テープレコーダーについて
  1. ある商品を作りたい。そう決めたらすべてをゼロから創り上げていく。
    一号機G型では、テープ&メカを創り、市場開発を行った。
    G型(government)→ H型(Home)→ P型(Portable)
  2. 技術開発の時に重視するのは“素性”の良し悪し。
    たとえその時点では、コストアップになるとか、部品を作るのが大変だということあがっても、素性が良ければ、将来的を展望し、より良いと思う方向に突っ走ることが大切。
  3. TR-55:発売トランジスタラジオ(1955年発売)
    SA-2A(ベビーコーダー):オールトランジスタ・単三電池駆動・フィルタ回路・2個のリールを2段重ね
  4. すべての商品はノンコンから始まる。
    ビデオの例: 最初は高くても使う価値があると、企業が使い始める。
  5. ソニーが独占的に持っていた特許「交流バイアス法」が切れる時期を迎えた危機感
     →新しいことへのチャレンジ。 半歩だけ先んじていれば競争相手は怖くない。
    競争相手と思うのではなく、一緒にマーケットを広げてくれる同業者と思えばよい。(秋葉原・横浜の中華街等の例)
  6. TC-777(スリーセブン)(1961年発売):  ノンコンからコンスーマに行く橋渡し
    3モーター・3ヘッド・オールシリコントランジスタ・大出力パワーアンプ
  7. フールプルーフでなければいけない。(第2製造部 大賀技術部長コンセプト)
    ”フールプルーフ”“誰にでも”と言うフレーズには、身体的にハンデがある人も、という意味が込められている。
  8. “リトラクティブピンチローラー”及び“ソニオマチック”が、コンスーマーにテープレコーダーを定着させる最大のきっかけになった。
    ビルトインマイクは、エレクトレットマイクの開発があって実現した。
  9. 新しい材料が出た時は、よくチックして、いかに商品にうまく生かせるか、常に目を配っていないといけない。
  10. 自分が何としてもこれを作り上げるんだ、と自分を追い込んでしまう。自分を自分が、認めるかという、面子の問題なんです。
  11. 任せるということは、周りの人または上司が責任をとってやるということ。後で責任転嫁されるなら無難な道をえらぶ。
  12. ソニーに入社して
    1. 世界の超一流の機械が備えられていた!
    2. 入社した日に、自分の名入りのノギスが机の上に置かれていた!
  13. フィリップスからソニー、松下 コンパクトカセットの提案
    TC-100(1966年発売): 松下に負けるな・ソニーらしい商品
    コンパクトカセットの採用は、あらゆる機構部品で従来のものが使えなくなり、→自分たちで開発。
    駆動の伝達は従来はゴムを使用していたが、エンジニアリングプラスチック歯車(ギア)を採用。
  14. 世の中に出てくるあらゆる新しいもの、いいものを如何に利用して、いいものを作っていくか常に考える。
  15. 一つのモデルが出て、10年間は揺籃期、次の10年が青年期、後の10年が衰退期。良い製品が出ると必ずこうなる。
  16. 小型化により、パーソナルユースが実現し、大量生産されることで、製造単価が限りなく材料費に近づき、安く作れるようになった。
    更に従来考えられなかった複合商品が誕生することになった。
  17. お客さまの心の中に、モヤモヤした、あれでもないこれでもない、と言うものがある。そこに「これでしょ」というものを出せば「そうだこれなんだよソニーさん」と、お客さまは感謝どころか感激までしてくれる。
    作る方に、既存商品では飽き足りない心のモヤモヤガなければ駄目なんですよ。モヤモヤといわれても身に覚えが無い人には、お客さんのモヤモヤを解消するものなんか作れません。
  18. TC-1100(カッパブックサイズ)(1975年発売):
    薄ければ薄いほどいいというものではない。小さければ小さいほどいいというものでもない。バランスが大切。いい物に触れ・持つこと・使うことの喜びを感じさせる。
    いいものとは、どこかでだれかが、こだわって作っている。自分の手にしっくりなじんで違和感がなくなるまであらゆる面をチックした、キーのロック感、EJECT感・・・・・
  19. デジタル化・IC化で個人技が出し難い時代。いかに細かいところにこだわって魂をいれるかが大切になってくるのでは?
