Megalomania

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そう、それは……。

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 昔々、あるところに、神の統べる国がありました。

 天帝は全知全能であり、国は平穏な毎日をおくっていました。

 民はせっせと仕事に励み、収穫の時期には大きな祭りを催して、神に感謝の気持ちを捧げていました。

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 民が神の存在を軽視してしまうと、神は自分の存在を色濃くしようと、国にありとあらゆる災害をもたらしました。

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 ある年は、日照りで作物を収穫することができませんでした。

 またある年は、国全体の治安がとても悪くなって、町がスラムのような状態になってしまいました。

 そしてまた別の年には、出生率がとても下がって、町のどこへ行っても子供達の笑い声が聞こえることがありませんでした。

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 そんな時、民は忘れかけていた神の存在を思い出すのでした。

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天帝は全知全能でした。

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 ある日のことでした。

 天帝の母、テルスが濃緑の髪を振り振り、息子のところへやってきました。

「ねぇ、ユピテルや。」

「なんだい、母さん。」

 息子のユピテルは母親の参上を笑顔で迎えて、母親に応対しました。すると、テルスは右手で頬を擦りながら、

「最近わたしの頬がおかしいのさ。他のところはみなきめ細かいというのに、どういうわけか、頬だけが粗いんだ。」

と、困ったふうに言いました。すると、ユピテルは、右手を顎に持ってきて、う……ん、としばらく考えたあと言いました。

「そうか、きっと誰かが農作業をさぼっているんだな。ちょっと懲らしめてやろう。おい、ポエブス!」

 ポエブス、と名を呼ぶと、側にひかえていた者の中から元気のいい声が返ってきました。

「はい、なんでしょう、父上。」

「おまえのその力を使って、おばあさんの頬を荒らしているやつを懲らしめてやっておくれ。」

 ポエブスはそう言われると、胸を張り大きな声で言いました。

「分かりました。おばあさま、少し余計に頬が荒れてしまうかもしれないけれど、

民が過ちに気がつけば、すぐに元通りの美しい肌になりますよ。」

「ありがとう、優しい子だね、お前は。」

 ポエブスはテルスの自慢の孫でした。

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 どんな人に対しても、優しく接してあげましたし、どんな事に対しても一生懸命でした。

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 ……と、こういうわけで、早速ポエブスは地上へと降りていって、

のん気に鼻歌を歌いながら昼寝のまどろみを楽しんでいる民の所へと赴き、その辺の農地一帯を枯死させてしまいました。

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ポエブスは太陽を象徴とする神でした。

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 こんなことがしばしばありましたが、民は、過ちに気がついてしまえば、神への感謝を忘れないようにと、せっせと働きました。

 そんなわけで、テルスの頬はすぐに元通りの美しく、みずみずしい肌に戻ったのでした。

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そんな世界のお話です。

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 その神の世界に、女神ウェヌスに仕える、アモルという赤色の神を持つ天使がおりました。

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彼は愛を象徴とする天使‐アンジェリカ‐でした。

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 そして彼には、身を焦がす程に愛しい、アウラという青銀の髪を持つ、風を象徴とする女神がおりました。

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「ねぇ、わたし、貴方が好きだわ。」

彼女は美しい人でした。

「ねぇ、ぼくは、貴女が好きだよ。」

彼も美しい人でした。

 二人はこういう具合によくお互いの愛を語り合いました。

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 各々の髪をそよぐ風の好きなように遊ばせて、透き通るように美しい瞳にお互いの姿を映しながら。

 時間はゆるりと二人の間を、くるりと踊りながら通り過ぎ、

そのあとにはからりと乾いた優しい風が二人を微笑ましげに見つめて駆け抜けていきました。

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 そして二人は、徐々にお互いの唇の間を狭めていって、そして接吻をしました。

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その瞬間、二人はとても幸せでした。

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 けれど、結局のところ、彼は愛を象徴する天使‐アンジェリカ‐でしたけれども、彼女は愛を象徴する女神ではありませんでした。

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「アウラ?」

 アモルはすぐアウラの異変に気がつきました。

 彼女の見事な青銀の髪が、なぜか紅く、大きくゆらめいて見えたのです。

「アモル!熱い、熱いわ!」

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彼女は愛を象徴する女神ではありませんでした。

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 彼女の悲鳴を聞きつけて、彼女の侍女のそよ風たちが、慌ててアウラの元へと駆けつけてきました。

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ところが、炎は風‐アウラ‐によってますます燃え盛るばかり。

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 「アウラ!」

 アモルはびっくりして、どうにかしようとアウラの身体を抱きしめましたが、

驚いたことに、アモルには炎がちっとも熱く感じられませんでした。

「ねぇ、アウラ!」

「ぁ……。」

 アウラは必死に唇を動かしていましたが、アモルがそれを読み取り、理解するより、

彼女が自分の背中を掻き毟る痛みに耐える方に神経を集中することで精一杯でした。

「ねぇ、アウラ……。」

 痛みが消えた、と思った刹那、アモルには自分が抱きしめているものが何なのか分かりませんでした。

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 だって抱きしめていたのは。

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煙をはく、黒こげのモニュメント。

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「う、わあぁあぁぁぁああぁっ!」

 半瞬の後、アモルは先ほどまでアウラだった『物』を思い切り突き飛ばしました。

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それは、パサリと乾いた音をたてて、ふわりと塵になりました。

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 だって、『あれ』は僕をみつめて焦げていたんだもの。

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 最期の最後までみつめあっていた二人でしたが、アモルには最期のアウラの視線に愛を感じることはできませんでした。

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どうして?

