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虹の谷つうしん

2008年10月〜12月



 12月26日
 ふたりきりの戦争  作:ヘルマン・シュルツ

 ドイツ軍にとらわれて農村で働かされていたロシアの少年セルゲイと、
 家族が行方不明になり村に引き取られたドイツの少女エンヒェンの、
 命がけの逃亡の旅の物語。
 いつも誰かに見つかるのではないかと思いながらの日々は、
 彼らにとって、まさにの戦いの日々。
 2ヶ月の逃亡生活で、半分正気を失いながらも進み続けられたのは
 二人がお互いを信じ、お互いを守ろうとする心があったからだと思うと  人の心とはなんて強いのだろうと感動した。



 12月21日
 クロニクル千古の闇4 追放されしもの  作:ミシェル・ペイヴァー

 トラクとレンが少しずつ大人になってきていて、
 2人の成長にちょっと驚いた。
 今回はウルフの行く末が試されるような展開があり、また、
 一族の仲間と暮らしながらもトラクに付き添ってきたレンの
 それまでの生活での悲しみも語られた。
 ひとつの試練が終わって絆が深くなった3人(2人と1匹)が
 心強い一方、次の試練への不安が掻き立てられるような結末でした。



 12月17日
 大迷宮  作:横溝 正史

 子どものために書かれた金田一耕助シリーズの1冊。
 やさしい言葉遣いに、作者の子どもたちへのあたたかいまなざしが
 感じられる作品でした。
 語り口が紙芝居のような、“さあ、次はどうなるのかな?”的な
 わくわくさせるような文章も楽しさを引き立てます。
 ドラマや映画ではおなじみの不気味な雰囲気は、
 子どものための物語の中でも健在でした。



 12月14日
 魔法使いになる14の方法  作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズほか

 “魔法使い” をテーマにしたイギリスとアメリカの作家の物語集。
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品はクレストマンシー・シリーズからの1作で、
 この本の中では一番楽しめたかな。
 ほかにはホラー系の作品などもふくまれていて、
 魔法使いものばかりではなかったところがちょっと残念。



 12月9日
 予告殺人  作:アガサ・クリスティー

 推理小説が読みたくて、犯人はわかっていたけれど手に取った。
 クリスティー女史の作品は、探偵役(この本ではミス・マープル)が
 犯人を見つけ出す過程が、物語としてもおもしろいと思う。
 わたしは推理小説は自分では推理しないで読むので、
 人々の生活や心の動きをたどっていく物語性が強い作品が好き。
 たぶんその点で、どちらかというと女性作家の作品が
 性に合っているのかなぁ・・・と、思っている。



 12月4日
 うそうそ  作:畠中 恵

 「しゃばけ」シリーズの5作目。
 長編で、とても読みごたえがありました。
 体の弱い若だんなが、みんなの世話になるだけでなく、
 自分もいつかは人の役に立てるようになりたいと思い、
 だから、今は少しだけだけれど、できることをやりたいと思う。
 その気持ちにわたしも勇気づけられるような気がして、
 読みながら、いつもしみじみとしてしまいます。



 12月1日
 ゴッドハンガーの森  作:ディック・キング=スミス

 ゴッドハンガーと呼ばれる森の中で繰り広げられる、
 生き物たちと森番の男のたたかいの物語。
 とても骨太な物語だと思って読んでいたら、、
 今までは、ほのぼのした作品が多い作家さんだったと知って驚いた。
 哲学的で、ほとんど神のような存在のスカイマスターをはじめ、
 かしこいオオガラスのロフタスや陽気なコキンメフクロウのユーステス
 などの鳥たちに、とても親しみを覚えた。
 まるで憑かれたように森の生き物を殺す森番が不気味な存在だった。



 11月28日
 麦ふみクーツェ  作:いしい しんじ

 奇妙でやさしい、不思議な物語でした。
 登場人物は、だれも本名がでてきません。
 主人公の“ねこ”によって淡々と語られるできごとは、
 ときには不気味で、ときには哀愁がこもっていて、
 でも根底には街やそこに住む人々への愛情が流れています。
 麦ふみの単純なリズムが心を静めてくれるような作品でした。



 11月24日
 秘密の花園  作:F・H・バーネット

 名作といわれる物語に反感を抱いてしまい、
 今まで手に取ったことがなかったけれど、思い切って読んでみた。
 結果は、“もっと早く読めばよかった ”。
 『小公女』『小公子』は主人公が美しい性格で、不幸に打ち勝つ
 物語であるのに対して、この作品の主人公は “ つむじまがり ”。
 両親に顧みられず、誰にも愛されず、しつけられずに育った少女だ。
 そのわがままかげんに、私の猜疑心はすぐに打ち壊された。
 そして素朴なヨークシャーの人々と、庭がよみがえっていく様子に
 心があたたかさで満たされていくような気がした。



 11月20日
 鳩笛草/燔祭/朽ちてゆくまで  作:宮部 みゆき

 不思議な能力を持った3人の女性の物語。
 いわゆる超能力といわれる力を持っている彼女たちが、
 それを自分の一部として受け入れて、
 世間には隠しつつも、自分の人生には活かそうとするところが
 新しい、また、女性ならではの視点ではないかと感じた。
 鳩笛草は、その力を失っていく過程を描いた物語で、
 主人公の貴子の私たちとかわらない感情がリアルに感じられて
 怖さと悲しみとあきらめの気持ちを一緒に味わった。