    フールプルーフの精神・原点に戻ることも・・・。
 2016年5月22日




トランジスタラジオ について
  1. テープレコーダーと録音用テープの開発がある程度軌道に乗った。高学歴社員にどんな仕事をしてもらうか大きな問題だった。
    トランジスタは容易すぎず不可能ではない、適度に難しい仕事。充実感を持って取り組む、トランジスタはそうした条件にかなっていると思われた。
  2. . トランジスタのテクノロジーに関する専門家はまだいない。自分たちが一番乗りになれないことはないはず。
    歩留まりの悪いものほどやる価値がある。
  3. いつでも・どこでも思いのまま聞けるラジオを作る: 社運を賭けてもやる価値がある。
  4. これが出来たからこれをやろう、その次はこれにしよう、という積み重ね方式では到底できない。
    目標: いきなり、目的はトランジスタラジオだ、何とかやる気になれば出来るんだ。
  5. 世界初のトランジスタラジオ(1954年末)は、リージェンシー社に先をこされた。
    世界で初めてでないものはやるべきでない。
    方針を変えてワイシャツのポケットに入るような超小型トランジスタラジオをやることに決めた。トランジスタだけでなく全ての部品を一つ一つ開拓していくことになった。
  6. トランジスタの製造特許を得てから一年半で、日本初のトランジスタラジオTR-55(昭和55年8月)を完成させた。
  7. インベンションよりイノベーション。
  8. 普通の人には考えつかない潜在的な需要を掘り起こすことが一番重要。
  9. TFM-110(1965年): 思い切った広告投資をする価値のある商品を作ること。そして、プランナーは、商品企画時に広告原稿まで考えねばいけない。
  10. 第一の危機: 松下のワールドボーイ発売とコストダウン
  11. 本質的な変化を: 持っているだけで喜びを感じ、学校にいても気になるラジオ → スカイセンサーICF-5900(ライカM3感覚・BCL・短波)(1975年)
    早い時点から宣伝部に参加してもらってBCLという言葉が出来て、キャンペーン「海外の日本語放送を聞きましょう」BCL教育を全国展開。
  12. ICF-500(1975年10月): 10khz直読(プロ仕様)、待ち受け受信。
  13. ICF-2001(1980年11月)(デジタル10キー): 企画のニーズを伝え、設計者が自分のアイディアを入れ具体化.。
  14. 後継という考え方を持たず、全部チャラにして考え直す。
  15. 円高不況の深刻化・NIESの追い上げ→ ワンチップICの開発(3年間): 小型化薄型化を極める。省電力。大型投資をせずに生産性改善・部品点数の削減・設計期間の短縮を実現。
  16. ワンチップICの外販→ 量産によるコストダウン&シェア拡大(450円/チップ→70円/チップ)→ 他社のワンチップIC参入をあきらめさせた。
  17. 「一家に10台」:  商品コンセプトをクリアーに → 「株ラジオ」「バスルームラジオ」「山ラジオ」「FEN(1局)ラジオ・・・・← ワンチップICにより多品種・少量に対応可能。
2016年5月16日




トリニトロンカラーテレビ について
 
  1. 目標:「食事をしながら、家族で見られる明るいカラーテレビ」をつくる(目標)。カラーTVは薄暗くした部屋で見るものだった。
  2. クロマトロンの反省:「人のまね」をしたのがいけなかった。
  3. .ポルタカラーは、インライン3電子銃
    1電子銃3ビームをトライ、予想外にきれいなスポット。「スジがいい!」(井深の直感)
  4. シャドウマスクの作業性の良さと、クロマトロンの画質・明るさが出せる方式を考案したい(技術者魂)
  5. 最初のトリニトロンは13インチ: パワートランジスタ、アパチャグリル等の技術見通し 及び 商品企画(値頃感とトリニトロンの訴求)。
  6. 1台出来れは、1000台だってできる。
    15か月の計画は、10ヶ月短縮し5ヶ月でやれ。10ヶ月は無理してやるが、5ヶ月は無理しても出来ない。
    発想の転換をして可能性の領域を広げる(井深)
  7. 「トリニトロン開発プロジェクト以来、私はプライオリティーという言葉を一番大切にしている。 優秀な技術者の優先動員。(井深)
  8. M計画(マンハッタン計画): パラに進めその中から最善の方法をピックアップ。