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それはね。

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彼女は愛を象徴する女神じゃなかったからさ。

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「アモル!」

「ポエブス……、アウラが……。」

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二人は特に仲がよいというわけではありませんでした。

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 けれど、ポエブスには鼻を衝くこの悪臭と、花畑に舞う花びらとは違った、黒い砂塵がなんなのか、

彼の地位上問いたださねばなりませんでした。

「アモル、これは一体……、何があったんだ?」

「アウラが……。」

 ポエブスが聞いても、アモルは消えてしまったアウラを偲んでただ泣くばかり。

これではポエブスも困ってしまったので、今度はすべてを見ていた空の女神、セレスティアルに聞くことにしました。

「おい、セレスティアル!何があったのか教えてくれないか!」

「えぇ、よくてよ。アモルはね……、」

 その時、このままセレスティアルにありのまま全てを話されてはアモルに重い罰が課せられてしまう、

そう思った雲の精、ヌービラ達は、慌ててやってきて、セレスティアルの口をふさいでしまいました。

「おい、ヌービラども!なぜ我の邪魔をするのか!」

 ポエブスが聞いても、ヌービラたちは同じように口を揃え、

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「アモルはアウラを愛してた。」

「アウラもアモルを愛してた。」

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 こう言うばかりで、ちっともポエブス協力しませんでした。

すると、アウラの死を悲しむそよ風の精達は、急にアモルが憎らしくなって、

うんと重い罰を課してやろうと、ヌービラ達を吹き飛ばしてしまいました。

「よし。邪魔者はいなくなったぞ、何があったのか話してくれ、セレスティアル。」

「よろしいけど、アモルがそこにいると、どうも喋りにくいのだけど……、どこかへ行かせておいてくださらない?」

 ポエブスはちらり、とアモルの方を窺いましたが、

アモルはじぃっ、と足元を見て、今はもうどこかへ吹き去っていってしまった可哀想な恋人のことを思って涙を零すばかりでした。

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「いや、ダメだ。アモルはここにいて、お前の言っていることが正しいのかどうか確かめねばならない。」

「そう……、それなら別にいいんだけど。」

 セレスティアルはちらっ、と確かめるようにアモルの方を見た後、それはもうペラペラと見たこと全てを話しました。

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 そして、ほぼ完璧に等しい程度の話をすませると、

「あたくしが貴方に話せるのはこれくらいでしてよ。」

と言って、足早にアモルの方へと歩いていくポエブスを見送るのでした。

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「アモル。」

 自分の名前が呼ばれたのを聞いて、アモルは振り返りました。

「……ポエブス……。」

 アモルは同じように相手の名前を、ただ呼んだ、といった感じで唇からぽろり、と台詞を落とし、

そして、それに視線を加えてゆっくりと落下させ、地面を見下ろしました。

「……っ?」

 気がつくと、アモルの身体は宙を舞っていて、そして次の瞬間、色とりどりの花が咲き乱れる地面へと身体ごと接吻しました。

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「ポエブス?」

 相手の名前をもう一度呼んだ後、初めて左頬に重い痛みがやってきました。

ポエブスの方を見ると、彼の右手をほのかに赤く染まっていたので、

そこで初めてアモルは自分が彼に殴られたことに気がつきました。

頬は、空気に触れると殴られたところがぴりり、と痛んだので、

左手を持ってきてそぉっ、と優しく触れましたが、今度はじぃん、と痛みました。

「アモル、お前、自分がなんだか分かっているのか?お前、ウェヌスのところの天使-アンジェリカ-なんだろう?」

 アモルは自分の翼についた花びらを、人差し指と中指でそっ、と払うと言いました。

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「そうだよ。僕はウェヌス様に仕えているんだ、それがどうかしたのか?」

 それを聞くと、ポエブスは怒りでさらに肩を震わせて怒鳴りました。

「それが、どうか、したか、だと?」

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彼女は愛の女神ではありませんでした。

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「お前、自分がなんだか本当になんだか分かっているのか!」

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彼は愛の天使-アンジェリカ-でした。

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 けれど、結局のところ、

 彼と彼女は『同じ』じゃありませんでした。

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「僕は、ウェヌス様に使える、愛を象徴する天使-アンジェリカ-だよ。」

 アモルはポエブスをじぃっ、と見て言いました。彼は自分が言ったことに、もちろん自信がありましたし、

事実、それは本当のことでした。

「そうか、お前……、『知らない』んだな?」

 ポエブスはぼそり、と言いました。

「な、何を?」

「『愛』とはなんであっ『た』かをさ。」

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何故アウラは死んだのか。

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 辺りは花や草が奏でる、サラサラとした音楽が響く以外、どんな音もしていませんでした。

