ソニー電子出向
1年未満の短い期間でしたが多くの貴重な経験を積みました。

若草会の前・会長から「鈴木さんの歓迎会ではない」と言われました!
 前任の宇都宮さんの送別会と、新任の私の歓迎会が行われました。親睦団体・若草会(全社員が会員)の前会長・浜出さんが一升瓶を持って私の前に座り、「宇都宮さんはソニー電子に貢献をしてくれたので、感謝の気持ちを伝えてきた。「これから、ソニー電子に貢献してくれるか否か不明な鈴木さんを、歓迎する気持ちにはなれない」と言われました! 本社から役員として送り込まれた者に対する、プロパー社員の素直な気持ちを言ってくれたことは有難かったです。

☆月次締め日は、トリニトロンカレーテレビ完成品在庫ゼロ!
 私が赴任する前から、浜出さんが先頭に立って完成品は全て出荷手続きを済ませ(売り上げ計上)、配送トラックに積み込むために動員を掛けるのが定例となっていました。浜出さんが会社を思っての行動の一つだと思いました。

ソニー電子スタッフと取り組んだプロジェクト:
①組立ラインの限界生産数量に挑戦
 現有設備で、13型トリニトロンカラーテレビ組み立てラインの生産台数の限界に挑戦しました。生産能力の限界を決めている要因をリストアップし、解決策を検討し、日産生産台数目標を決定しました。残念ながら具体的な数字は忘れましたが、驚異的な数量でした!
 組立員は期間工の女性が主体でしたが趣旨を説明し協力を要請、関係者一丸となって取組み、見事目標を達成しました。
飲み屋の2階を借り切り、プロジェクトに参加した全員で「ご苦労さん会」(費用は会社持ち)を行いました。期間工の女性も含め全員が、一体感・達成感を味わい、思い切り楽しんでいた姿は忘れられません。

②M-16プロジェクト(一貫生産ライン・16分でセット完成)
 13型トリニトロンカラーテレビを、基板マウントからスタートし16分で完成する一貫生産ライン作りにチャレンジ、皆で知恵を出し合い実現しました。初めての試みとして、手マウントした基板を半田付けする半田ディップ槽を組立ライン内に配置しました。

③ストレート歩留まり向上
 カラーテレビ生産ラインで、工程の途中で「修理・手直し」せずに完成させるストレート通過率(歩留まり)向上を推進しました。一般向けのカラーテレビは地道な改善活動で少しづつ着実に成果が出ましたが、業務用トリニトロンモニター製造ラインは、ストレート通過率が悪く、なかなか改善効果が出ませんでした。全ての問題を把握・整理し改善策を検討し、生産を止めて工程改善をする様、担当の村松さんにアドバイスしましたが、ラインを止めずに少しづつ改善したいと強く主張されました。生産ラインを止めない事が、ライン担当責任者にとっては最も重要な責務であるとの気持ちを変えることは出来ませんでした。

 その他、ソニー電子の皆さんといろいろなチャレンジを行いました。送別会の席では、浜出さんとも美味しい酒を酌み交わすことが出来ました。現在も年賀状の交換を行っています。
2016年9月26日




テレビセットのエージングルーム内発火事故への対応
 食堂で昼食をすませ自席に戻る途中、「エージングルームで火災発生・消火中です」との緊急連絡が入りました。エージングルームに駆けつけると、既に消火済みでしたが、エージングルーム内は粉末消火剤で真っ白でした! 幸い建造物・構造物への類焼は無く、当該セットのみが半焼の状況でした。
先ず、保険会社へ連絡し了解が出るまで現場保存を指示、丸岡課長を中心に4名で出火原因調査チームを立ち上げました。現場の状況から消防署への連絡は不要と判断しました。
 出火原因は、セットの異常動作でフューズ抵抗が焼断し、接触していた工程管理用エフ(紙)に類焼したことと判明、即刻対応策を実施しました。エージング工程内でたまたま起こった事故であり、完成品セットでは発生しないことが確認できました。
 エージングルームの復旧と、エージングルーム内のテレビセットの取り扱いが課題となりました。幸い、エージングルームの構造物への類焼はなく、清掃作業を含め早期の復旧ができました。
 エージングルーム内にあった半完成セットは、多かれ少なかれ、全セットが粉末消火剤を浴びた状態でした。エアーで飛ばし、拭けばキレイになるから製品として出荷できるとの提案がありましたが、私は全数廃棄処分とする決断しました。
 会社の上司、本社から何のアドバイス、コメントもありませんでした。

この事故に対し、私の行動・判断は適切だったのか? 今でも思い出すことがあります。
2016年9月26日