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虹の谷つうしん

2008年 4月〜6月



 6月27日
 見えざるピラミッド 上・下  作:ラルフ・イーザウ

 とてもおもしろかった。
 3重の宇宙という別々な3つの世界を、
 その結節点として生まれた少年(たち)の成長とともに描いている。
 少年たちが不思議な体験の共有を経ながら、3つの世界を
 つなぎとめようとする者を阻止する役割を自覚していく。
 その過程の冒険と、彼らに味方する人々が魅力的なところが
 とてもよかった。



 6月15日
 ねらわれた学園  作:眉村 卓

 すごく怖かったけど、すごくおもしろかった!
 「こんなこと絶対にない」って言い切れないところがリアルで怖い。
 あっというまに読んでしまった。
                             by(の)



 6月10日
 ねらわれた学園  作:眉村 卓

 超能力は別にして、“ありそうで怖い” というのが感想です。
 規則に従わない生徒を排除しようとする生徒会に対して反旗を
 ひるがえす主人公を、重々しい言葉で支持してくれる父親が、
 とてもありがたくて頼りになる存在に思えます。
 生徒の中にある無関心は、昔も今も変わりなくて、
 生徒会なんて、やりたい人がいればありがたいと思ってしまう。
 そんな気持ちに警鐘を鳴らすような物語でした。



 6月7日
 敵は海賊 猫たちの饗宴  作:神林 長平

 文句なしにおもしろかった!
 黒猫型異星人のアプロが、“異星人”とはいえやっぱり猫で、
 刑事という立場を考えずに無責任に行動するところがかわいい。
 シリアスなのだけどコメディ。コメディなのだけどシリアス。
 そのバランスが絶妙で、ぜひ続編も買いたい。
 作者さんはきっと猫が好きというだけでなく、
 猫をうらやましく思っているのではないかという気がします。



 6月4日
 銀河おさわがせアンドロイド  作:アスプリン & J.ヘック

 大金持ちのフール大尉が率いる宇宙軍のオメガ中隊の活躍を描く。
 人物が個性的でSFコメディとしておもしろいけれど、
 個人的には「マジカルランド」シリーズの方が好きかな。



 6月1日
 まぼろしのペンフレンド  作:眉村 卓

 わたしが小学生くらいの時に流行っていたと思うのだけれど、
 書かれたのはわたしが生まれた年でした。
 中学生の読者を対象に創られた作品ということで、
 平易な文章と自然な会話で、物語が非常に身近に感じられます。
 SF好きにはもちろんのこと、
 SF初心者にもSFのおもしろさを堪能できる一冊です。



 5月31日
 新説 弓張月  文:三田村 信行

 滝沢馬琴の『椿説 弓張月』を書き直した作品。
 源氏の嫡流である源 為朝が主人公の冒険と正義の物語。
 為朝は剛勇と徳を兼ね備えた人物だったようであるが、
 その妻の白縫(しらぬい)も、物語の中で大活躍をする。
 夫が捕らえられれば、奪還を決行し、
 夫が殺されたと思えば、敵討ちを決意して身を潜める。
 最後は海で嵐を沈めるために、人身御供として身を投げてしまうが、
 武士の妻というものは、簡単な覚悟ではすまないと心から思った。



 5月21日
 冒険がいっぱい  作:和田 誠

 おじいちゃんが子どものころのお話をしてくれるという設定で、
 戦中から戦後の子どもたちの生活の様子が語られている。
 ちょっとホラーというかオカルトというか、そんな話もあり、
 バラエティに富んだ楽しい作品集になっている。
 イラストはご本人ではなく、長新太さんが描かれていて、
 なんとなく、ぜいたくな気分になった。



 5月19日
 ゆめつげ  作:畠中 恵

 幕末を舞台に、夢占いができる青年 弓月を主人公にした物語。
 弓月がおっとりした性格なのは「しゃばけ」と似ているかも。
 しっかり者の弟がいつも側にいて助けてくれるのだけれど、
 なぜか目立たないように感じるのが不思議。
 夢にとらえられる恐怖と弱っていく体のマイナス要素を乗り越えて、
 誰かを助けたいと思うやさしさと強さが魅力の主人公だった。