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「どういうことなんだよ。『愛』は……?」

 アモルはポエブスに返答を促しましたが、ポエブスはそれに気づいていなのか、そうでないのか、

「おや、日があんなに傾いてしまった。俺は日輪を転がさなければならん。知りたいのだったら自分の主人に聞くことだな。」

と言って、アモルの側から離れて行ってしまいました。

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「ウェヌス様に……?」

 疑問の分野が『愛』である以上、ウェヌスがその答えを知っているのは不思議ではありませんでしたが、

ポエブスが何故それを知っているのかはよく分かりませんでした。

 とにかく、答えが欲しかったアモルは、急いで自分の主人の下へと向かったのでした。

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「ウェヌス様!」

 アモルがウェヌスの部屋に入った時、ちょうど彼女は何人かの天使-アンジェリカ-達に、

その豪奢な土色のかかった金髪をすいてもらっていました。

 ウェヌスはアモルの視線を自分のそれと合わせると、天使-アンジェリカ-たちを下がらせてしまったので、

部屋にはウェヌスとアモル二人きりになってしまいました。

「ウェヌス様、僕……。」

 アモルが下を向いて何から話そうか迷っていると、ウェヌスは枝垂れ落つ、

土色のかかった金髪を細い指で耳にかけながら言いました。

「言わなくても大丈夫よ。アモル、辛かったわね。」

「あの。」

「可哀想な子。」

「あの、ウェヌス様。」

「孤独-ひとり-になってしまって。」

 そう言ったウェヌスの瞳から、大粒の涙が一粒零れ落ちました。

それが、頬を伝って大理石の床へと接吻する寸前、涙は真珠の粒に変わり、大理石の床の上で音をたてながら跳ねました。

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 カツン、

                カツン、

カツン、         

                   カッ、

            カッ、             

カ…… 

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 床の上で微かにころりと音をたててまわった真珠の粒には、ウェヌスとアモルが歪んだ表情で映っていました。

 辺りがしん、と静寂につつまれた時、アモルは息を深く吸って、ウェヌスに言いました。

「ウェヌス様、僕、お聞きしたいことがあるんです。」

 アモルがそう言うと、ウェヌスは口の端を微妙に上げてにこり、と微笑みかけると言いました。

「貴方の心は決まったのね。いいわ、聞きましょう。」

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ねぇ、アウラは何故?

何故死んでしまったの?

あの黒い恐ろしい『物』はアウラじゃないでしょう?

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 ところが、アモルが聞いたのは、彼の優先順位上、二番目の質問でした。

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「ウェヌス様、『愛』とは一体なんであったんでしょうか?」

 そう問われると、ウェヌスは細い指先を少しだけ、ぴくり、と動かしたあと、アモルの瞳をじぃっ、とみつめました。

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 そして。

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「愛とは恐ろしい物だわ。」

「恐ろしい……物……。」

 アモルはウェヌスの返事を聞いてびっくりしました。彼はウェヌスに愛の『素晴らしさ』を語って欲しかったのでした。

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「愛は美しいものよ。」

とか、

「愛は永遠であるものよ。」

とか、

「愛は光り輝くものよ。」

とか、そう言った類のものでした。

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けれど、実際はね。

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「恐ろしい……、恐ろしいわ。」

 ウェヌスはもうアモルを見て微笑んではいませんでした。彼の、瞳の奥底をじぃっ、と見て、捕らえて、離さないのでした。

「私は愛が恐ろしい。」

「僕は、愛はとても素晴らしいものだと思っていました。まさか、ウェヌス様がそんなことおっしゃるなんて……。」

 すると、ウェヌスは表情を全て無にして、口だけを動かして言いました。

「愛が素晴らしいものであると私が言うことを貴方は期待していたの?それとも確信していたの?」

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もちろん、期待だよね。

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「あの、あの、僕……!」

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僕は悲しいんです。

慰めてほしいんです。

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「アウラが死んだことが信じられないんです!」

 瞳が少しぬれる程度に涙を浮かべたアモルは、やっとのことで自分の想いを口にすることができました。

 彼はまだ、自分の愛する人が消えてなくなってしまったことが信じられませんでした。

 そうアモルが言うと、ウェヌスは窓の外の空を、

ポエブスが引く日輪が黄金のイブニングドレスをセレスティアルに着せかけているような光景を、

彼女の瞳いっぱいに入れながら言いました。

「愛とは恐ろしいものよ。」

「ウェヌス様、僕はそんなことをお聞きしたいのではありません!アウラは何故消えてしまったのですか、教えてください!」

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アモルはアウラを愛してた。

アウラもアモルを愛してた。

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 そしてウェヌスはまた一粒の涙を落としました。

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「刃物は自分が刃であることを、誰かを傷つけて、そこで初めて知るのですよ、アモル。」

どくん。

「それは、それは僕が刃物であると……?」

どくん。

「誰かを愛せるということは素晴らしいことです。だけど、それは刃物にとっては悲劇でしかありません。」

どくっ。

「ぼくは、ウェヌス様にお仕えする、愛の天使-アンジェリカ‐です。刃物なんかじゃあありません!」

どくっ。

「そう、貴方は愛の天使‐アンジェリカ‐です。」

どくっ。

「なら、どうして……。」

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どうしてアウラは消えてしまったのですか?

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 自分で気づいていても、他人から言われないと認めたくない事実、

アモルはそれをなんとなく理解していましたが、信じようとしませんでした。

 ただ、信じたくなかったのです。

ただ、それだけ。

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「貴方は恋人を恋焦がれさせてしまたのですよ。」

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―ねぇアモル、わたし貴方が大好き―

どくんっ!