 11月14日
 都会のトム&ソーヤ E  作:はやみね かおる

 創也の自宅に招待されたはずなのに、やっぱりサバイバル体験。
 自分では完璧な少年のつもりでかなりうっかり屋の創也と、
 平凡な少年だけど生き残るための知恵と技術にすぐれた内人。
 いつもの2人の楽しい掛け合いに、
 今回は新しいキャラクターが加わってスパイスが効いたかんじ。
 次の作品がまた楽しみになりました。



 11月13日
 うちの一階には鬼がいる!  作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

 母の再婚相手はいつも不機嫌で、怒鳴ってばかり。
 新しい兄弟も嫌なヤツで、キャスパー、ジョニー、グウィニー
 の3兄妹にはゆううつな毎日。
 そんな暮らしが不思議な(迷惑な?)化学実験セットのせいで、
 ますますトラブル続きになってしまう。
 実験セットの意味不明の物質とおかしな効果がこの作者さんらしくて、
 それがきっかけで子どもたちが協力するようになるところが素敵。



 11月8日
 ミス・メルヴィルの後悔  作:イーヴリン・E・スミス

 お金持ちの令嬢として育ったミス・メルヴィルが、
 生活のために殺し屋として働くことになるという物語。
 殺し屋を引き受けるまでのエピソードなどはおもしろいけれど、
 全体的に平坦な印象を受けつつ、最後まで読んだかんじ。
 アメリカの上流階級のくらしに興味があると楽しいかも。



 11月5日
 堪忍箱  作:宮部 みゆき

 江戸を舞台にした短編集。
 人の心の中にある悲しみや負の感情に焦点をあてたような
 作品が中心になっています。
 わたしが一番気に入ったのは「お墓の下まで」という作品。
 迷子や捨て子を育てた夫婦と育てられた子どもたちの
 それぞれの迷いや悲しみ、そして愛情に心が打たれました。



 10月31日
 孤宿の人 下  作:宮部 みゆき

 図書館ではなかなか回ってきそうになかったので買いました。
 ほうと加賀様が、交わす言葉の少ない中で、
 次第に相手を大切に思うようになる過程が感動的でした。
 最後の事件では、もう涙、涙。
 通勤電車で読んではいけない作品でした。



 10月26日
 ブラッカムの爆撃機  作:ロバート・ウェストール

 戦闘機乗りの少年たちの体験を描いた短編。
 戦争中の青春物語かと思ったら、もっと奥が深かった。
 “やっぱり” というか、“さすが” というか、
 メインにはぞっとする場面が用意されていました。
 宮崎駿さんの描いた『タインマスへの旅』も、
 この物語を読み進む手助けとなって、とてもよかったです。



 10月24日
 妖怪アパートの幽雅な日常 E  作:香月 日輪

 妖怪アパートのお正月の風景と、夕士の修学旅行のお話。
 このシリーズはアパートの料理人さんが作るお料理が
 どのメニューもおいしそうで、
 「私もこんなところに住みた〜い!!」と、叫びたくなります。
 今回は半分以上が旅行だったので、お料理の楽しみが少なくて
 残念でした・・・。



 10月23日
 日暮らし 上・下  作:宮部 みゆき

 『ぼんくら』という作品の続編らしい。
 でも、こちらを先に読んでも、おもしろさはかわらないと思う。
 いろいろな女性が登場する小さな物語があって、
 それが次第に一つの物語によりあわされていく筋立ては見事。
 弓之助がこれからどうなっていくのかも気になる・・・。



 10月19日
 霊験お初捕物控2 天狗風  作:宮部 みゆき

 とってもおもしろかった!
 神隠し、3匹の猫の謎、右京之介の生真面目さ、
 なによりお初と物の怪の対決。
 どれをとっても大満足でした。
 3冊目はあるのかしら・・・?



 10月15日
 海のはてまで連れてって  作:アレックス・シアラー

 おはなし会で紹介しようと思って、久しぶりに読んだ。
 何度読んでも楽しくて、せつなくて、
 誰かを大切に思うことの美しさを感じる物語。
 わたしもいつか旅をしたときに、
 自分の中の何かが変わったと感じることができたらいいな。



 10月13日
 ルーディーボール シュタードの伯爵  作:斉藤 洋

 長編ファンタジー。
 人間が “猫顔”“犬顔” などと種類(?)が分かれていて、
 しかも色も模様もあるらしいところが楽しい。
 スピーディな展開で、大きな事件に巻き込まれていく物語だけれど、
 この作者さん独特のどこかのんびりした雰囲気が、
 絶妙なバランスで組み込まれている。
 読み終わったときに、すっきりした気分になる作品。



 10月10日
 No.6 1〜3  作:あさの あつこ

 戦争で荒廃した世界に、理想郷として造られた都市No.6の
 隠されたおそろしさを描く物語。
 ネズミと呼ばれる少年のことを、
 主人公は自分と同い年(16歳)だと思っていて、
 ほかの人は “自分より上” とか “オレより若い” とか
 人によっていろいろに考えているところがおもしろい。
 まだ先は長そう。



 10月1日
 霊験お初捕物控 震える岩  作:宮部 みゆき

 人には見えないモノを見ることができるお初が主人公の時代小説。
 触れるとその人や物におこったことが見える力は、
 現代ならさながら超能力ともいえるかも。
 人の心の弱みにとりつく亡霊との対決を描きつつ、
 忠臣蔵の真実を推理するおもしろさをまじえてあって、
 ものすごく得をしたような気がする作品でした。





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