俺の名はビンセント・ルビオ。L.A.の私立探偵。バジル中毒で借金だらけの俺だが、なんとか依頼を取り付けた。
保険金のかかったナイトクラブの火事の捜査だ。ところがその捜査が半年前の相棒の殺人(と俺は信じている)とつながる。手がかりを求め、N.Y.に飛んだのだが・・・。
邦訳「さらば、愛しき鉤爪」。
この探偵には大きな秘密がある。それは・・・・、恐竜と言うことだ。この本の世界では、恐竜は絶滅せず進化によって小さくなり、人間のスーツをかぶり人間に紛れて暮らしているのだ。
その数、全人口の5%。発掘されている化石も、偽物をこっそり彼らが埋めているらしいのだ。
まぁそういうものだと思えば読めないこともないが、あまりにも無理のある設定は気に入らない。
もちろん、ミステリとしても人間と恐竜の共存が大きなキー・ポイントになるので、設定が気に入らなかった私にはあまり面白いはずもなく・・・。
オススメ度は、"★★★"。
少女が誘拐された。ヤク中の母親が友人宅に遊びに行ったとき、鍵を閉めなかったのだ。手がかりの掴めない警察に業を煮やした叔父夫婦は、
私立探偵パトリックとアンジーに捜査を依頼する。あまり乗り気ではないパトリックだったが、アンジーの希望で捜査を始める。ところが二人がつかんだ情報はとんでもない展開へ・・・。
ボストンの私立探偵パトリック・ケンジー&アンジェラ・ジェナーロの活躍するシリーズ第4作。邦題「愛しき者はすべて去りゆく」。
ネタバレになるので詳しくかけないのが残念だが、二転三転するプロットの面白さとともに、
「法とは何か」、「虐待児童」などの読む人の心をえぐるテーマを扱ったこの作品は、間違いなくシリーズ最高傑作だろう。
オススメ度は、"★★★★★"。
大晦日の首都ワシントンD.C. 地下鉄構内で銃の乱射事件が起こる。市長の元に「2千万ドル払わなければ、深夜まで殺戮が続くだろう」と書かれた脅迫状が届く。
FBIは、元捜査官の筆跡鑑定士キンケイドに協力を仰ぎ、捜査を開始する。果たしてたった一枚の脅迫状から、犯人の手がかり、次なる標的を見出すことができるのか?
邦題「悪魔の涙」。ジェフェリー・ディーバーのスタンド・アローン。
この作品もいかにもディーバーらしく、証拠の解析から犯人を割り出し追い詰めていく過程が、読みやすい文章で綴られている。
もちろん、ハラハラドキドキのストーリー展開と相次ぐどんでん返しも健在で、一級のサスペンス小説に仕上がっている。リンカーン・ライムが少しだけゲスト出演するのもファンには嬉しいサービスだ。
オススメ度は、"★★"。
ナチの大虐殺(ホロコースト)で利益を上げた企業を排斥する法律を議会で審議中の
シカゴは、ユダヤ人や黒人集団のデモ活動により喧噪の最中だった。
そんな中、私立探偵V.I.ウォーショースキーの友人、ロティ・ハーシェルの元に
催眠治療により記憶を取り戻したという男が訪れる。ナチの手からイギリスに逃れた
という男は、ロティとユダヤ人の友人達に親戚ではないかとしつこく迫る。
彼の名乗る名前に激しく動揺をみせるロティ。ヴィクは彼女を助けようと、男の身元を
調べはじめる。果たして男の正体は?そしてロティの隠された過去とは?
女性私立探偵シリーズの先駆け、V.I.ウォーショースキー・シリーズ第10作。
今回はヴィクの友人でもあり良き助言者でもある、ユダヤ難民医師ロティの過去に
スポット・ライトが当たる。しかし、それと平行し進行するもう1つの事件が
あまりにもおそまつ。もっとロティの話しだけで構成した方が、よかったのでは
ないだろうか。
また、ヴィクをはじめ、登場人物の精神状態は最悪で、会話はとてもドゲがあり、
読んでいてとても疲れた・・・。
オススメ度は、"★★★★"。
スペリオル湖畔の小さな町パラダイス。父親の建てたログキャビンを観光客に
貸し、生活している元警官アレックス・マクナイトの元に1人の男が現れた。
3Aでキャッチャーをしていた頃にバッテリーを組んでいたその男ランディーは、
30数年前に恋に落ち10日で別れてしまった女性を探しだして欲しいという。
旧友の頼みを断りきれず、渋々捜査を始めたアレックス。過去と現在、真実と嘘の
狭間で見つけた真相とは?
心臓に銃弾を持つ男、アレックス・マクナイト・シリーズ第3作。
これまで通りの簡単で洗練された文章に、今回はユーモアも加わり非常に読みやすい。
風呂敷を拡げすぎないストーリー展開にも好感が持てる。個人的には、もう少し相棒
プルーデルに活躍の場を与えてやって欲しいのだが・・・。
オススメ度は、"★★★★"。