「恋、焦がれさせる……。」

 アモルはウェヌスなどもう、視界に入っていませんでした。ただ、ウェヌスがアモルに語りかける言葉だけが、

アモルの中へと響いていくのでした。

「そうです。貴方は人々に愛することを教え、愛されることの喜びを与え、そして幸せを国に満たすことが役目のはずです。

それなのに、貴方は一人の、しかも神を愛してしまいました。これは許されないことです。

けれど、貴方の精神‐ココロ‐は理解していなくても、身体は分かっていたようですね。」

「何故僕の身体は……?」

「もちろん、自分自身の役目を害することのないようにと、邪魔になる存在を消しておきたかったのでしょう。」

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ウェヌス様、今なんと……?

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「アウラは貴方と結ばれるべき人ではなかったのです。」

「そんなはずありません、僕は彼女を愛していたのです!」

「愛?愛とはなんでしょう。使命のために恋人を殺してしまうものでしょう?」

 口元に黒い影を持つ微笑みを浮かべながらウェヌスはアモルに尋ねました。

愛とは……?

愛とは。

愛とは!

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「愛とは、自分自身を補うものです。」

 アモルの返事を聞くとウェヌスは、右手をしなやかに口元へ運び、ホホホホ、と笑いました。

「それが愛?そんなはずはないでしょう。ただ、貴方の精神‐ココロ‐が満たされていなかっただけなんでしょう?

犯るべきことは犯ったのでしょう?貴方の身体は彼女がもう必要なくなったから彼女を燃やしたのよ。

貴方の身体はもう、彼女の身体に飽きてしまっていたのよ。」

 アモルはウェヌスの言葉が本当に、信じられませんでした。

 今まで彼はこんな卑猥な言葉を口にするウェヌスを見たことがありませんでしたし、

まさかこんなことを言うとは、夢にも思っていなかったのです。

「僕は、僕は彼女の身体を愛していたのではありません。僕は彼女自身、全てを愛していたのです。

そんな風にウェヌス様の憶測だけで物を述べるのはやめてください!」

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 そうアモルが言うと、ウェヌスの微笑みはもっと影を増して。

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「よく言うわね。アウラを燃やしてしまったくせに。」

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―アモル、熱いわ!―

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 ホホホホ、とウェヌスが高らかに笑う声が響く館を出たあと、しばらくアモルはとぼとぼと家路につきました。

 今日のウェヌスはどうしたのだろう、と考える前に、

ウェヌスがアモルに向かって言ったこと一つ、一つ、全て繰り返して自分に言い聞かせました。

 ウェヌス様は僕を導いてくださったのだろうか?

 愛がなんであるかを問う僕に、後で愛がなんであるかを尋ねなさった。

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『愛は、自分自身を補うもの。』

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アウラはどれだけ僕を補ってくれたんだろう?

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『人々に愛することを教え、愛される喜びを与え……』

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誰か一人を愛してはいけないのか?

彼女‐アウラ‐は出会った瞬間から消える運命を背負わされていたのか?

そしてウェヌス様はそれを知っていた……?

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何故だ、何故なんだ!

何故消えてしまったんだ、アウラ!

あの日のことを忘れてしまったのか!

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「ねぇ、アウラ。」

「なぁに、アモル。」

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「僕は貴女が好きだよ。」

「なぁに、急に。」

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「ずっと一緒にいよう。-エデ・ビベ・ルーデ・ポスト・モルテム・ヌッラ・ウォルプタース-」

「変なアモル。ふふ、だけど、……いいわ。」

「だったらキミの、口づけを!」

「やぁよ、もう少したってから!

「何故さ?」

「だって。太陽は沈んでもまた昇るのよ、また今度!」

「ちぇ。」

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―エデ・ビベ・ルーデ・ポスト・モルテム・ヌッラ・ウォルプタース―

―共に生き、共に愛し合おう―

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どんなにか愛しかったあの風が僕の頬を撫でたとしても……、

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……僕はもう気づかない。

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 彼は遠鳴りに馬の鳴き声を耳にしました。泣き声は徐々に大きくなって、金色の馬車の姿を現しました。

馬車からゆっくりと降りた青年は、アモルの視線に彼のを合わせて、そしてすぐにそらしてしまいました。

「……ポエブス。」

 彼の名をオブと、ポエブスはアモルの方へともう一度視線を合わせて言いました。

「父上がお呼びだ。馬車に乗れ。」

 アモルは言われたとおりにポエブスの馬車に乗りましたけれど、どうしてユピテルに呼ばれたのか分かりませんでしたから、

「どうしてユピテル様が僕なんかをお呼びになったの?」

と聞きましたが、ポエブスは何も答えてはくれませんでした。

 ただ、

「行けば分かるさ。」

と、一言、そう言っただけでした。

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「父上、アモルを連れて参りました。」

「おぉ、そうか。ポエブス、アモルを『井戸』へ連れて行け。」

「分かりました。」

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 ユピテルはポエブスが部屋から去っていくのを見送ったあと、言いました。

「メルクリウス!」

「はっ!」

「神々を『井戸』へ集めよ!」

「承知いたしました。」

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 アモルはポエブスに連れられて、皆より一足先に『井戸』の前に立っていました。

