FCCから、テレビ音声多重方式コンペに日本方式提案の要請を受ける
 ソニーアメリカの鬼木さん(技術担当)から連絡がありました。FCCが、「公募・コンペ方式でテレビ音声多重方式を決定しようとしているが、応募は1方式(Motorola)のみ。コンペが成立しないので実績のある日本方式を提案して欲しい」とのこと。
 NHK技研の沼口さんに状況を説明し対応をおお願いしたところ、快く引き受けていただきました。

 FCCが、放送方式に関する課題をSONYアメリカに要請したこと、面識のない沼口さんが快く対応していただいたことは、SONYが高く評価・信頼されていた一つの事例だと思いました。

 思い出したことがあります。
日本のテレビ音声多重方式が開始されて間もなく、通産省に呼び出されました。訪問すると課長補佐レベル人?が、ソニーのカラーテレビは主音声に副音声がクロストークしているとの報告を受けている。改善する様にとのこと。口頭による通達で、改善報告の要求はありませんでした? ソニーサービス、営業からは同種のクレーム報告は来ていませんでした。
 帰社後、担当グループと確認・検討を行いました。症状の認められるモデルがありましたが、回路方式の問題ではなく、当該回路プリント基板のアースパターンの引き回しが原因で、即刻改善策を実施しました。通産省の話は有り難いアドバイス?でした。
 2016年11月27日




テレビ文字多重放送(TELETEXT)、文字情報システムへの取組
①TELETEXT
 Bridgend工場の常田さんから、BBCのTELETEXT放送を準備しているとの情報を聞き、お願いして、BBCを訪問し見学をしました。即刻、常田さんにお願いしTELETEXT GENERATERを手配・購入し、受像機の検討を開始ました。
米国の鬼木さんからは、ユタ州のテレビ放送局がTELETEXTの試験放送をしているとの情報が寄せられ、早速鬼木さんに同行していただき放送局を訪問し試験放送を収録したビデオテープを貰い、日本に持ち帰りました。
TELETEXT検討チーム(英国のエンジニアと連携)の努力で、ベルリンショー(エレクトロニクスショー)にトリニトロンカラーテレビ内蔵の試作機を出品し、英国向けにTELETEXT内蔵22インチトリニトロンカラーテレビを導入しました。
1979年6月米国のIEEEで”Television Receiver Design Aspects for Employing TELETEXT LSI"(論文)を発表しました。

②キャプテンシステム(CAPTAIN System)(1984年11月30日サービス開始)
 
Character And Pattern Telephone Access Information Network Systemの略。
日本電信電話公社は、ファミリー企業(NEC、日立製作所、富士通、沖電気など)から通信機器を調達してました。
岩間社長から、電電公社が推進するキャプテンシステムサービスにソニーの参加が認められたのでテレビ事業部が担当する様にとの指示がありました。岡田さんと一緒に電電公社を訪問、キャプテン端末の仕様書は貰えましたがそれ以上の情報提供はありませんでした。新参者に対する懐疑心を感じました。
 佐原次長をリーダーとしプロジェクトチームを結成、制約された時間内に、未経験の技術を盛り込んだ端末機の設計、商品化と言う厳しいい仕事となりました。ロジック回路の設計が出来るのは若い長谷川君のみ、彼の体調を気遣いながら間接的なサポートしかできないもどかしさを感じながら彼を見守ることしかできませんでした。深夜残業のプロジェクトメンバーを、会社が用意した仮眠所(品川プリンスホテル)に車で送迎しました!プロジェクトチーム全員を激励するために、岩間社長が来られたこともあります。プロジェクトチーム全員の努力が実り、指定された納期に指定台数のキャプテン端末を納入することが出来ました。
 パソコンの普及、インターネットの発展により、キャプテンシステムは2002年3月にサービスを終了することになります。
 
  2017年3月2日