★Book Review 20 (96〜)


『Pop Goes the Weasel』 James Patterson 461pages (1999)

ワシントンDC殺人課刑事アレックス・クロスはサウス・イースト地区に頻発する 100件以上もの殺人事件が同一犯であると疑いを持ち、上司の命令に背きつつ水面下 での捜査を続けていた。しかし、捜査が軌道に乗りかけた矢先、休暇先のバミューダ でアレックスの婚約者が行方をたつ。そして「手を引け」との脅迫電話が・・・。 果たして彼女は無事なのか?

アレックス・クロス・シリーズ第5作。
このシリーズの例に漏れず、読みやすくストーリー展開も速い。 常にベストセラーリストの上位に顔を出す理由はそこにあるのだろう。 だが、私にとっては食いたらないのも事実だ。
原因は主人公アレックス・クロスのあまりにも完璧なキャラクターのため 深みを損ねているせいかもしれない。有能な刑事であり、心理学者。ハンサムで鍛えられた肉体を持つ。 休日にはボランティア活動に余念がなく、子供達への愛情も厚い。 また美しく才能に優れた子供達、いつも心の支えとなる祖母、そして才色兼備 の恋人と、彼を取り巻く人間達もあまりにも出来過ぎている。
未読のものがあと2冊残っているが、そろそろこのシリーズはもういいかな・・・、 と思い始めてしまった。
オススメ度は、"★★★"。

2002/2/23読了


『Blood Work』 Michael Connelly 498pages (1998)

心臓移植の手術を受け療養中だった元FBI捜査官マッケイレブの元を一人の女性が訪れた。姉を殺した犯人を探し出して欲しいと言う。 断ったマッケイレブに彼女は驚愕の事実を告げる。移植を受けた心臓は彼女の姉のものだったのだ。 マッケイレブは医者の反対を押し切って調べ始めるが、意外な事実が次々と明らかに・・・。

邦題「わが心臓の痛み」。
やはりコナリーは凄いとしかいいようがないだろう。 主人公が長年対峙してきた「悪(殺人)」によって生を得るという皮肉な運命によって捜査を始めることになる導入部も新機軸だし、 捜査を進めるうちにどんどん事件の見え方が変わってくる展開は、ミステリとしての完成度が高い。
この作品は、クリント・イーストウッド監督/主演で映画化が進行中とか。また、マッケイレブは「Darkness MORE Than Night」で ハリー・ボッシュと共演するそうで、再開が楽しみである。
オススメ度は、"★★★★★"。

2002/3/1読了


『The Hobbit』 J.R.R. Tolkein 306pages (1954)

ホビット庄で平和に暮らすビルボ・バギンズの元を、魔法使いガンダルフと13人のドワーフ達が訪れた。はなれ山の竜退治を手伝って欲しいというのだ。 ビルボの冒険がはじまった!

邦題「ホビットの冒険」。この物語で「一つの指輪」をビルボが手に入れることになるという「指輪物語」の約50年前のお話。 児童書ということもあって。とても楽しく読むことが出来た。あまりの長さに指輪物語を挫折してしまった方も、こちらを読んだから入ればとっつきやすいはず。 また指輪物語を先に読んでしまった方(または映画をみた方)も、いろいろ発見があって楽しいかもしれない。
オススメ度は、"★★★★"。

2002/3/9読了


『Seven Up』 Janet Evanovich 384pages (2001)

あたしの名前はステファニー・プラム。職業はバウンティー・ハンター。要するに裁判に現れなかった保釈中の犯罪者を捕まえて、保釈金の10%をもらう商売。
今回わたしが追いかけているのは、80才以上の老人ながら元マフィアの 。老いぼれのくせに捕まえられないあたしって、やっぱりヘボ?それに、なんだか血眼であるものを探しているようなんだけど、それって一体???

ステファニー・プラム・シリーズ第7作。
マンガ感覚でお気楽に読めるラブコメ・ドタバタ小説。しかし7作目ともなると少々マンネリ。新しいキャラも今までほどインパクトもなく、ストーリー展開もなんとなく先が読めてしまって・・・。 今一度の急展開を期待したい。
厳しいようだけど、オススメ度は、"★★★"。

2002/3/17読了


『Angels Flight』 Michael Connelly 454pages (1999)


L.A.にある世界一短いケーブルカー「Angels Flight」。その中で殺人事件が発生した。被害者は警察を相手取り訴訟を起こすことを専門とする黒人弁護士。 ハリウッド殺人課刑事ハリー・ボッシュは、部下の二人が黒人であったことからこの事件を任される。 捜査のプライオリティーは、翌週から始まる予定だった裁判の被告・LA警察殺人課。暴動の匂いが立ち込める中、内部監査局・FBIとともにハリーは捜査を開始する・・・。

ハリー・ボッシュ刑事シリーズ第6作。邦題「堕天使は地獄へ飛ぶ 」(すごい邦題だが、意味はラストにわかる・・・)
前作で幸せになったハリー。らしくない、と書いたが、やはりコナリーもそう思った様で早速破局が訪れる・・・。
この作品では、人種差別と警察の関係が取り上げられている。数度の暴動や、O.J.シンプソン事件など、L.A.とは切り離せない問題に敢えて切り込みを入れ、 愛するL.A.での暴動を自らの手で描いたコナリーの勇気に拍手を送りたい。しかし、ラストだけはしっくりこなかった・・・。 オススメ度は、"★★★★"。

2002/4/2読了