「ポエブス……、僕は……。」

「分かっているんだろう、俺の口を煩わせるな。」

 アモルは、ユピテルが他の神々を引き連れてやってくるまで『井戸』に視線をずっと合わせつづけていました。

時折り、その美しい唇が震えて、白い息が零れ、寒い夜の空気に溶けて、混ざって、消えてゆきました。

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「アモル、父上がいらしたぞ。」

「ユピテル様……。」

 アモルはそう口にはしましたが、彼が見つめていたのは天帝ではなく、その後ろに立っていたウェヌスの姿でした。

「ウェヌス様。」

 彼はそう口にしました。

「アモル、ふふ、どう?」

 これから何があるのか分かっているのにウェヌスは、そう言うと肩にのった土色のかかった金髪を右手ではらってから、

アモルの目の前でくるりと一回転しました。彼女のレースのスカートがふわりと舞って、一回転したとき、

アモルはようやく彼女の髪がきらりと輝いていることに気がつきました。

「どう?気がついた?さっきの真珠を天使‐アンジェリカ‐達に言って、髪につけさせたのよ。綺麗でしょう?」

 アモルに向かってふふ、と笑うウェヌスをユピテルはあまり好ましくないようにちらり、と見て、

そして咳を一つ、ごほん、と零しました。

「あ、あ、ウェヌス。」

 そう言われるとウェヌスは、

「あら、ごめんなさいね、ほほほ。」

と言って、もう一度土色のかかった金髪を右手ではらってから『井戸』へと身体を向けました。

 それを見ると、ユピテルは顔をきりりと整えて、大袈裟に羊皮紙を取り出し、中を開いて、

そして大きな声でアモルに宣告しました。

「アモル、風の女神アウラを殺した罰として、井戸へお前を落とす。何か言いたいことはあるか。」

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アウラは美しい人でした。

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 彼女はどうしてそんなに美しいのか誰も分かりませんでしたけれど、彼女は本当に美しい人でした。

 アモルが瞼を閉じれば、いつもそこにアウラの姿が映りました。黙ってそこにたたずんでいたアモルを、

他の天使‐アンジェリカ‐たちが無理矢理跪かせました。アモルの身体は一応抵抗はしましたけれど、

精神‐ココロ‐は別に、自分がどうなろうがお構いなしでした。

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ぷつっ。

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 『井戸』に落とされる前の儀式が始まりました。天使‐アンジェリカ‐達はアモルを押さえつけながら、

器用にその翼の羽一枚、一枚を丁寧にむしりとっていきました。

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ぷつっ。

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 『井戸』は天界と地上を結ぶ通り道でした。『井戸』を通るのは罪人だけで、その罪人は天界の住人である証を奪われ、

『井戸』へ落とされ、『人間』として『堕ちて』いくのでした。

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そのあと罪人達はどうなるの?

どうなるんだろうね、考えてごらん。

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あたり一面弾けた林檎。

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 天使‐アンジェリカ‐達の手が、羽をむしり終えて翼の根元にきた瞬間、

ほんの一刹那前まで保ち続けていたアモルの静かな表情が、あっという間に恐怖の色へと、さぁっと変わっていきました。

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ぷつっ。ぐ、ぐ、ぐぐっ。

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 天使‐アンジェリカ‐達の手にもかなり力が加わっていることが外から見て窺えました。

組み伏せられたアモルの背中は痛みに耐えているようで、微妙に丸まっていました。

 いままでになかった重く低く響く『音』がさぁっと拡がると、それをバック・ミュージックに、声にならないような悲鳴が続いて、

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……静寂。

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彼の倒れたあたり一面弾けた林檎。

中身まで紅い、紅の林檎。

昔、昔の真っ紅な林檎。

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「おい、起きろ。」

 ポエブスが乱暴にアモルの頭を蹴り飛ばしました。

「ぅっ……。」

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 アモルが身体を少しだけぴくり、とさせて、また元の状態に動かなくなってしまったのを見ると、

ポエブスは、アモルの背中からまだはみ出していろ翼のつけ根を掴んで、ぐい、と引き上げました。

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すると、また声にならないような悲鳴。

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 天使‐アンジェリカ‐達はアモルをわきから抱え上げ、『井戸』の淵まで連れてゆきました。

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 それを見送るポエブスの肩は小刻みに震えていて。

 口元に運ばれた手さえも微かに震えていて。

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 震えた手はゆるんだ口元をそぉっと静かに隠していて。

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あぁ、たまらない!

目の前で愛の天使‐アンジェリカ‐が『井戸』へ堕ちてゆこうとしている!

何故、こんなにもゾクゾクするんだろう。

処刑を目の前にするのは初めてなのに。

何故だろう、奴のためにか、右手が弦を欲している!

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それは奴のためになのか?

『奴』とは誰だ?

俺の精神‐ココロ‐のことか?

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はっ!