    マキシムゲインを追いながら、マキシムリスクに対する予防処置(前もって把握し対応)。
    実験計画法の採用により、試作ステップをスキップ。
    開発をやった人が製造まで担当、短時間で商品化。
  9. トリニトロンカラーテレビは、他社カラーテレビ開発を刺激(インライン電子銃、スロットマスク、フラットスクエアー、・・・)。
  10. サイテーション(トリニトロン発売10年 1977年): 大賀社長がトータルプロデュース(コンセプト・デザイン・広告・ネーミング・販売)し、関係者が一丸となり取り組む。
  11. 最高のものをつくる: プロフィールプロ(1986年)
  12. トリニトロンしか出来ない理想を追求: BVM・GDM・CAD/CAM・HDTV・DDM
  13. 1980~1982年: 激戦のメジャーマーケット(14型・低価格・利益でない)の競争から逃げたため、 大型のシェア低下を誘発(カッコイイことだけやることに対する反発)。
  14. M-10プロジェクト: 14型世界共通コストダウンモデルだが、ソニーらしさが犠牲?(1983年)
 2016年5月17日



井深大 語録
  1. 今日我々が使っているものの発明は、すでに特許権が期限切れ、100年も前に学者が言い出したようなことを思い出し、利用して、どのようにしたら世の中の人が便利に使ってくれるだろうか、ということを考えて生み出されている。
  2. 発明というのはタネであり、一つのきっかけです。タネがいくらたくさん生まれても、それだけでは、日本の産業とか技術はレベルアップしない。
  3. エジソンの頃と違って、新発明が次から次へと飛び出す時代ではない。だから原理そのものから作るインベンションよりも、その商品性あるいは製造法を、更に磨きをかけるイノベーションが重要です。
  4. タネである発明をする、あるいは探し出すことが大切ですが、より以上に、その発明をどのように育てるかが大切です。
  5. コストダウンは、非常に大きなイノベーションです。“値段の革命は大きな技術革新であるということをもう少し認識して欲しい。
  6. 必要性だけに目を奪われていたら、果たしてポケットラジオは生まれたか?ラジオは家で聞くのが当たり前で、充分だった。
    必要性は或る程度満足されているのだから、革新を促す動機とはなり難い。私は、実はたわいのない夢を大切にすることから革新が生まれると思っている。
  7. 実際のジョブを通じての経験は、非常に大きな教育になる。
    手作りでやれば、その性質がよくわかる。それからいろんなことを覚えて、その次にどうしたらよいかとという智恵が、どんどん湧いてくる。
  8. モノは、止まらないで変わっていくと考えると意識革命が起きる。
  9. 世の中に合わせるのではなく、マーケットは我々が積極的にこしらえていくのだ。
  10. 今日・明日をどうするかということも大切だが、ニューパラダイムの意味をもっと大きく考えて欲しい。お客さまに満足していただく商品をこしらえることは、人間の心の問題であり、モノと心が表裏一体であるという自然の姿を考慮に入れることが、近代科学のパラダイムを打ち破る一番のキーだと思う。こういったパラダイムシフト、つまり人間の心を満足させることを考えないと、21世紀には通用しなくなることを覚えておいて欲しい。
 2016年5月17日




盛田昭夫 語録
  1. サイエンス・エンジニアリング・テクノロジーといった分野の場合、じっと考えていても創造力というのは出てこない。一つのターゲット・目標を設定し、そこに向かっていくことによって、クリエイティビティ-が出てくる。目標達成のためにどうしたらいいか、ということで、技術開発していく。
    トップの仕事の非常に大事な使命は、新製品の目標設定である。
  2. 新製品の効用をわかってもらうのがマーケッティングで、これはコミュニケーションの一つである。
    メーカー・ディーラー・顧客へのコミュニケーションが必要である。
  3. 一般の人がまだわからないものを創り出して、利用の方法を理解してもらう努力をし、買い手がその価値を理解した時に、ビジネスが成立する。
  4. コンビンシングパワーを持つためには、「相手に我々の考えを納得させるというのは不可能なことだ」と覚悟し、現実を認めなければならない。
    彼らの考え方に沿った物の言い方をすることが大切だと思う。
  5. 技術・製品・デザイン・・・・そういうものを統括したのがソニーのイメージである。
