デンバーの新聞記者ジャック・マカヴォイは、殺人課の刑事である兄がエドガー・アラン・ポーの詩の一節を遺言として残し、自殺したことを知らされる。
残虐な殺人事件の未解決を苦したという動機に納得がいかないジャックは、自ら事件を調べはじめ、ついには刑事の自殺にみせかけた殺人事件が全米中に発生していることを突き止める。
ジャックはFBIとともに連続殺人犯「ザ・ポエット」を追う。
邦題「ザ・ポエット」。
ハリー・ボッシュ刑事シリーズでおなじみ、コナリーの初めてのスタンド・アローン。
プロット、ストーリー展開、そしてラストのどんでん返しまで申し分のない出来で、
一気読みさせられました。三連休を挟んだせいもあるけれど、読書速度が60P/日を超えたのは久しぶり。
オススメ度は、"★★★★★"。
L.A.の私立探偵エルヴィス・コールは、大企業の社長から盗まれた「葉隠れの書」を探し出す依頼を受ける。捜査線上にヤクザの存在が浮かび上がり、さらには社長の娘の誘拐脅迫が。相棒パイクともに身辺警護にも乗り出すが、まんまと誘拐されてしまう・・・。
邦題「追いつめられた天使」。エルヴィス・コール・シリーズ第2作。
クレイスは日本が好きなようで、前作のタイトルは芭蕉の句から、そして本作では「葉隠れの書」やらヤクザやらが登場する。
エルヴィスのユーモアのセンス(へらず口?)は相変わらずで読みながらもニヤリとさせられる。
しかし前作とほとんど同様に、パイクとともに敵の本拠に乗り込み派手な銃撃戦をやらかすパターンのラストはいかがなものか。
オススメ度は、"★★★"。
1952年、アーカンソー州の田舎町で綿農家を営むチャンドラー家では収穫の時を迎えようとしていた。
収穫の人手として、出稼ぎにやってきた山岳地帯からの家族と10人のメキシコ人たちを雇ったチャンドラー家。
少年ルークの忘れられない長い秋が始まった・・・。
グリシャムが初めて書いたリーガル・サスペンス以外の小説、しかも自伝的要素が強いということで興味津々で読み始めた。
で、出来はまずまずというところか。いつものようなハラハラドキドキ、という場面は少ないが、南部の綿農場の雰囲気を
味わいつつ、少年ルークに同化して読むことが出来た。
しばらく十八番のリーガル・サスペンスが低調だったグリシャムも、これで充電できたはず。新作「The Summons」が
楽しみになってきた。
オススメ度は、"★★★★"。
ハリウッド・ボウルの崖の上に置き去りにされた車のトランクから男の
死体がみつかった。「トランク・ミュージック」と呼ばれ、マフィアに
よく使われる殺しの手口だ。殺人課刑事ハリー・ボッシュは、男がマフィアのマネー・ロンダ
リングに関係していた事実を突き止める。裏付け捜査のために、ラスヴェガス
に飛んだハリーは、そこで思いがけない人物と再会する・・・。
ハリー・ボッシュ刑事シリーズ第5作。邦題「トランク・ミュージック」。
確かに話としては面白いが、ハリーにいつのも凄み/深みが感じられない。
これは前作で心の底にひっかかり続けていた母親の殺人事件が解決したためと
同時に、待ち望んでいた殺人課への復帰を果たした高揚感や、初めて上司にも恵まれたことも
絡んでいるだろう。これは前作を読み終わっていたときからある程度覚悟していた。
しかし、本作のラストに起こる出来事は・・・ある意味衝撃だった。
これではますますハリーの凄みがなくなり、ただの刑事ミステリに成り下がっちゃうんじゃないかと気がかりだ。
オススメ度は、"★★★★"。
大富豪の娘が失踪した。そして彼女の行方を調査していた私立探偵も後を追うよう
に消息を絶った。
ボストンの私立探偵パトリック・ケンジーとアンジェラ・ジェナーロは、大富豪
から娘の捜索を依頼される。心に負った傷が癒えぬまま休業していた二人
だったが、妻を事故で失い自らもガンに侵され悲しみに打ちひしがれた大富豪に
心を動かされ、依頼を受ける。しかし、捜査は意外な方向に展開する!!
邦題「穢(けが)れしものに祝福を」。シリーズ第3作。
本作のテーマは「再生」なのだろう。前作で幼なじみを失い傷心の二人だったが、彼らの心が癒やされ、
長年くすぶっていた二人の関係がついに本来あるべき(そして二人にとっては神聖な(sacred))形を
とるためのエピソードと考えてよいだろう。次作からは、二人とも生き生きと暴れ回ってくれるに違いない。
オススメ度は、"★★★★"。