俺の精神‐ココロ‐のために、真っ紅な林檎のために。

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しばしの興といくとするか。

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 ポエブスが地面に指先でそぉっと何かを描くと、ふわっという風が絵の周りをのんびりと通り過ぎ、

気がつくとそこには一匹の、少し大きめの亀がいました。

彼がその亀を軽々と持ち上げて、その腹をそぉっと撫でると、その亀は足をバタバタとバタつかせた後、

あっという間に竪琴にその姿を変えてしまいました。

 ポエブスは竪琴を色々な角度から眺めた後、側にあった大きな石に腰掛け、ウェヌスに引けを取らないような、

色の白くて、美しい右手を勢いよく弦の上に滑らせ始めました。

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―ロンッ―

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 突然響いた竪琴の音に、みんなははっとしてポエブスの方を振り返りましたけど、ポエブスはそんなことお構いなしに、

自分の完成溢れるままに弦に右手を滑らせて、竪琴を掻き鳴らし続けていました。

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―ロ、ロロンッ―

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「くっ……。」

 その頃アモルはやっと痛みに耐えて自分の足で経つことができるようになりました。

翼の羽という羽全てをむしり取られて、骨さえも折られて……、そんな状態で立っているのは、

翼の重みになれた身体にとっては、なんだかとても変な気分でした。

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―ロン、ロロ、ロンッ―

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 その音色に魅せられて、さっきまでアモルの羽をむしり取っていた天使‐アンジェリカ‐達も、

各々の右手、もしくは左手に、アモルの羽を握りしめながらぼぉっと立ちつくしてポエブスの竪琴に聞き入っていました。

 その楽曲がいよいよクライマックスに差し掛かった頃、どこからこの曲を聞きつけてやってきたのか、

ふわりと風の精達がそこを横切っていきました。すると、その風の精達のあとに続いて、向こうから少し黒色のかかった、

灰色のような変な風がやってきました。

 その風は、やってくるなりアモルの周りをくるくるくるくると、ずっと回っておりましたけれども、

ポエブスの竪琴に聞き入っている他の神々達は、その風にちっとも気がついたそぶりを見せませんでした。

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―ロ……―

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 ポエブスの右手は弦を弾いて単音、和音様々な音色を、美しい調べにして、それを風に乗せて弾いていました。

風が通ると、何故かポエブスの竪琴はより美しく聞こえるのでした。

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―ロロ……ロンッ―

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 ポエブスの右手が最後の単音を弦から弾き出すと、周りにいた神々達は、ほぅっとため息をつきました。

 そんな様子を見てなのか、そうでないのか、ポエブスは今さっきの曲の余韻に浸りながら、言いました。

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「アモルとアウラのために。」

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 その次の瞬間、アモルの周りを音もなしにくるくると回っていた黒い風がざぁっと勢いよく駆け抜けて、

周りの木々の葉や、地面の草花の葉を擦り合わせて音をたて、ポエブスの周りをくるくると回ると、

やがて自ら『井戸』の中へと入っていって、地上へと降りてゆきました。

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「あら、見て……!」

 ウェヌスが声をあげて『井戸』を指さすと、周りのみんなもその指の先にあるものを見つめました。

「花……?」

 ポエブスが『井戸』の周りを見つめて言いました。

「あ……。」

 アモルは何かにとりつかれたかのようにその花をじぃっ、と見つめました。

その花は、花びらが赤く、中は黒い、とても美しいものでしたが、アモルは今までに一度も見たことがありませんでした。

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 みんなでその花についていろいろと―美しい花だ、といった定番の文句から、

世が更けた頃に咲いた、燃えるような赤い花の美しさはなんて……、といったような堅苦しい文句まで―感想を述べ合っていると、

ユピテルが誰よりも『井戸』へと近づいて、そして大きな声で言いました。

「ふむ、おもしろい。この花に名をつけねばならんなぁ……。どうしたものかなぁ……。

……そうだ、風が吹いて姿を現し、そしてその風は地上へと降りていった……。

よし、この花の名は地上の言葉でつけることにしようか。

……『風の花‐アネモネ‐なんていうのはどうだろうか?」

 そうユピテルが突如現われた美しい花に名をつけると、周りの神々達は、賛同の歓声をあげました。

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 そんな中、アモルだけがじぃっと、『風の花‐アネモネ‐』をみつめたままたたずんで、何かを考えていました。

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みんな、気がつかないのか?

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『風の花‐アネモネ‐』、僕達の言葉でいえば、『風の花‐アウラ・フロ−レス』じゃないか!

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ねぇ、アウラ。

僕の言ったこと、覚えてる?

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―エデ・ビベ・ルーデ・ポスト・モルテム・ヌッラ・ウォルプタース―

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ねぇ、アウラ。

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僕も君のいるところへ行こうと思うんだ。

そうしたら、もう一度君を抱きしめられるような、

そんな気がするんだ。

だから、『井戸』へ落ちることだって、怖くなんかないよ。

地上へ行けば君に会える、そんなことを少し期待しているんだ。

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 すると、ふと気がついたように他の天使‐アンジェリカ‐達がやってきて、アモルに目隠しをさせ、

両手を紐できゅっ、と一つにまとめてしまいました。

 天使‐アンジェリカ‐達の中の一人に手を引かれ、導かれて『井戸』の淵に立った時も、

最初にポエブスに連れてこられた時のような、ぞっとする恐怖さえ、感じていませんでした。

「最後に言いたいことはないか。」

 ユピテルがそうアモルに聞くと、彼は答えました。

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―メメントー・モリー―

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 ただ一言そう言って、アモルは自ら『井戸』の中へと身を投げました。