  6. 商品に信用をつけるためには、自分のブランドで売り、ソニーは品質が良いという評判を作り、世の中にいいイメージを与え続けなくてはならない。
  7. どんな組織をつくっても、組織が仕事をするのではありません。人が行うのです。
  8. ソニーに入ったことを後悔するようなことがあったら、すぐ辞めるべきです。
    見極めた上で間違でないなら、自分がソニーを背負っていく覚悟で思い切り仕事をしてほしい。
  9. 課題を執念深く追求して、その結果駄目でもともと、上手くゆけば儲けものと言える位の強い精神を持て。
  10. チャンスは誰にでもたくさん巡ってくる。本当の勝負は、チャンスを掴む、掴まないかである。チャンスを掴むための投資は思い切ってしなければならない。
  11. 人間の一番プリミティブな欲望はファッションである。プリミティブなところにインセンティブを与えないと需要は起きてこない。
  12. 調査してモノを作っていたら、この世界で全く遅れをとってしまう。一年先十年先を考えて、その時に受け入れられるようなマーケットを開発しなければならない。
  13. 今まで市場に存在しなかった新しい製品を売るためには、単にモノを売るのではなく、新しいコンセプトを売るという姿勢が必要である。
  14. 不特定多数ではなく、特定多数のビジネスを目標とする。
  15. 三つのクリエイティビティ-:
    第一は発明・発見・技術革新、第二はプロダクトプランニングとプロダクション、第三はマーケットのクリエイティビティ-。
  16. プロになるということは、自分に与えられた責任の範囲内において、最高のエキスパートになるということです。「自分の担当するところは、自分より知識を持った人は居ない」と言えるだけの勉強をしてほしい。
  17. 新しい思想とは、現状を是認して、そこからどう進むかという発想ではなく、本来どうあるべきかを考えていくこと。
    そうすると現状否定が必要になる場合があるが、革新という美名のもとに、大事な本質を見失うことがないようにしたい。
  18. 国によって嗜好が違う。それぞれの国に合った製品を供給することが大事だから、工場を現地につくる意味がある。
  19. よその国に行ったら、その国の中で、その国に貢献するのが使命である。正しいビヘイビアを通じて利益をあげなくてはならない。
  20. マネジメントというものは、デシジョンが間違っていてもすぐに判らないが、結果が出た時にはすでにとりかえしがつかない。この危険を考えよ。
  21. どんなマネジメントでも誤りを犯すことはある。その時は堂々と誤りを処理する勇気を持て。
  22. マネジメントの役目は、部下が決めたことにデシジョンを下し、責任を取ってやることだ。デシジョンをする権利と同時に、責任をとる義務がある。
 2016年5月18日




大賀典雄 語録
  1. 約割の「先進的な思考を持っている人やオピニオンリーダー」が支援して下さるようなものをつくることによってコーポレートイメージが出てくる。
  2. 10%UPのプレミアムプライス・高くても売れる商品を作れ。
  3. プロダクトプランニングは、はじめから広告・マーケッティングを意識してやれ。
  4. リサーチや営業の言うことは、それを鵜呑みにすれば一日遅れる。なぜなら今の目でしか言っていないから。
    「今」の状況だけでプロダクトプランニングしたら、絶対に次の世代まで生きてゆけない。
  5. 「SONY」の四文字こそ最大の財産である。
  6. 商品には「揺籃期」「成長期」「成熟期」の三つのフェイズがある。プロダクトのフィロソフィーは、期によって分けて考えねばならない。
  7. お客さまが「買ってよかった」「使ってよかった」「使い終わってよかった」と思うような商品を開発してほしい。
  8. 製販一体となって、お客様の「心の琴線に触れる商品」の開発を行うこと。
  9. いくら能力がある人でも、人格や人徳によって、尊敬される人もいれば、尊敬されない人もいる。
    会社にも“社徳”とか“社格”というものがあってしかるべきだと思う。
    これからも、ソニーの“格”“徳”というものを失ってはならない。
  10. ソニーは井深・盛田という経営者によって率いられてきたベンチャー企業だった。企業規模が大きくなった中で、ベンチャー精神をいかに作るかが大事である。
 2016年5月18日