 5月16日
 流星ワゴン  作:重松 清

 幸せだと信じていた家庭が崩壊し、希望を失った主人公が、
 5年前に交通事故で死亡した父子のワゴン車で不思議な旅をする。
 誰でも、日々の生活の中に選択肢は意外にたくさんあって、
 あとになってから後悔することも少なくないと思う。
 でも、間違えたと気づいたときに、
 それをどう修正するかという選択では正しいものを選びたい。
 失敗しても、やりなおす勇気を持ちたいと思った。



 5月9日
 火車  作:宮部 みゆき

 行方不明になった女性が、以前に借金で困っていたという
 部分を読んで、“借金だから「火の車」か!” などと
 つまらない連想をしていた。途中で違っていたことがわかって、
 やっぱりそんなに単純ではないよね・・・と、可笑しくなってしまった。
 読み進むうちに、女性を探す主人公の刑事さんの気持ちに
 自分も同調してきて、彼女の話をききたいと心から思った。
 読み応えがあって面白かったけれど、私は時代物の方が好きだな。



 4月29日
 あかんべえ 下  作:宮部 みゆき

 幽霊の謎が少しずつ解けて、その合い間におりんと周囲の人々に
 わだかまった謎もだんだんと整理されていく。
 作者はこの物語の中で、恐ろしいのは幽霊そのものではなく、
 成仏できずに残ってしまうほど強い恨みや憎しみ、悲しみだと
 わたしたちに伝えようとしていると思う。
 そして、そのような強い思念が、その場所に滞ってしまうと。
 残虐な亡者も登場するけれど、読んでいて怖くなくて、
 おりんの存在にさわやかささえ感じる作品だった。



 4月25日
 アーモンド入りチョコレートのワルツ  作:森 絵都

 ピアノ曲をモチーフにした短編3作。
 中学生を主人公にした、優しさの中に危うさをもった作品で、
 主人公がどんな結論に行き着くのかハラハラした。
 残念なことに、私はどの曲もわからなくて
 もったいない気分になってしまった。
 こんどCDでも借りてこようと思う。



 4月23日
 時の旅人  作:アリソン・アトリー

 はじめは田舎の昔ながらの暮らしを描いた物語かと思ったら、
 読み進むにつれてドラマティックな展開をみせて、
 後半は先がどうなるのか気になって止まらなかった。
 過去の悲劇と同時に、主人公の少女の恋が悲しくて、
 やさしさの中にもせつない物語だった。



 4月11日
 あかんべえ 上  作:宮部 みゆき

 江戸の料理屋の娘 おりんを主人公にした、幽霊の謎をとく物語。
 おりんと関わる幽霊たちがとても個性あふれていて、
 おどろおどろしさや禍々しさを感じないので読みやすい。
 表題のあかんべえをする少女の幽霊はまだ謎につつまれていて、
 下巻が楽しみ。



 4月10日
 アンをめぐる人々  作:ルーシー・M・モンゴメリ

 アヴォンリー周辺に住む人々を主人公にした短編集。
 どれも愛情にあふれた美しい物語です。
 中でも『父の娘』と『失敗した男』が特に私は好きで、
 心の中に幸せがわきあがってくるような気がします。



 4月4日
 あやし  作:宮部 みゆき

 江戸を舞台に、ちょっと気味の悪いできごとを描いた短編集。
 人の心に巣くう鬼や、恨みが呼び起こす災難などが
 おもに商家の奉公人を中心にして語られます。
 不気味ではあるけれど、どこかもの悲しくもあり、
 また、心に闇のない者には怖がる必要がないのだと感じました。
 私なんかがこんなこと言うのは図々しいのですが、
 宮部みゆきさんは言葉の選びかたと文章がすばらしいと思います。



 4月1日
 アンの友達  作:ルーシー・M・モンゴメリ

 アヴォンリーの近くに住む人々の物語をつづった作品集。
 どれも愛に満ちた美しい物語で、そのうえユーモアもあり、
 読んでいる自分も幸せな気分になってきます。
 一番感動的なのは『ロイド老淑女』なのですが、
 ユーモアと軽い皮肉をおりまぜた『隔離された家』も好き。
 なにより、それぞれの物語の中で、アンのことをみんなが
 どう思っているのか知るのが楽しい。





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