平行

 

二本の直線が平行にならんでいる場合、それらは絶対に交わる事はない。

 

ガラス越しに時々見える君の姿はとても愛らしくて、その影さえも愛しいと感じられよ。

古びた本をめくるその白い指先だって、僕の紅い舌で撫でてやりたいくらい。

ねぇ、お願いこっちを向いて。

いつだって君はその緑色の瞳の中に僕を映してくれないんだ。

ねぇ、ティマ。

いつになったら僕は君と同じ直線上を歩いてゆけるのかな?

会いたいよ、喋りたいよ、触れたいよ。

ティマ。

僕をここから出してくれる?

僕が目覚めた時君がいないととても不安なんだ。

僕が自由ならそんなことにはならないのにね。

 

僕が自由なら、真っ先に君を抱きしめられるのに。

あぁ、邪魔だな、このガラス。

 

二本の直線が平行にならんでいる場合、それらの距離はどの点においても一定である。

 

あぁ、僕らはいつだって・・・、平行。

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