 『井戸』の周りには他の神々がアモルの言ったことを聞いて呆然としていましたが、ユピテルは笑って、

「何を突然言い出すのだ。我々神が死ぬことなどありえん。奴の言ったことなど真に受けるなよ。」

と、言いましたけれど、他の天使‐アンジェリカ‐達は不安そうな顔をしていました。

すると、アモルの処刑を見届けるために集まってきた神々の中の一人が言いました。

「では、どうしてアウラは消えてしまったのでしょうか。」

 はっと息を飲んでみんなはその疑問を口にしてしまった神を見つめ、そして次に問われたユピテルを見ました。

しかし、ユピテルも、他のみんなと同じようにはっと行きを飲んでいたので、絞り出した第一声がこれでした。

「そ、それはだな、つまり……。」

 言葉に詰まってしまったユピテルが言葉をつらつらと並べるのを聞いても、

みんなはただ耳に入れるだけで、信じようとはもう、誰もしようとしていませんでした。

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 アモルの処刑が終わった後、ユピテルに見つからないように隠れて、こそこそと『井戸』の中を覗き込む人がちらほらといました。

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 落下していくのを身体に触れる風で確認していたアモルは、これから自分がどうなるのか、といったようなことを、

不思議と落ち着いた気持ちで考えていました。

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翼がある時はこんな風に思わなかったけれど、

地上って案外遠いんだな……。

これじゃあ地上に着いた瞬間、あたり一面真っ紅な林檎だよ。

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林檎は砕けて弾け飛ぶ。

あたりを紅に染めながら、

周りにいるもの全てを染めながら。

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ポエブスは気がついたかな。

神と人間、ほぼ全くといっていいほど同じ物であることを。

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人間が神なのか。

神が人間なのか。

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あぁ、分からない。

人間が死ぬのなら、神だって、

消えてなくなってしまうことぐらいあるでしょう?

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アウラのように。

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―メメントー・モリー―

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―自分だって消えてなくなってしまうことを忘れるなー

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もしも彼等が本気で自分達が永遠に神でいられると、

そう信じているのならそれはあまりいいことじゃあないな。

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もし、それが覆されるのなら、

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それは、神自身の手によってか。

それとも、人間の手によってか。

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神々が自分自身が神だというから、と奢っているのなら、

むしろ、それはいいことなのかもしれない。

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 そんなことを考えながらアモルは、大きな雲を何度も通り抜け、びしょ濡れになりながらも、ずっと、ずぅっと落下していきました。

 アモルの身体は落下していけばしていくほど、どんどんスピードがついていきました。

 その頃になると、アモルはあまりの恐怖のために、意識を半分以上薄れさせていました。

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―ねぇ、アモル、わたし貴方が大好き―

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 ほとんど消えかけてしまっていた意識の淵で、アモルはアウラの言葉を思い出していました。

今でもその瞼の裏には彼女の美しい青銀の髪が風にたなびくのを思い出すことができました。

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ねぇ、アウラ。

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君は今……、どこにいるの?

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 彼は気がついていませんでした。自分の身体が落ちていく速度がだんだんゆっくりとなっていき、

自分の服が風によってはためく勢いがなくなっていくのを。

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彼は天使‐アンジェリカ‐達に目隠しをさせられていました。

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 だから彼は気がついていませんでした。

 彼の身体の背の部分を、青銀の絹が、風になびきながら彼をかばうように覆っていることに。

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 何も気がつかずに落下していく彼は、今は別のことを考えていました。

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人間達が、神々の力を恐れなくなったら、

一体どうなってしまうんだろう?

神は人間達に神殿をたくさん作らせているけれど、

祈りが消えてしまったらそうなるんだろう?

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もし人間達が、神を超えた、別の存在になってしまったとしたら?

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……もし、人間達に、神が必要なくなってしまったとしたら?

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 そこでアモルは一つの結論に辿りついたのでした。

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 神は、必要とされなければ、例え神であろうとも、神であることができない。

 『存在』というものが否定されてしまったのなら、人間達の心から消えてなくなってしまったも同然になる。

たとえ、天界に『存在』していたとしても。

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神は神であり、人間は人間である。

神は天界、地上にいる全てを支配するものであり、

人間とは神がつくった人形‐モノ‐である。

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神の存在なしには、人間は生きていくことができない。

人間は、神の啓示を受け入れ、必ず実行するものである。

神が絶対であり、人間はその逆である。

人間は神に祈りを捧げ、神からの神託を受けて初めて、

善悪の区別がつけられるものである。

神にとって人間とは一種の玩具であり、

人間にとって神とは必要不可欠なものである。

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人間は刹那のものであり、

神は永遠のものである。

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そう、それは彼等の誇大妄想-神々のメガロマニア-。

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FIN


あとがき。

From ましょまろ☆れもんことユーナ

>はじめのご挨拶

 こんにちは、ましょまろ☆れもんです。早いもので、もう3年生になってしまい、最後の大舞台です。いかがでしたでしょうか?

