと一緒に、発火原因の手がかりを求め、焼け焦げた臭いに咽びながら、床に広げた残骸を一つ一つ、小さい物はピンセットで拾い上げ、目視で調べて行きました。 アンテナ端子金属板の一部に高温で溶けた様な痕跡を発見!シャシとアンテナ端子を絶縁する円筒型セラミックコンデンサの半田付け付近でした。 セット実装状態で、円筒型セラミックコンデンサが絶縁破壊を起こすとアバランシェ的に発火・焼失することが確認できました。絶縁破壊の原因は、誘雷による絶縁破壊やコンデンサの欠陥、焼失まで至るのはホットシャシのためアンテナ側が接地されているとACから電力が供給される、誘電体セラミックは高温で燃える!との結論に至りました。 円板型セラミックコンデンサでは発火しませんでした。即刻、円板型セラミックコンデンサに変更しました。 |
米国、テレビ出火(嫌疑)による損害賠償裁判の証人に指名 |
ソニーアメリカの鬼木さんから、15VトリニトロンカラーTVの出火が原因で発生した家財、家屋の損害賠償に関する訴訟問題で、裁判所から、当該TVの設計担当者、責任者の証人喚問の要請を受けたとの連絡がありました。設計担当としてOさん、責任者として私が指名され、出廷に備え、米国大使館で宣誓を済ませました!私が呼び出される直前に和解が成立したとの連絡がありホットしました。 アメリカでは、何か事故があると有名企業の製品を巻き添えにして訴訟するケースがある。今回の訴訟もソニーの有名税だったかもしれないよ、との鬼木さんのコメントがありました! |
スナック火災調査 |
地方都市のスナック(飲み屋?)で火災があり、トリニトロンカラーTVも出火原因の可能性あると嫌疑を掛けられていると、販売会社から連絡があり。私が急遽任命され現地調査に行きました。5階建てビルの3階の火災現場を見せてもらいましたが、カウンターから奥が最も酷く焼け、スナックとしては半焼状態でした。幸い怪我人は出なかったようです。素人目では火元推定が出来る状況では無く、現場状況を把握しただけで帰社しました。幸いに、その後、消防からの連絡は有りませんでした。 当時はテレビから出火する事例は珍しくありませんでした。テレビ自体の欠陥だけでなく、ユーザーの使う環境、取り扱い方が原因のこともありました。ある会合で消防の方から、ソニーはマシな方だ、某社のテレビは管内で年間40件位発生しているよ、との話を聞きました。 |