ビデオテープレコーダー(VTR)について
  1. 放送局用のビデオを作っても売れるのは数百台、価格は1500~2000万円。
  2. ビデオをやるなら値段の安い家庭用の機械を作らなければダメだ。
    最初は工業用でもいいが、最終ターゲットはあくまで家庭用、2. 5万円の家庭用ビデオを作れ(井深)
  3. CV-2000 家庭用VTR 1965年発売 198,000円: テープ幅1/2インチ オープンリール、ワンモーター・回転ヘッド方式、
  4. VP-1100 U-Matic 1971年発売:  テープ幅 3/4インチ(カセット)、記録密度アップ(クロムテープ)、カラー化。
  5. オープンリール、CV統一型、Uマチックとやってきたけど、家庭用としては全部失敗。
    これが最後だ、ベータマックスで家庭用を実現・成功させたい。
  6. SL-6300 ベータ―マックス(β-Max) 1975年発売:. テープ幅1/2インチ、小型カセット(文庫本・ソニー手帳サイズ)、記録密度×2(アジマス記録)、リール・回転ヘッド小型化。
  7. 商品の設計はまず自分でいろいろやってみることが大切。それによってノウハウを蓄積し、素性の良いものを見抜くことができる(木原)。
  8. 木原のエンジニアリングを咀嚼して若い人に伝え、一つの目標をもってやらせるのがエンジニアリングマネジメントだった。
  9. 「もの」は作っていけば、ラーニングカーブでコストは下がる。
  10. ベータの歴史は、ビデオ文化の開拓史。
  11. . ビデオは「タイムシフト」(盛田のコンセプト)。 「タイムシフト」コンセプトの浸透が、米国でのベータマックスの初期の仕事。
    「MCA」訴訟…タイムシフト・コンセプトが最高裁で認められ勝訴、ビデオソフトのマーケットが可能となった。
    誰も知らない・分からない商品を売るには、売上高に関係なく広告に費用をかけないと、認知度を上げることが出来ない。
  12. ベータマックスにおける技術開発は、VHSと世界初を争うために行われてきた。
    自分達がフォーマットフォルダ-だ、ということがやりがい。個人個人の役割分担、目標をはっきりさせた。
    俺は世界一の技術者との意識。. 新しいマーケットを作るという点で、自分たちがルールだったから怖いものは無かった。
    アマチュアだからこそできることもある(井深)。
  13. 1モデル間違ったものをだしても会社は潰れない。1モデルをあるタイミングで出さなかったことで、会社は潰れるリスクがある(大賀)。
 2016年7月25日



8mmビデオについて
  1. CCDの開発には13年の歳月が費やされている。CCDは単なるイメージセンサーではない。電子フィルムに置き換える真に革新的な商品だ。
    研究開発にそれ相応の資金をつぎ込むのはリーズナブルだ。(岩間)
    最初の商品用として、25万画素を目標。
    CCDは小さくなっても性能は同等かそれ以上: 2/3インチ→1/2インチ→1/3インチ
  2. 8mmビデオの開発がスタートしたのは、ベータの発売後2年目の1977年。
    どうせやるならいっそのこと、10倍位記録密度の高いものを作りなさい。(井深)
  3. CCDカメラを使って、カメラ一体型のVTRを作って発表せよ。(岩間)→  6ヶ月でプロトをつくり1980年発表(CCD-V8)
  4. 各社とも「フォーマット統一の意思(ユーザーベネフィット)、カムコーダ市場への期待」→ 8mmビデオ懇談会発足。
  5. 新しいフォーマットで商品として出すには、その中に入っている技術はそれまでの技術に較べて、20db先行していなければならない。
    テープは、酸化鉄からメタルへ(Sカーブ理論)
    ウォークマンのカセットのTより薄くしよう(目標):Qメカ→ 小径ドラム製造のための設備投資決断
  6. 8mmは1/2インチを置き換えるか?
    市場はまだ代替フォーマットを受け入れる用意が出来ていない→ 魅力ある新商品を開発し、8mmのマーケットをクリエイトする方向へ転換。
    CCD-M8(1980年発売)(録画専用・簡単操作)は失敗: 時期尚早 → 小型&高性能の流れ
  7. 子育て需要の次は「旅コンセプト」 → TR-55 1989年発売:88プロジェクト(手のひらに乗るビデオ)
    小さくても機能を割り切らず、きちんと使える高性能なものにしたい:マイクの内蔵化・レンズの小型化・低消費電力化・操作性の良いデザイン
  8. 今までの画質に不満→ アングラプロジェクトで3板式(3CCD)開発。
  9. 蒸着テープ→ 8mmフォーマットでかけてもそれ程画質が向上しない→ 蒸着テープを生かすにはHi8。
  10. 当初は解像度を追ったがこれからは「色とノイズ」(画質)。
    画質は個人のこだわりに依存← コンセンサスがとりにくい。
    放送局用は、費用も消費電力もかけられるが、コンシューマ用は条件が厳しい。その中で「画質・大きさ・使い勝手…」などあらゆることが要求される。
  11. 最初未熟な技術でも、どんどん取り入れることが大切。使ううちに反省点が見えてきて改善され、進歩していく(オートフォーカス・オートホワイトバランス ・・・)
  12. 誰でもワンボタンで放送局並みの映像を撮らせたい→ いま再び“ボタンの少ないシンプルなカメラ”の方向へ開発が進んでいる。
    不満の多かったバッテリー → リチウムイオン二次電池の採用
    アメリカ人の接続嫌い → イージーコネクション
  13. いまのままでは市場がシュリンクしてしまう。もっと簡単なモデルを早く作りなさい(大賀)→ CCD- SC55(1996年発売):LCD付き(3吋を無理して搭載)
    LCD付なら撮っている間も、後で見る楽しみを先行できる=楽しんで撮ることができる。
  14. 「使いやすさ=簡単・シンプル」ではない。高度なもの複雑なものを使いやすくすることが大切。
  15. 安物から逃げてはいけない(トリニトロン、ベータの教訓)。
    D-130 ← いかに安くつくるか → カメラとVTRの一枚基板化 → 両方のセクションが一緒に設計 → 標準ドラム採用
  16. 海外のユーザーは、何よりもコストパフォーマンスを追及する。
  17. * 素人の大切さ: メタルテープの開発(玄人は、出来ない理由もすぐ解ってしまう)
    * 先見の明: Sカーブ理論(陳腐化する前にタイミングを計って新技術に移行する)
    * 背水の陣: 撮像管をやめ「CCD:25万画素」をやれ!
    * 経営者の勘: 上に立つ人は常にリスクを背負いながら物事を決めなければならない
    * 若い人には、「最初からダメだと言わないで、とにかくやってみなさい」
    * 初めは旨く行かなくても、とにかく繰り返し挑戦することだ。
    * サイエンス的に考えると出来ないものは出来ない。エンジニアリング的に考えるとやる気さえあれば出来る。
    * 過去の成功は一度否定する: 君もこうしなさいでは、弟子は師匠を超えられない。
    * 新しいアイディアに寛大であれ。
    * 失敗を恐れない  上司は失敗に寛大であれ。
 2016年6月2日





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