Megalomania。友達に試しに読んで聞かせてちょうだいと言ったらば、彼女は気分が悪くなってしまって、2、30分くらい口をきいて

もらえませんでした(笑)。<今は笑っていられるけれど、あの時は内心ヒヤヒヤでした、本当に。

>Megalomania裏話

 実は、今年度の文芸部員は、妙に張り切る人間が多くて(いいことですねー)、提出ページ数の上限が決まってしまったんです。

そこで、元々考えていたお話(今年はがんばるぞ〜!と思って人の倍以上張り切っていたであろう自分。ネタは国語の授業中に、

2年の3学期に考え付つきました(張り切りSUGI?)。)を、泣く泣くボツにして、この話を考えつきました。実は、この話もページ数

を取りすぎて、泣く泣く前半だけを載せることにしました(アモルが地上についてからまたごちゃごちゃあるんですよ、はぅ。)

>ぶっちゃけTalk

 最後の大舞台ですからぶっちゃけて言いますけれども、私、本を読むのはもちろん好きなんですが、どうも字だらけの本に抵抗が

ありまして……(好きなのか、好きでないのか?)。挿絵とかあるとありがたいし、読む前によし、読むぞ!とコンセントレーションを

整えるのが大変で……。ってなワケで、自分が読みたくなるような空白の多いお話を自分で書いてしまえばいいんだ、というよく

分からないなんだかおかしな結果にたどり着きまして、現在に至るわけでございます(ぶっちゃけSUGI?)。

>空白

 結構これが自分の小説には大切なんだなぁ、と最近気がつきました。お芝居なりドラマなりの『間』ってヤツを空白で補っている

んでしょうね。ルビも、読んでくれる人にはこう読んでもらわなきゃ気がすまん!とかいう人間らしいです、私。

>ラテン語

 言うの忘れてました。これは昔の有名な人の言葉をもってきて、それをさらに意訳したものですから、あれがこのままこうなる…

…というワケでは実はないのです。信じてはいけません。

>最後に

 ご感想などお聞かせいただけたら嬉しく存じます。


あとがき。

〜この小説をHPに載せるにあたって〜

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こんにちは、ましょまろ☆れもんことユーナです。

受験期対策オリジナル作品公開作戦第6弾、最終章です。

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いやはや、ここまで来てしまいましたね……。

これが、高校に入ってから文芸部最後の作品…であろうものです。

上でもいろいろ語っておりますが、何分あとがきはB5一枚と決まっていますので、

不足している部分もあると思いますので、こちらで補足説明をば。

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このあと、夏休み直前になってから、今年の文芸の大会(こういうのがあるらしい)で何を出典しようか、

と話し合っていた時に、後輩の一人が「先輩の、なんだか良かったです。」ってくれました★

彼女も結構この手のがダメだった子なんですが、あらかじめ覚悟して読んだら意外とすらすら読めたみたいです。

彼女ともう一人別の友達も「オチ」が気に入ってくれたみたいでした。

ダメな人にはダメなものなんですけれど…(汗)。

ちなみにダメだった彼女は、「他の人のためにも大会には出すな」と(爆)。

あぅ、ごめんよ〜(><)

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もともと、今年の記念祭に出す話は、知る人ぞ知る(これを人は一部の人のみ知るという)、

サイボーグ0○9(一応名前は伏せてあります)の、パロディだったあの話。

ありゃぁ、ダメでしたね。長SUGIました。

仕方がないのでこの話を考えつき、さらに仕方がないのでこの話を二つに割って、前半部分を載せました。

ちなみにこの話とこの後半の話を0○9の方にリンクさせていきたいと思います。

いつか完成させてやるぞ。

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メトロ話にも言えることですが、空白が本当に多いんですよね。

そうでもなけりゃあ読む気が起きない(爆)!

あまり進んで小説を読む方ではないのでこうなったとは思うんですけれど…。

ちなみに、ハリー・ポッターやダレン・シャンは読みました。

ハリーは中間試験中の暇つぶしに、ダレンは友達が熱狂的に愛していたので。

銀河英雄伝説はアニメで見てから小説を購入しました。

そのうちあたしのあとに読んでいた母親に追い抜かれて、結局残りは彼女が揃えました(笑)。

空白とか、挿絵とか、息の抜ける間のある本が好きです。

あとは、最初の第1文目で読み手の気を引く本とか。

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今回の小説には幾つかのラテン語が出てきます。

理由としても、上に書いたサイボーグ0○9の話の方に続くんですが、

とりあえず、この話の中にはラテン語が必要だったんです。

天界ではラテン語を、地上ではギリシャ語を使っています。

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登場人物から説明しますと、

アモルはラテン語で『愛』、

アウラは『そよ風』

ポエブスは『太陽・アポロン』など、

ユピテルは『ゼウス』

テルスは『ガイア』

メルクリウスは『マーキュリー』

ウェヌスは『ビーナス』

アンジェリカは『天使』

ヌービラは『雲』

セレスティアルは『空』

アネモネはギリシャ語で『風の花』

と、なっています。

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それから、物語の中で出てくる言葉、

エデ・ビベ・ルーデ・ポスト・モルテム・ヌッラ・ウォルプタースは、

カトゥルスという人がこのフレーズを使って、

「ともに生き、ともに愛し合おう」という詩を残しています。

その中で、「太陽は沈んでもまた昇る」というフレーズがあったので、アウラの言葉として使いました。

その中に「口づけ」というのもあったので、ああいうシチュエーションになりました。

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メメントー・モリーは、

かの有名な「Mr.children」の「花」のサブタイトルにもなっていて、知っている人もいるかと思います。

意味としては、自分が死ぬことを覚えていろ、という事になります。

物語中では、アウラは『消えて』しまったという設定になっているので、

「自分達だって消えてなくなってしまうことを忘れるな」という風に意訳してあります。

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いやはや、本当に。

文芸部員としても終りましたし、受験期対策オリジナル作品公開作戦も終ってしまいました。

いかがでしたでしょうか?

ご感想などは是非掲示板の方へどうぞ。

お待ちしております。

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